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 私とリルガー様は、エルグレンド王国に戻って来ていた。
 玉座の間に通されて、私はとても驚いた。なぜなら、その玉座にラルーグ様が座っていたからである。

「どうして、ラルーグ様が玉座に……?」
「ああ、私がこのエルグレンド王国の王になることが決まったからです」
「王に? まあ、玉座に座っているということは、そういうことですよね……」

 ラルーグ様の言っていることは理解できた。
 玉座に座っているのだから、当然彼は国王になったのだろう。
 だが、その過程がわからない。どうして、彼が国王になったのだろうか。

「今回の戦いで、貴族達を取りまとめたことによって、私が国を継いでも問題ないと父上も判断したようです」
「……それは、嘘ですね」
「おや、どうしてですか?」
「あなたの父上は、今までもあなたに国政を任せていました。そんな人が、そんな理由で国王を退くとは思えません」
「よくわかっているようですね」

 ラルーグ様の言葉が偽りであることは、すぐにわかった。
 リルガー様から、前国王は簡単に王位を退かない人だと聞いていたこともあって、すぐに答えが出せたのである。

「正直言って、父上は私やリルガーにとって、邪魔な存在でした。無駄に権力を持って、無駄な欲を出す彼は、もうこの国には必要がない存在だったのです」
「そうだったのですね……」
「そんな国王に退いてもらうには、少し時間がかかりました。貴族達を味方につける必要があったからです。まあ、それを無事に成し遂げたので、退いてもらった訳です。彼は、今頃山奥の別荘で優雅な暮らしをしているでしょう」
「そうですか……」

 ラルーグ様の言葉に、私は納得した。この説明の方が、しっくりきたのだ。
 前国王の性格もそうだが、そのやり方もラルーグ様らしいと思ったのである。

「さて、リルガー、帰って来て早々悪いのですが、あなたに頼みたいことがあります」
「はい……なんでしょうか?」
「あなたには、レパイア王国の管理をしてもらいたいのです。丁度、あちらには王城も残っていますし、あちらで統治を行ってもらえませんか?」

 そこで、ラルーグ様はリルガー様にそんなことを言った。
 レパイア王国の統治。それをリルガー様に任せてくれるのは、私にとってありがたいことである。彼ならば、あの王国を悪いようにはしないと思っているからだ。

「兄上、あなたの言葉に僕は従うと決めています。故に、その提案は当然受け入れさせていただきます。ただ、一つお願いを聞いてもらってもよろしいでしょうか?」
「ええ、なんですか?」
「彼女を、僕の傍に置かせていただきたいのです」
「え?」

 リルガー様の言葉に、私は少し驚いた。
 まさか、私の話が出てくるとは思っていなかったからだ。
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