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第82話 聖女候補の保護
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私とムルルは、王城から帰路についていた。
現在、ムルルは私と同居している。色々と事情があって、そうするのが一番だという結論になったのだ。
「セレンティナ様、本当に何から何までお世話になってしまって……本当に、申し訳ありません」
「大丈夫、そんなことは気にしないで。ムルルがいることは、私にとっても助かることだし……」
ムルルは、聖女見習いとして、王城で学んでいる。それに対して、一応王国も援助をすることになっている。未来の聖女を育てることは、王国にとってとても大事なことだからだ。
だが、それでも、今のムルルには一人で生活できる程のお金がないのだ。元々、貯金もなく、住む家もないムルルが、この王都で暮らしていくは難しかったのである。
そこで、私と同居することになった。幸い、私には蓄えが潤沢にある。二人で生活しても、有り余るほどの財産を持っているのだ。
「ムルルがいてくれれば、私は後任の問題を気にしなくていい。それって、結構重要なことなんだ。気が楽になるからね。だから、ムルルを助けるのは、私のためでもあるよ」
「そうなのですか……?」
ムルルを助けることに、私はとても前向きだった。
なぜなら、彼女がいてくれれば、後任の問題に頭を悩ませなくて済むからだ。
彼女が一人いてくれるだけで、その問題は解決する。そういう利益があるから、私は彼女を助けているのだ。
だから、彼女が申し訳なさを感じることなど、どこにもない。私の勝手で、彼女を援助しているだけなのだ。
「でも、同居までさせてもらって……」
「同居に関しては、それこそ気にしないで欲しいかな。私が、好きで同居している訳だし……」
「好きで……?」
「別に、ムルルに部屋を与えることはできるよ。そんな金額は、私にとって微々たるものだし。でも、私はそれをしなかった。それは、私が寂しかったからだよ」
ムルルは同居について気にしていたが、それは最も気にしなくていいことである。
この同居は、私が望んだものだ。もちろん、ムルルが一人で暮らしていけるか心配だったという理由もある。だが、私が寂しかったからという理由もあるのだ。
一人で暮らすというのは、気楽な部分もある。しかし、誰も傍にいないというのは、結構不安になるものだ。
その不安を解消したくて、私はムルルを受け入れたのである。色々と理由はあるが、決意したのはそれがあったからだと思う。
「そうなのですね……確かに、一人というのは寂しいですよね」
「そうでしょう?」
私の言葉に、ムルルは納得してくれた。
恐らく、彼女も寂しさというものに関しては知っているからだろう。
私の寂しさなど、彼女に比べれば些細なものだ。そう考えると、この選択はやはり間違っていなかったように思える。ムルルの寂しさも、なくすことができるからだ。
私達は、笑い合いながら歩いて行く。この生活がいつまでも続くかはわからないが、きっと楽しい生活になるだろう。
現在、ムルルは私と同居している。色々と事情があって、そうするのが一番だという結論になったのだ。
「セレンティナ様、本当に何から何までお世話になってしまって……本当に、申し訳ありません」
「大丈夫、そんなことは気にしないで。ムルルがいることは、私にとっても助かることだし……」
ムルルは、聖女見習いとして、王城で学んでいる。それに対して、一応王国も援助をすることになっている。未来の聖女を育てることは、王国にとってとても大事なことだからだ。
だが、それでも、今のムルルには一人で生活できる程のお金がないのだ。元々、貯金もなく、住む家もないムルルが、この王都で暮らしていくは難しかったのである。
そこで、私と同居することになった。幸い、私には蓄えが潤沢にある。二人で生活しても、有り余るほどの財産を持っているのだ。
「ムルルがいてくれれば、私は後任の問題を気にしなくていい。それって、結構重要なことなんだ。気が楽になるからね。だから、ムルルを助けるのは、私のためでもあるよ」
「そうなのですか……?」
ムルルを助けることに、私はとても前向きだった。
なぜなら、彼女がいてくれれば、後任の問題に頭を悩ませなくて済むからだ。
彼女が一人いてくれるだけで、その問題は解決する。そういう利益があるから、私は彼女を助けているのだ。
だから、彼女が申し訳なさを感じることなど、どこにもない。私の勝手で、彼女を援助しているだけなのだ。
「でも、同居までさせてもらって……」
「同居に関しては、それこそ気にしないで欲しいかな。私が、好きで同居している訳だし……」
「好きで……?」
「別に、ムルルに部屋を与えることはできるよ。そんな金額は、私にとって微々たるものだし。でも、私はそれをしなかった。それは、私が寂しかったからだよ」
ムルルは同居について気にしていたが、それは最も気にしなくていいことである。
この同居は、私が望んだものだ。もちろん、ムルルが一人で暮らしていけるか心配だったという理由もある。だが、私が寂しかったからという理由もあるのだ。
一人で暮らすというのは、気楽な部分もある。しかし、誰も傍にいないというのは、結構不安になるものだ。
その不安を解消したくて、私はムルルを受け入れたのである。色々と理由はあるが、決意したのはそれがあったからだと思う。
「そうなのですね……確かに、一人というのは寂しいですよね」
「そうでしょう?」
私の言葉に、ムルルは納得してくれた。
恐らく、彼女も寂しさというものに関しては知っているからだろう。
私の寂しさなど、彼女に比べれば些細なものだ。そう考えると、この選択はやはり間違っていなかったように思える。ムルルの寂しさも、なくすことができるからだ。
私達は、笑い合いながら歩いて行く。この生活がいつまでも続くかはわからないが、きっと楽しい生活になるだろう。
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