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14.帰路につきながら
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結局今日は、チームの全員が反射魔法を覚えるという行程で一日の業務が終わった。
魔法を修得するというのは、結構大変なことだ。難しい魔法なら、一か月くらいかかることもある。
そのため、私が個人的に開発した魔法をたった一日で全員が覚えるというのはかなりすごいことだといえるだろう。やはり、王城で勤務する魔術師団員は皆レベルが高い。
「ふう……」
そんなことを考えながら、私は帰路に着いていた。
私は現在、魔術師団の宿舎で暮らしている。宿舎は王城のすぐ近くにあるので、帰るのにそれ程時間はかからない。
「お疲れのようですね、ラナトゥーリ嬢」
「はい、アムティリアさん……正直、とても疲れています」
「まあ、そうですよね。私も最初の頃はくたくたになっていたと思います」
侯爵令嬢というそれなりに地位があることもあって、魔術師団員の多くはそれ程私に積極的に話しかけてこなかった。
そんな中で私に一緒に帰ろうと言ってくれたのは、アムティリア・ハルフェルト伯爵令嬢である。
それは私にとってとてもありがたいことだった。ナルルグさんやドナウさんは良くしてくれていたが、やはり同姓で頼れる先輩がいてくれるというのは嬉しい。
「それにラナトゥーリ嬢は、いきなり重要な立場に就いていましたからね……まあそれは才能があるからこそということではありますが、中々厳しいですよね」
「そうですね……皆さんに魔法を教えるというのは、結構大変でした」
「良い指導をしていただいたと思っています。本当にありがとうございました」
「あ、いえ、そんな……」
私が今日こんなにも疲れているのは、指導する立場だったというのもあるのだろう。
よく考えてみれば、魔法を実践して開発して指導をするというのは新人には中々厳しい一日だったような気がする。
それでもなんとかやり遂げたというのは、もしかしたらすごいことなのかもしれない。
「本当に、ラナトゥーリ嬢は優秀な魔術師ですね」
「いえ、そんなことはありません。アムティリアさんやナルルグさん達に比べるとまだまだです」
「いいえ、私が新人の頃はあなた程に優秀ではありませんでした。ラナトゥーリ嬢には、確かな才能があります。きっと魔術師団で大きなことを成し遂げられると思います」
「そ、そうでしょうか……」
アムティリアさんは、私のことをかなり買ってくれているようだ。
もちろん、それはお世辞の可能性もあるだろう。侯爵令嬢である私に、気を遣ってくれているのかもしれない。
しかしそれでも、少しだけ勇気が湧いてきた。これからも魔術師団で頑張っていこうと思える。
「それにラナトゥーリ嬢はもしかしたら魔術師としてだけではなく、躍進されていくかもしれませんしね……」
「……それは、どういうことですか?」
「いえ、その辺りに関しては私から言うべきことではないと思いますので」
「えっと……」
「まあ、お気になさらないでください。何れわかることだと思いますから」
アムティリアさんはそう言って楽しそうに笑っていた。
しかしその言葉の意味が、私にはわからない。魔術師として以外に、私が活躍できることなんてあるのだろうか。
「ああそういえば、宿舎はどうですか? それ程不便はない所だとは思っていますが、困ったことなどはありませんか?」
「あ、それは大丈夫です。思っていた以上にいい所で驚いているくらいです」
「まあ、一応王城の管轄ですからね」
「ああ、よく考えてみればそうでしたね……」
「何はともあれ、明日からも業務は続く訳ですから今日はゆっくりと休んでくださいね」
「はい、そうさせてもらいます」
アムティリアさんの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
今日は本当に疲れている。しっかりと休んで、明日からの業務に備えるべきだろう。
こうして私は、宿舎に帰るのだった。
魔法を修得するというのは、結構大変なことだ。難しい魔法なら、一か月くらいかかることもある。
そのため、私が個人的に開発した魔法をたった一日で全員が覚えるというのはかなりすごいことだといえるだろう。やはり、王城で勤務する魔術師団員は皆レベルが高い。
「ふう……」
そんなことを考えながら、私は帰路に着いていた。
私は現在、魔術師団の宿舎で暮らしている。宿舎は王城のすぐ近くにあるので、帰るのにそれ程時間はかからない。
「お疲れのようですね、ラナトゥーリ嬢」
「はい、アムティリアさん……正直、とても疲れています」
「まあ、そうですよね。私も最初の頃はくたくたになっていたと思います」
侯爵令嬢というそれなりに地位があることもあって、魔術師団員の多くはそれ程私に積極的に話しかけてこなかった。
そんな中で私に一緒に帰ろうと言ってくれたのは、アムティリア・ハルフェルト伯爵令嬢である。
それは私にとってとてもありがたいことだった。ナルルグさんやドナウさんは良くしてくれていたが、やはり同姓で頼れる先輩がいてくれるというのは嬉しい。
「それにラナトゥーリ嬢は、いきなり重要な立場に就いていましたからね……まあそれは才能があるからこそということではありますが、中々厳しいですよね」
「そうですね……皆さんに魔法を教えるというのは、結構大変でした」
「良い指導をしていただいたと思っています。本当にありがとうございました」
「あ、いえ、そんな……」
私が今日こんなにも疲れているのは、指導する立場だったというのもあるのだろう。
よく考えてみれば、魔法を実践して開発して指導をするというのは新人には中々厳しい一日だったような気がする。
それでもなんとかやり遂げたというのは、もしかしたらすごいことなのかもしれない。
「本当に、ラナトゥーリ嬢は優秀な魔術師ですね」
「いえ、そんなことはありません。アムティリアさんやナルルグさん達に比べるとまだまだです」
「いいえ、私が新人の頃はあなた程に優秀ではありませんでした。ラナトゥーリ嬢には、確かな才能があります。きっと魔術師団で大きなことを成し遂げられると思います」
「そ、そうでしょうか……」
アムティリアさんは、私のことをかなり買ってくれているようだ。
もちろん、それはお世辞の可能性もあるだろう。侯爵令嬢である私に、気を遣ってくれているのかもしれない。
しかしそれでも、少しだけ勇気が湧いてきた。これからも魔術師団で頑張っていこうと思える。
「それにラナトゥーリ嬢はもしかしたら魔術師としてだけではなく、躍進されていくかもしれませんしね……」
「……それは、どういうことですか?」
「いえ、その辺りに関しては私から言うべきことではないと思いますので」
「えっと……」
「まあ、お気になさらないでください。何れわかることだと思いますから」
アムティリアさんはそう言って楽しそうに笑っていた。
しかしその言葉の意味が、私にはわからない。魔術師として以外に、私が活躍できることなんてあるのだろうか。
「ああそういえば、宿舎はどうですか? それ程不便はない所だとは思っていますが、困ったことなどはありませんか?」
「あ、それは大丈夫です。思っていた以上にいい所で驚いているくらいです」
「まあ、一応王城の管轄ですからね」
「ああ、よく考えてみればそうでしたね……」
「何はともあれ、明日からも業務は続く訳ですから今日はゆっくりと休んでくださいね」
「はい、そうさせてもらいます」
アムティリアさんの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
今日は本当に疲れている。しっかりと休んで、明日からの業務に備えるべきだろう。
こうして私は、宿舎に帰るのだった。
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