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21.婚約の報告
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「いや、よく来てくれたな、二人とも」
「お久し振りです、エルヴァイン公爵……といっても、前に会った時からそんなに経ってはいませんか?」
「確かにそうだな。まさかこれ程まで短期間で君と顔を合わせることになるとは、思っていなかったが……」
私とバルハルド様は、エルヴァイン公爵家の屋敷にやって来ていた。
少し前に、私の近況を訪ねる手紙がルヴァーリ伯爵家に届き、バルハルド様の取引相手がエルヴァイン公爵の領地にいたため、せっかくなので訪ねてさせてもらうことにしたのだ。
エルヴァイン公爵は、人に訪問されることを喜ぶ方である。彼は私達の訪問を、盛大に歓迎してくれた。
「バルハルド、君も元気にやっていたか?」
「ええ、お陰様で。エルヴァイン公爵も、お元気でしたか?」
「まあ、元気過ぎるくらいだな」
ベルージュ侯爵家の妾の子であるバルハルド様とも、エルヴァイン公爵は顔見知りであるようだった。なんでも、公爵はバルハルド様の商会もよく利用しているそうだ。
エルヴァイン公爵の顔の広さには、いつも驚かされる。彼程に社交界に顔が利く人は、中々いないのではないだろうか。
「しかしまさか、君達が婚約するとは思っていなかった。ただ、改めて考えてみると、君達はお似合いだ。君達ならば、きっとお互いを尊重して生きてけるだろう」
「エルヴァイン公爵からお墨付きをいただけるのは心強いですね……」
エルヴァイン公爵は、私達の婚約をとても祝福してくれているようだった。
ウルガド様は怒らせてしまった訳だが、エルヴァイン公爵は基本的にはとてもお優しい方だ。基本的に笑顔を崩さず、その人柄の良さが伝わってくる。
「今回の婚約は、ファナトやクルメアの発案であると聞いたが……バルハルド、君は良き弟と妹を持ったな。二人のことも大切にするといい」
「当然、そのつもりです、エルヴァイン公爵。私はあの二人の幸せをどこまでも願っています。そして、自分の妻も幸せにするつもりです」
「結構なことだ。しかし、君自身の幸せも忘れてはならないぞ」
「心得ています。ただ、私は既に充分に幸せです。仕事も順調で、弟と妹に恵まれ、妻にも恵まれている。これ以上望むことなどありません」
「なるほど、それならその日々を維持することに務めるか……」
エルヴァイン公爵の言葉に、バルハルド様は真っ直ぐに言葉を返していた。
飄々と答えているが、それはきっと彼の本心であるだろう。それにエルヴァイン公爵は、満足そうに笑みを浮かべるのだった。
「お久し振りです、エルヴァイン公爵……といっても、前に会った時からそんなに経ってはいませんか?」
「確かにそうだな。まさかこれ程まで短期間で君と顔を合わせることになるとは、思っていなかったが……」
私とバルハルド様は、エルヴァイン公爵家の屋敷にやって来ていた。
少し前に、私の近況を訪ねる手紙がルヴァーリ伯爵家に届き、バルハルド様の取引相手がエルヴァイン公爵の領地にいたため、せっかくなので訪ねてさせてもらうことにしたのだ。
エルヴァイン公爵は、人に訪問されることを喜ぶ方である。彼は私達の訪問を、盛大に歓迎してくれた。
「バルハルド、君も元気にやっていたか?」
「ええ、お陰様で。エルヴァイン公爵も、お元気でしたか?」
「まあ、元気過ぎるくらいだな」
ベルージュ侯爵家の妾の子であるバルハルド様とも、エルヴァイン公爵は顔見知りであるようだった。なんでも、公爵はバルハルド様の商会もよく利用しているそうだ。
エルヴァイン公爵の顔の広さには、いつも驚かされる。彼程に社交界に顔が利く人は、中々いないのではないだろうか。
「しかしまさか、君達が婚約するとは思っていなかった。ただ、改めて考えてみると、君達はお似合いだ。君達ならば、きっとお互いを尊重して生きてけるだろう」
「エルヴァイン公爵からお墨付きをいただけるのは心強いですね……」
エルヴァイン公爵は、私達の婚約をとても祝福してくれているようだった。
ウルガド様は怒らせてしまった訳だが、エルヴァイン公爵は基本的にはとてもお優しい方だ。基本的に笑顔を崩さず、その人柄の良さが伝わってくる。
「今回の婚約は、ファナトやクルメアの発案であると聞いたが……バルハルド、君は良き弟と妹を持ったな。二人のことも大切にするといい」
「当然、そのつもりです、エルヴァイン公爵。私はあの二人の幸せをどこまでも願っています。そして、自分の妻も幸せにするつもりです」
「結構なことだ。しかし、君自身の幸せも忘れてはならないぞ」
「心得ています。ただ、私は既に充分に幸せです。仕事も順調で、弟と妹に恵まれ、妻にも恵まれている。これ以上望むことなどありません」
「なるほど、それならその日々を維持することに務めるか……」
エルヴァイン公爵の言葉に、バルハルド様は真っ直ぐに言葉を返していた。
飄々と答えているが、それはきっと彼の本心であるだろう。それにエルヴァイン公爵は、満足そうに笑みを浮かべるのだった。
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