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第27話 不安な訪問者
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私は、ロクス様とともに、ヴァンデイン家の屋敷に入っていた。
入ってすぐに目に入ってきたのは、使用人達の存在である。皆、暗い顔で廊下に立っているのだ。
当然のことだが、私達が入ってきたことに使用人達は気づいた。だが、声をあげるものはいない。恐らく、今は声を出してはいけない状況なのだろう。
「何があった?」
使用人の一人に、ロクス様は小声でそのように問いかけた。
すると、その使用人はゆっくりと口を開く。
「実は、先程アウターノ様が訪ねて来たのです」
「アウターノが……」
「やはり、アウターノ様が……」
使用人の口から出てきた名前は、私達が予想していた人物の名前だった。
やはり、アウターノ様が何かしていたのだ。
「それで、ログド様に話があると言って、お二人で話すことになったのです」
「父上とアウターノが二人で?」
「それで、しばらくしてから、ログド様が使用人達全員に集まって動かないように命じてきたのです」
「そういうことだったのか……」
使用人の話を聞いて、私もロクス様も少し誤解していたことがわかった。
どうやら、アウターノ様は何か起こしたという訳ではないようだ。
ここに使用人達が集まっているのは、ログド様の指示のようである。それなら、大変なことが起きているという訳ではないだろう。
「ただ、私達全員、恐れているのです。前々から、アウターノ様はログド様を恨んでいました。だから、何かをするのではないかと気掛かりで仕方ないのです」
「ああ、皆の気持ちは理解している。僕も同じ気持ちだ」
使用人達が暗い顔をしているのは、アウターノ様が何かしないか心配だったからのようだ。
その気持ちは、とても理解できる。私もロクス様も、そのことが気になっているからだ。
アウターノ様が、今は何も起こしていないからといって、これからも何もしないとは限らない。今、二人きりの密室で何か起こっていてもおかしくはないのだ。
「ロクス様……」
「ええ、ここは僕達もその部屋に向かった方がいいでしょうね」
私の言葉に、ロクス様はそう返してきた。
その意見には、私も賛成だ。ここは、ログド様とアウターノ様がいる部屋に向かうべきだろう。
アウターノ様が何を考えているかはわからないが、彼がログド様を恨んでいることは事実である。そんな人物とログド様を二人きりで放っておく訳には、いかないのだ。
「行きましょう」
「はい」
ロクス様の言葉に、私はしっかりと頷いた。
こうして、私達は二人が話している部屋に向かうのだった。
入ってすぐに目に入ってきたのは、使用人達の存在である。皆、暗い顔で廊下に立っているのだ。
当然のことだが、私達が入ってきたことに使用人達は気づいた。だが、声をあげるものはいない。恐らく、今は声を出してはいけない状況なのだろう。
「何があった?」
使用人の一人に、ロクス様は小声でそのように問いかけた。
すると、その使用人はゆっくりと口を開く。
「実は、先程アウターノ様が訪ねて来たのです」
「アウターノが……」
「やはり、アウターノ様が……」
使用人の口から出てきた名前は、私達が予想していた人物の名前だった。
やはり、アウターノ様が何かしていたのだ。
「それで、ログド様に話があると言って、お二人で話すことになったのです」
「父上とアウターノが二人で?」
「それで、しばらくしてから、ログド様が使用人達全員に集まって動かないように命じてきたのです」
「そういうことだったのか……」
使用人の話を聞いて、私もロクス様も少し誤解していたことがわかった。
どうやら、アウターノ様は何か起こしたという訳ではないようだ。
ここに使用人達が集まっているのは、ログド様の指示のようである。それなら、大変なことが起きているという訳ではないだろう。
「ただ、私達全員、恐れているのです。前々から、アウターノ様はログド様を恨んでいました。だから、何かをするのではないかと気掛かりで仕方ないのです」
「ああ、皆の気持ちは理解している。僕も同じ気持ちだ」
使用人達が暗い顔をしているのは、アウターノ様が何かしないか心配だったからのようだ。
その気持ちは、とても理解できる。私もロクス様も、そのことが気になっているからだ。
アウターノ様が、今は何も起こしていないからといって、これからも何もしないとは限らない。今、二人きりの密室で何か起こっていてもおかしくはないのだ。
「ロクス様……」
「ええ、ここは僕達もその部屋に向かった方がいいでしょうね」
私の言葉に、ロクス様はそう返してきた。
その意見には、私も賛成だ。ここは、ログド様とアウターノ様がいる部屋に向かうべきだろう。
アウターノ様が何を考えているかはわからないが、彼がログド様を恨んでいることは事実である。そんな人物とログド様を二人きりで放っておく訳には、いかないのだ。
「行きましょう」
「はい」
ロクス様の言葉に、私はしっかりと頷いた。
こうして、私達は二人が話している部屋に向かうのだった。
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