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18.王位の行方

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 イルヴァン様が失脚したことによって、次の王位を誰が継承するかが決まった。
 その王位を継承することになった人物は、第一王子であるアルバトス様だ。結果として第一王子である彼が、順当に王位を継ぐことになったのである。

「……本当によかったんですか?」
「ええ、僕は王位にはそんなに興味がありませんでしたからね……イルヴァン兄上が王位を継がないなら、別にいいんです」
「アルバトス様も、同じことを言っていましたけど……」
「まあ、イルヴァン兄上の悪事を暴いたのは僕ですからね。ここは、僕の意向に従ってもらったという訳です」

 後からわかったことだったが、アルバトス様もウルド様も王位にはそれ程興味がなかったようである。
 いや、それ所かお互いに王位を押し付け合っていた。二人にとって重要だったのは、イルヴァン様が王位を継がないことだったらしい。
 それはなんというか、驚くべきことである。てっきり兄弟全員が、王位を巡って争っているものだとばかり思っていたのだが。

「ウルド様は、変わっていますね……」
「そうでしょうか? ええ、そうなのでしょうね。確かに僕は、変わり者といえるかもしれません」
「まあ、私はそんな変わり者であるあなたのおかげで助かった訳ですが……」

 ウルド様は、はっきりと言って変わり者である。
 木の上に登ったりするし、その言動は予想がつかない。天才肌とでもいうのだろうか。少々自由奔放な所がある。
 ただ彼のそういう部分に、私は助けられてきた。だからだろうか、そんな彼の気質が私には心地よく思える。

「というか、マルテリア嬢の方こそよかったんですか? 僕なんかと婚約して」
「……ええ、よかったと思っています。ウルド様は変わっていますが、尊敬できる方ですから」
「僕にそういうことを言うあなたも、充分に変わり者であると思いますけどね」

 私の言葉に、ウルド様は笑っていた。
 しかし私は、彼が本当に尊敬できる人だと私は考えている。その飄々とした様まで含めて、彼は立派な紳士であるとそう思っているのだ。

「ああ、そうだ。一つ言い忘れていました」
「おや、どうかしましたか?」
「私のことは、マリーと呼んでください。親しい人は皆そう呼んでいますから」
「そうでしたか……それでは、マリー嬢ということですね?」
「ええ、それでお願いします」

 そこで私とウルド様は、同時に笑い合った。
 この空気が心地いい。これからも彼とは、こんな温かい日々を過ごしていこう。私はそう思うのだった。
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