不出来な妹など必要ないと私を切り捨てたあなたが、今更助けを求めるなんて都合が良い話だとは思いませんか?

妾の子であるエリーゼは、伯爵家に置いて苦しい生活を送っていた。
伯爵夫人や腹違いの兄からのひどい扱いに、彼女の精神は摩耗していたのである。

支えである母を早くに亡くしたエリーゼにとって、伯爵家での暮らしは苦痛であった。
しかし出て行くこともできなかった。彼女の母に固執していた父である伯爵が、エリーゼを縛り付けていたのだ。

そんな父も亡くなって、兄が伯爵家の実権を握った時、彼はエリーゼを追い出した。
腹違いの妹を忌み嫌う彼は、エリーゼを家から排除したのだ。

だが、彼の憎しみというものはそれで収まらなかった。
家から離れたエリーゼは、伯爵家の手の者に追われることになったのである。

しかし彼女は、色々な人の助けを借りながらそれを跳ね除けた。
そうしている間に、伯爵家には暗雲が立ち込めていた。エリーゼを狙ったことも含めて悪事が露呈して伯爵家は非難を受けることになったのである。

そんな時に、兄はエリーゼに助けを求めてきた。
だが当然、彼女はそんな兄を突き放した。元々伯爵家の地位などにも興味がなく、ひどい目に合わされてきた彼女にとって、兄からの懇願など聞くに値しないものであったのだ。
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