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13.隣国の聖女

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 私は、スウェンド王国の王城で暮らすことになった。
 私がここで暮らすことになったのは、私に与えられた役割が関係している。私は、この国の聖女の補佐をすることになったのだ。

「スウェンド王国の聖女……エルムルナ様」

 スウェンド王国の聖女のことは、私も知っている。
 ドルマニア王国とスウェンド王国は、同盟を組んでおり、交流も盛んだった。そのため、彼女とも何度か会ったことがあるのだ。

 彼女は、とても温和な人だったと記憶している。
 ただ、そんな彼女でも罪人である私を受け入れてくれるかは微妙な所だ。
 一般的に考えて、罪人というのは心証が悪い。いくら彼女が優しい人であっても、私のことを信用できなかったとしても、それは仕方ないことである。

「……失礼します。エルムルナ様、フェルーナです」
「フェルーナさんですか? どうぞ、入ってください」
「はい……」

 私の呼びかけに、エルムルナ様は明るい声で応えてくれた。
 とりあえず、私は部屋の中に入っていく。すると、見覚えのある顔が見えてくる。

 エルムルナ様は、私よりも年上の聖女だ。
 私と同じくらいの年に聖女になった後、出産を機に引退して、また聖女に就任することになったすごい人なのである。

 魔力というものは、大抵年齢によって衰えていくものだ。
 それなのに、この年で再度聖女に選ばれる程に、彼女は優れた才能を持つ人なのである。

「お久し振りですね、フェルーナさん。どうぞ、そちらに座ってください」
「失礼します」
「お話は、殿下から窺っています。色々と大変だったようですね……」
「はい……」

 私は、少し緊張していた。
 エルムルナ様が、私のことをどのように評価しているのか。それは、よくわかっていないことだ。
 これから、私は何を言われることになるのだろうか。少々怖い所である。

「……あなたと実際に会って、殿下の話に対する理解が深まりました。どうやら、あなたは邪悪な力を受けたようですね」
「邪悪な力?」
「フェルーナさん、あなたは闇の魔法についてご存知ですか?」
「闇の魔法……すみません、聞いたことがありません」

 闇の魔法、私はそれをまったく知らなかった。
 魔法には、様々な種類がある。私も、その全貌を知っている訳ではない。
 だが、聖女をやっていたのに聞いたこともないというのは恥ずべきことだろう。せめて、概要くらいは知っておきたかったものである。

「恥じる必要はありませんよ。闇の魔法は、どちらの王国でも禁忌とされているものです。私も、それに関わるとある事件に遭遇していなければ、知ることはなかったでしょう」
「そんなに特殊なものなのですか?」
「ええ、そうなのです。まずは、それについてお話ししましょうか」

 エルムルナ様は、とても険しい顔をしていた。
 闇の魔法とは、それ程に恐ろしいものであるらしい。これは、心して聞く必要があるだろう。
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