「平民が聖女になれただけでも感謝しろ」とやりがい搾取されたのでやめることにします。

木山楽斗

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19.村を案内して

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 私は、ラベルグ様を村長などに紹介した。
 彼が公爵家の人間であるということは、伏せてある。それは相談して決めたことだ。その素性を明かしても、良いことはないだろうし。
 その後私は、ラベルグ様を案内していた。とはいえ、小さな村であるため、そこまで案内するべき場所はないのだが。

「住人の顔や家なんかは、これからゆっくりと覚えていけば良いと思います。でもここは、騎士が必要な事件なんて滅多に起こらないのですけれどね」
「平和なのは良いことさ。それに、何か力仕事でもあれば俺を呼んでくれれば良い。騎士というものの本質は、誰を助けることにあると、俺は思っているからな」
「ラベルグ様は立派な人ですね。きっと皆、すぐに受け入れてくれると思います」

 ラベルグ様の前任である駐在の騎士ゼボールさんは、皆から慕われていた。
 頼りになる人であり、私も困ったことなどがあればすぐに相談したものだ。
 そういった時に彼は、嫌な顔を一つもせずに助けてくれた。そんなゼボールさんの根底にもきっと、ラベルグ様のような思いがあったのだろう。

「ああ、そうだ。ここが私の家です」
「……そういえば、身の上などは聞いていなかったな。フェルーナ、あなたの両親は?」
「ご察しの通り、もう亡くなっているんです。といっても、もう随分と昔のことですけれど」
「そうか……すまないな」
「私は大丈夫です。この村は良い村なんですよ。皆両親を亡くした私のことを気遣って、良くしてくれます」

 私の両親は、既に亡くなっている。祖父母も生まれる前に亡くなっていたため、私には血のつながった家族はいない。
 とはいえ、この村は一つの家族のようなものだ。温かい人ばかりだし、助け合って生きている。だから私も、そんなに寂しい訳ではない。

「……えっと、聞いても良いでしょうか? ラベルグ様のお母様は?」
「ああ、既に亡くなっている」
「そうでしたか……」
「だが、俺もあなたと同じだ。嫌っていた父は、俺の存在を受け入れた。ルナメリア様もルナーラ様も、俺のことを温かく迎え入れてくれた。色々と思う所がない訳ではないが、感謝している。だから俺は、ドルメア公爵家に従うつもりだ」

 そこでラベルグ様は、少しだけその表情を曇らせていた。
 その気持ちが、わからない訳ではない。私も時々、どうしようもなく寂しくなる時があるからだ。

「……そういえば、ルナーラ様はお元気ですか?」
「うん? ああ、それについては元気だ。元気過ぎるかもしれないな」
「元気過ぎる、ですか……」

 私はとりあえず、強引に話題を変えてみた。いつまでも落ち込んでいても、仕方ないと思ったからだ。
 しかし、その会話によって新たに気になることができた。ラベルグ様は、少々苦い顔をしている。一体ルナーラ様は、どうしたのだろうか。
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