36 / 48
36.禁じられし魔法
しおりを挟む
「それでルナーラ様、このメイドと御者はどうするのですか?」
「え? ああ、それはあまり考えていませんでしたね……」
「息はあるようですね……」
ルナーラ様が王位を継ぐという話を受け流して、ラベルグ様は周囲に寝転がっている人達に触れてきた。
遠目から見たら生きていたかどうかわからなかったが、どうやら無事であるようだ。それはなんというか、安心していいのかどうかは微妙な所である。この二人は、ルナーラ様がやったことの証人だ。大丈夫なのだろうか。
「この二人にはばれないように襲いましたが、余計なことを喋られたら困りますから、対策する必要はあるでしょうね……」
「対策……何か物騒なことでもするつもりですか?」
「いいえ、物騒なんてそんなことはしませんよ。そうですね、せん――いいえ、少しばかりわかってもらいますか」
「……?」
ルナーラ様の言葉に、ラベルグ様は怪訝な顔をした。
彼は、魔法のことについてはそこまで詳しくはない。ルナーラ様が何を言っているのか、よくわからないのだろう。
ただ私には何を言っているのかが理解できた。恐らくルナーラ様は、精神に干渉するつもりなのだ。
「ルナーラ様、精神に干渉される魔法は国際法でも禁じられているのではありませんか?」
「え? ああ、そういえばそうでしたね」
「……ルナーラ様、それは本当ですか?」
私の言葉に、ラベルグ様は強く反応していた。
真面目な騎士である彼は、そういったことには敏感であるらしい。その目が鋭く、ルナーラ様の方を捉えている。
「ええ、本当ですよ。禁止されています。精神に干渉する魔法は非道なものだとされていますからね……ですが仕方ありません。この二人に余計なことを喋らせないためには、そうするか命を奪うかだけです」
「……そうですね。命を奪うよりはマシですか」
ルナーラ様の説明を聞いて、ラベルグ様はため息をついた。
この状況では、それに頼るしかないと結論を出したのだろう。彼の悩みは、一瞬のものだったといえる。
それを引き越してしまったことは、申し訳ない。ただ私としても、それに触れない訳にはいかなかったのだ。
「ルナーラ様、そういうことならせめて一人は私に任せていただけませんか? 今回のような場合は、個々に魔法をかけるのでしょう? それなら分担した方が良いはずです」
「そうですね……それなら、メイドの方をお願いできますか? 彼女はニルーアに近かった。事情も色々と知っていた。記憶に蓋をするの難しいでしょうから。お願いします」
「ええ、任せてください」
精神に干渉する魔法は、そもそも簡単なものではない。
今回のような場合では分担しておいた方がいいだろう。そう思って私は進言したのだ。
魔法の是非に関しては、今は考えていない。これはこの国のために行うことだ。私はそう思っているため、その気持ちに従うことにする。
「え? ああ、それはあまり考えていませんでしたね……」
「息はあるようですね……」
ルナーラ様が王位を継ぐという話を受け流して、ラベルグ様は周囲に寝転がっている人達に触れてきた。
遠目から見たら生きていたかどうかわからなかったが、どうやら無事であるようだ。それはなんというか、安心していいのかどうかは微妙な所である。この二人は、ルナーラ様がやったことの証人だ。大丈夫なのだろうか。
「この二人にはばれないように襲いましたが、余計なことを喋られたら困りますから、対策する必要はあるでしょうね……」
「対策……何か物騒なことでもするつもりですか?」
「いいえ、物騒なんてそんなことはしませんよ。そうですね、せん――いいえ、少しばかりわかってもらいますか」
「……?」
ルナーラ様の言葉に、ラベルグ様は怪訝な顔をした。
彼は、魔法のことについてはそこまで詳しくはない。ルナーラ様が何を言っているのか、よくわからないのだろう。
ただ私には何を言っているのかが理解できた。恐らくルナーラ様は、精神に干渉するつもりなのだ。
「ルナーラ様、精神に干渉される魔法は国際法でも禁じられているのではありませんか?」
「え? ああ、そういえばそうでしたね」
「……ルナーラ様、それは本当ですか?」
私の言葉に、ラベルグ様は強く反応していた。
真面目な騎士である彼は、そういったことには敏感であるらしい。その目が鋭く、ルナーラ様の方を捉えている。
「ええ、本当ですよ。禁止されています。精神に干渉する魔法は非道なものだとされていますからね……ですが仕方ありません。この二人に余計なことを喋らせないためには、そうするか命を奪うかだけです」
「……そうですね。命を奪うよりはマシですか」
ルナーラ様の説明を聞いて、ラベルグ様はため息をついた。
この状況では、それに頼るしかないと結論を出したのだろう。彼の悩みは、一瞬のものだったといえる。
それを引き越してしまったことは、申し訳ない。ただ私としても、それに触れない訳にはいかなかったのだ。
「ルナーラ様、そういうことならせめて一人は私に任せていただけませんか? 今回のような場合は、個々に魔法をかけるのでしょう? それなら分担した方が良いはずです」
「そうですね……それなら、メイドの方をお願いできますか? 彼女はニルーアに近かった。事情も色々と知っていた。記憶に蓋をするの難しいでしょうから。お願いします」
「ええ、任せてください」
精神に干渉する魔法は、そもそも簡単なものではない。
今回のような場合では分担しておいた方がいいだろう。そう思って私は進言したのだ。
魔法の是非に関しては、今は考えていない。これはこの国のために行うことだ。私はそう思っているため、その気持ちに従うことにする。
553
あなたにおすすめの小説
聖女の妹、『灰色女』の私
ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。
『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。
一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?
【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします
ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに
11年後、もう一人 聖女認定された。
王子は同じ聖女なら美人がいいと
元の聖女を偽物として追放した。
後に二人に天罰が降る。
これが この体に入る前の世界で読んだ
Web小説の本編。
だけど、読者からの激しいクレームに遭い
救済続編が書かれた。
その激しいクレームを入れた
読者の一人が私だった。
異世界の追放予定の聖女の中に
入り込んだ私は小説の知識を
活用して対策をした。
大人しく追放なんてさせない!
* 作り話です。
* 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。
* 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。
* 掲載は3日に一度。
奪う人たちは放っておいて私はお菓子を焼きます
タマ マコト
ファンタジー
伯爵家の次女クラリス・フォン・ブランディエは、姉ヴィオレッタと常に比較され、「控えめでいなさい」と言われ続けて育った。やがて姉の縁談を機に、母ベアトリスの価値観の中では自分が永遠に“引き立て役”でしかないと悟ったクラリスは、父が遺した領都の家を頼りに自ら家を出る。
領都の端でひとり焼き菓子を焼き始めた彼女は、午後の光が差す小さな店『午後の窓』を開く。そこへ、紅茶の香りに異様に敏感な謎の青年が現れる。名も素性も明かさぬまま、ただ菓子の味を静かに言い当てる彼との出会いが、クラリスの新しい人生をゆっくりと動かし始める。
奪い合う世界から離れ、比較されない場所で生きると決めた少女の、静かな再出発の物語。
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……
【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています
如月ぐるぐる
ファンタジー
公爵令嬢フランチェスカは、誕生日に婚約破棄された。
「王太子様、理由をお聞かせくださいませ」
理由はフランチェスカの先見(さきみ)の力だった。
どうやら王太子は先見の力を『魔の物』と契約したからだと思っている。
何とか信用を取り戻そうとするも、なんと王太子はフランチェスカの処刑を決定する。
両親にその報を受け、その日のうちに国を脱出する事になってしまった。
しかし当てもなく国を出たため、何をするかも決まっていない。
「丁度いいですわね、冒険者になる事としましょう」
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる