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25.有象無象の集まり

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「……まあ、あなたの意見はよくわかりました。しかしながらこちらとしては、連れて帰らないとならないのです。あなた以外に、聖女が務まる者はこの国にいませんからね」
「……申し訳ありませんが、私は動きませんよ」
「動いてもらうと言っているのです」

 ニルーア様は、私に対して下卑た笑みを向けてきた。
 何かしら強引な手を使うということだろうか。先程村を潰すと脅したばかりなのだが、それは理解できていないのかもしれない。
 そんなことを考えていると、彼女はゆっくりと手を上げた。すると後ろから、二人の女性が出て来る。それは聖女の選抜の後に、私に詰め寄ってきていた人達だ。

「あなた達は……」
「元聖女フェルーナ、久し振りね」
「貧相な村の出身だと聞いていたけれど、それは本当だったみたいね」

 二人の令嬢は、ニルーア様と同じように下卑た笑みを浮かべていた。
 私が生まれた村を侮辱したことは、当然不快だ。しかし気になるのは、二人がやけに調子に乗っていることだ。以前王城では、私にひどく怯えていたというのに。

「何のつもりですか?」
「あなたのことは、前々から気に食わなかったのよ。そんなあなたを王女の許可を得て、堂々と叩き潰せるのですから、今は良い気分です」
「叩き潰せる?」
「私達だけと思わないでください。あなたのことが気に食わない者は、いくらでもいるのですからね」

 二人の令嬢の後ろには、見覚えがあるようなないような魔法使い達がいた。
 数を集めれば、私を従えられると思っているということだろうか。それはなんとも、浅はかな考え方である。
 私からしてみれば、そんなものは有象無象でしかない。いくら集まった所で、意味なんてないのである。それを教えてあげなければならないようだ。

「ああ、聖女に戻るつもりであるならば、許して差し上げますよ。そういう話になっていますからね。まあ、私としてはそんなことは――」
「え? アルメシア……?」

 私はとりあえず、令嬢の内の一人に魔法を放った。
 二人は、それを使ったことにすら気付いていないらしい。どうやら私との間には、かなりの力量差があるようだ。
 故に令嬢の内の一人は、瞬く間に固まった。石に変える魔法は、無事に成功したらしい。

「んなっ……! そんな、馬鹿な――え?」
「あれ? あなた……」
「嘘、こっちも……」

 私は、さらに後ろにいた魔法使い達も何人か石に変えてみせた。
 それに彼女達は、少し遅れて気付いていた。この中に私に対抗できる者はいない。それが改めて確信できた。何人いたって、それは変わらない。
 ニルーア様も、この状況には目を丸めている。彼女にとっても、この状況は予想外だったようだ。
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