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 私は、シャルリナとともに部屋に戻って来ていた。
 先程まで、この部屋で談笑していたというのに、今は一転してとても悲しい気持ちである。

「ううっ……」
「シャルリナ、大丈夫?」
「……叔母様こそ、大丈夫なんですか?」
「それは……そうだけど……」

 私もシャルリナも、涙が止まらなかった。
 ゴガンダ様の死から、私達はまだ立ち直れていない。落ち着くまで、まだまだ時間はかかりそうである。

「と、とりあえず、座ろうか」
「そうですね……ベッドの上にでも行きましょう」

 ここに来るまでの間、私達は手をしっかりと握っていた。
 そうしなければ、崩れ落ちてしまいそうだったからだ。
 悲しみを共有できる人がいるというのは、少しありがたいことだった。一人だったら、私はこの部屋まで来ることすらできなかっただろう。

「ふう……そろそろ、泣き疲れてきましたね」
「そうだね……」
「でも、涙は止まりません。やっぱり、悲しすぎます」
「うん……」

 シャルリナの気持ちは、とてもよくわかった。
 もう泣きすぎて目が痛い。それなのに、涙は止まってくれないのだ。

「まさか、今日いなくなるなんて、思ってもいませんでした……こんなことなら、会っておけばよかった。そう後悔しても、遅いのですけど、どうしてもそう思ってしまいます……」
「会っておけば……」

 シャルリナの言葉に、私はあることに気づいた。
 そういえば、彼女は私がゴガンダ様の部屋から出て来た時にあの場所にいた。
 もしかして、彼女は祖父に会いに来たということなのだろうか。それが叶わなかったのは、

「私がいたから?」
「え?」

 私がいたから、彼女は祖父に会わずに帰ったのかもしれない。
 そう思った時、私はとても申し訳ない気持ちになった。
 あの時、私が話しかけなければ、彼女は祖父と会っていた。今のような後悔をしなくて済んだのである。

「あ、叔母様のせいではありませんよ。あの時逃げたのは……私が、弱かったせいです。人見知りして、勝手に逃げただけですから……」
「でも……」
「そんなことは気にしないでください。これは、私の責任です。私が……もっと強かったら……」
「ごめんね……シャルリナ」

 後悔の念が深まったのか、シャルリナの目からは大量の涙が流れてきた。
 そんな彼女の体を、私はしっかりと抱きしめる。謝罪の言葉は、彼女が祖父に会えなかったことへのものではない。彼女に、その後悔を深めさせてしまったことへの謝罪だ。
 私達は、それから泣き続けた。深い悲しみの中、彼女の温もりはとてもありがたいものだった。
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