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1.聖女の選考
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ディオート王国の聖女は、王国内にいる女性の魔法使いから選ばれる。
任期は四年、そしてその選考の基準は、魔法使いとしての実力だ。これは、基本的には身分を重んじることが多いディオート王国では、珍しいものである。
ただ、歴代の聖女は皆貴族であった。ディオート王国の貴族は、よく優れた魔法使いを輩出する。基本的に、貴族の方が魔法使いとしての才能があるのだ。
いやそれは、順序が逆といえるだろうか。優れた魔法使いの血筋だからこそ、貴族となった。そう考えるべきなのかもしれない。
それに教育の問題もあるだろう。基本的に貴族には、優れた教育が約束されている。ほとんどが独学で学ばなければならない平民とは、その辺りが大きく違うのだ。
しかしそんな土壌があっても、平民が聖女を目指すということはあった。
聖女というのは、かなりの好待遇だ。魔法について心得があり、多少自信がある者なら、一度くらいは挑戦してみたくなるものだろう。
かくいう私も、その一人だ。村で一番魔法が使えた私は、村の人達の勧めもあって、もしかしたらと挑戦することにしたのである。
「……」
聖女の選考は、何回かに分けて行われていく。
第一選考、第二選考、その度に人は減っていった。その多くは平民である。もちろん貴族の令嬢もいなくなったが、結局最終選考まで残った平民は、私一人だった。
正直な所、自分でも驚いている。小さな村で育った私は、自分が井の中の蛙であるのだと思い込んでいた。
この国にいる他の魔法使いを見て、打ちのめされるものだ。心のどこかでは、そんな風に思っていたのだ。
それなのに、最終選考まで残っている。さらに私は、思っていた。実力だけで考えれば、聖女になるのは私だと。
それくらい、私と周囲の候補者との間には実力の差があった。今の私は、負ける気がしていない。
いやそれこそ、井の中の蛙になってしまっているのだろうか。周りの人達が実力を隠している可能性もある。油断するべきではないだろう。
「明らかに頭一つ抜けている……」
「しかし、彼女は平民であるだろう」
「とはいえ、他の者では……」
そんなことを考えていると、審査員達の声が聞こえてきた。
彼らは、困っているようだった。会話の内容からして、私を聖女にするかどうかを揉めているということだろう。
どうやら、実力があってもすんなりと聖女になれるという訳でもないらしい。それは私が、初めて知る事実であった。
「ルナメリア様、判断はあなたに委ねましょう。前聖女の判断なら、私達にも異論はない」
「私の答えは皆さんが望んでいるものではないかもしれませんよ?」
「それは……」
「私は、フェルーナを聖女に推薦致します」
審査員達の質問に、前聖女であるルナメリア様は私の名前を口にした。
それに周囲の人達は、目を丸めている。ドルメア公爵夫人である彼女が、平民の名前を口にするとは思っていなかったということだろうか。
ただ彼女が一度口にした以上、それはほぼ覆らない。その鶴の一声は、非常に強力なものなのだ。
任期は四年、そしてその選考の基準は、魔法使いとしての実力だ。これは、基本的には身分を重んじることが多いディオート王国では、珍しいものである。
ただ、歴代の聖女は皆貴族であった。ディオート王国の貴族は、よく優れた魔法使いを輩出する。基本的に、貴族の方が魔法使いとしての才能があるのだ。
いやそれは、順序が逆といえるだろうか。優れた魔法使いの血筋だからこそ、貴族となった。そう考えるべきなのかもしれない。
それに教育の問題もあるだろう。基本的に貴族には、優れた教育が約束されている。ほとんどが独学で学ばなければならない平民とは、その辺りが大きく違うのだ。
しかしそんな土壌があっても、平民が聖女を目指すということはあった。
聖女というのは、かなりの好待遇だ。魔法について心得があり、多少自信がある者なら、一度くらいは挑戦してみたくなるものだろう。
かくいう私も、その一人だ。村で一番魔法が使えた私は、村の人達の勧めもあって、もしかしたらと挑戦することにしたのである。
「……」
聖女の選考は、何回かに分けて行われていく。
第一選考、第二選考、その度に人は減っていった。その多くは平民である。もちろん貴族の令嬢もいなくなったが、結局最終選考まで残った平民は、私一人だった。
正直な所、自分でも驚いている。小さな村で育った私は、自分が井の中の蛙であるのだと思い込んでいた。
この国にいる他の魔法使いを見て、打ちのめされるものだ。心のどこかでは、そんな風に思っていたのだ。
それなのに、最終選考まで残っている。さらに私は、思っていた。実力だけで考えれば、聖女になるのは私だと。
それくらい、私と周囲の候補者との間には実力の差があった。今の私は、負ける気がしていない。
いやそれこそ、井の中の蛙になってしまっているのだろうか。周りの人達が実力を隠している可能性もある。油断するべきではないだろう。
「明らかに頭一つ抜けている……」
「しかし、彼女は平民であるだろう」
「とはいえ、他の者では……」
そんなことを考えていると、審査員達の声が聞こえてきた。
彼らは、困っているようだった。会話の内容からして、私を聖女にするかどうかを揉めているということだろう。
どうやら、実力があってもすんなりと聖女になれるという訳でもないらしい。それは私が、初めて知る事実であった。
「ルナメリア様、判断はあなたに委ねましょう。前聖女の判断なら、私達にも異論はない」
「私の答えは皆さんが望んでいるものではないかもしれませんよ?」
「それは……」
「私は、フェルーナを聖女に推薦致します」
審査員達の質問に、前聖女であるルナメリア様は私の名前を口にした。
それに周囲の人達は、目を丸めている。ドルメア公爵夫人である彼女が、平民の名前を口にするとは思っていなかったということだろうか。
ただ彼女が一度口にした以上、それはほぼ覆らない。その鶴の一声は、非常に強力なものなのだ。
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