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私は、エルード様とシャルリナとともに動きやすい服に着替えて、外に出てきていた。
よく考えてみれば、私は外に出る必要はない。先程の会話は、エルード様とシャルリナの間で交わされたものだからだ。
だが、せっかくなので、一緒に運動することにしよう。私も、運動不足かもしれないからだ。
「はあ、日の光が痛いですね……」
「その感覚がおかしいということを自覚しろ」
「自覚はしています」
「それならば、改めろ」
「嫌です」
シャルリナは、エルード様の言葉をきっぱりと否定した。
しかし、日の光が痛いというのはよくないことである。明らかに、健康ではない状態だ。
「それで、これから何をするんですか?」
「今から、この庭を一周するのだ」
「庭を走る? 正気ですか?」
どうやら、今から庭を走るようである。
ラーファン家の屋敷の庭は、とても広い。この庭を走るだけで、充分な運動になるだろう。
だが、シャルリナにはそれは無理ではないだろうか。流石に、運動していなかった彼女にこの距離は厳しいはずである。
「エルード様、流石にシャルリナは……」
「いや、こいつにも走ってもらう。この俺の一発芸をかけるというなら、それくらいしてもらわなければ困る」
私の言葉に、エルード様は反論してきた。
そう言われてしまうと、私も何も言い返せない。今回、エルード様は自分の一発芸をかけているのだから、彼の言葉には従うしかないのだ。
「それに、別にどれだけ時間がかかろうとも構わない。途中歩こうが、休もうがいい。とにかく、一周すれば、俺も一発芸を見せてやる」
「うげ……しんどそうですね……」
エルード様も、シャルリナに無理をさせようとは思っていないみたいだ。
色々と言っているが、彼は彼女のことを思っている。だから、問題ないのかもしれない。
きっと、シャルリナが本当に無理ならエルード様はきちんと助けてくれるだろう。彼の今の言葉で、私はそう思った。
「ちなみに、俺は三周くらいするつもりだ。お前も、自分が走れるだけ走るがいい」
「ええ、わかりました」
そこで、エルード様は私に声をかけてきた。
この庭を、私は何周くらいできるのだろう。そう思い、庭を見回してみる。
一度走ってみなければわからないが、恐らく二周くらいならなんとなる気がする。私も、体力はそれなりにあるので、それくらいはなんとかなるはずだ。
「さて、それでは行くぞ」
「はい、行きましょう」
「ええ……」
エルード様の言葉に、私とシャルリナは頷いた。
こうして、私達の運動が始まったのである。
よく考えてみれば、私は外に出る必要はない。先程の会話は、エルード様とシャルリナの間で交わされたものだからだ。
だが、せっかくなので、一緒に運動することにしよう。私も、運動不足かもしれないからだ。
「はあ、日の光が痛いですね……」
「その感覚がおかしいということを自覚しろ」
「自覚はしています」
「それならば、改めろ」
「嫌です」
シャルリナは、エルード様の言葉をきっぱりと否定した。
しかし、日の光が痛いというのはよくないことである。明らかに、健康ではない状態だ。
「それで、これから何をするんですか?」
「今から、この庭を一周するのだ」
「庭を走る? 正気ですか?」
どうやら、今から庭を走るようである。
ラーファン家の屋敷の庭は、とても広い。この庭を走るだけで、充分な運動になるだろう。
だが、シャルリナにはそれは無理ではないだろうか。流石に、運動していなかった彼女にこの距離は厳しいはずである。
「エルード様、流石にシャルリナは……」
「いや、こいつにも走ってもらう。この俺の一発芸をかけるというなら、それくらいしてもらわなければ困る」
私の言葉に、エルード様は反論してきた。
そう言われてしまうと、私も何も言い返せない。今回、エルード様は自分の一発芸をかけているのだから、彼の言葉には従うしかないのだ。
「それに、別にどれだけ時間がかかろうとも構わない。途中歩こうが、休もうがいい。とにかく、一周すれば、俺も一発芸を見せてやる」
「うげ……しんどそうですね……」
エルード様も、シャルリナに無理をさせようとは思っていないみたいだ。
色々と言っているが、彼は彼女のことを思っている。だから、問題ないのかもしれない。
きっと、シャルリナが本当に無理ならエルード様はきちんと助けてくれるだろう。彼の今の言葉で、私はそう思った。
「ちなみに、俺は三周くらいするつもりだ。お前も、自分が走れるだけ走るがいい」
「ええ、わかりました」
そこで、エルード様は私に声をかけてきた。
この庭を、私は何周くらいできるのだろう。そう思い、庭を見回してみる。
一度走ってみなければわからないが、恐らく二周くらいならなんとなる気がする。私も、体力はそれなりにあるので、それくらいはなんとかなるはずだ。
「さて、それでは行くぞ」
「はい、行きましょう」
「ええ……」
エルード様の言葉に、私とシャルリナは頷いた。
こうして、私達の運動が始まったのである。
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