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 私は、メイド二人の監視の元で生活していた。
 基本的に、フェルアさんとシェルウィーさんは交代で私の監視を行う。今日は、シェルウィーさんが付いてくれている。

「イルアナ様、何かご用はありますか?」
「あ、いえ、大丈夫です……」
「そうですか? 何かあったら、言ってくださいね」
「は、はい……」

 シェルウィーさんは、とても友好的だった。
 監視の任務を受けている暗殺者とは思えない程に、明るく私に接してくるのだ。
 その朗らかな態度に、私もすっかり警戒心が抜けている。もしかしたら、それが狙いなのだろうか。

「……すみませんね、いつも監視されているなんて、苦しいですよね?」
「え? ええ、まあ、苦しくない訳ではないですが……」
「ちなみに、他人と共同生活はしたことがありますか?」
「あ、いえ、一人暮らしがほとんどです」
「なるほど……それなら、猶更辛いですよね。あ、もしよかったら姿を隠していましょうか? 最も、監視はしなければならないので覗いてはいますが……」
「いえ、大丈夫です……」

 シェルウィーさんは、とてもよく喋っていた。
 結構暗い気持ちの私にとって、それは少しありがたいことである。
 監視ではあるが、この人となら上手くやっていけるのではないだろうか。



◇◇◇



 私は、メイド二人の監視の元で生活していた。
 基本的に、フェルアさんとシェルウィーさんは交代で私の監視を行う。今日は、フェルアさんが付いてくれている。

「……」
「……」

 フェルアさんは、シェルウィーさんと違いほとんど喋らない。
 こちらが話しかければ応えてくれるが、あちらからは決して喋りかけてこないのだ。

「……」
「……」

 シェルウィーさんとの違いに、最初は少し驚いた。
 しかし、これはこれで心地いい。静かで落ち着けるので、悪くない雰囲気だ。

「……」
「……」

 というか、フェルアさんは気配までほとんどしない。
 そこにいるはずなのに、どこにもいないように思えるのだ。
 これは、シェルウィーさんが言っていた姿を隠すことを実行しているということなのだろうか。いや、姿は見えているので、そういうことではないのかもしれない。

 そこまで考えて、私はあることを思いついた。
 これは、もしかして、暗殺するための技術なのではないだろうか。
 気配を消して、後ろから切る。そういうことなのかもしれない。

 それを思いついてから、この沈黙がとても怖くなった。
 手は出されないと理解しているが、それでも少し怖いのだ。
 そんなことを思いながら、私はフェルアさんと過ごすのだった。
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