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51.騎士団の失態
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「さてと、そろそろ俺に話させてもらってもいいか?」
「ああ、そういえば……すみません。存在を忘れていました」
「まったく、エルメラ嬢は厳しいな。まあ、仕方ないか」
エルメラの話が一段落して、チャルア殿下が口を開いた。
彼は気まずそうに頭をかきながら、私に視線を移す。天下の第二王子であっても、エルメラには敵わないようだ。
「イルティナ嬢、今回の件は申し訳なかった。騎士団に最も深く関わっている王族である俺が、代表して謝罪しよう」
「ああいえ、個人の問題ですから」
「この取調室であったことはそうだが、そもそも捜査の発端からが間違いだ。ヘレーナ嬢という立場の強い者の発言を優先した。それは、騎士団として恥ずべきことだ」
チャルア殿下は、悔しそうな顔をしていた。
彼は、何れ騎士団を背負うと言われている。そんな彼にとって、騎士団の失態はとても心苦しいものなのだろう。
そんな彼は、これからさらに追い詰められることになる。エルメラが私の見たものを公開すれば、騎士団はかなり批判されるだろう。
とはいえ、私のような被害者がこれ以上出ないように、騎士団には反省してもらわなければならない。そのため、私としてもエルメラの言っていたことは実行するべきだと強く思っている。
「ドルギアに事態を知らされた時には、かなり驚いたものだ。何かある前に、間に合って良かった」
「ドルギア殿下は、チャルア殿下を呼びに行っていたのですね?」
「ええ、こういう時には兄上が一番働きかけられますからね……ついでに、エルメラ嬢――というかアーガント伯爵家にも連絡しました」
「その知らせを受けて、私が飛んできた訳です」
ドルギア殿下は、私のためにかなり動いてくれていたようだ。
そのことが、私は嬉しかった。エルメラといい、私は周りの人々に恵まれているといえる。
「まあ、何はともあれ、あなたをこれ以上拘束したりはしない。改めて話を聞かせてもらうことになるとは思うが……」
「私が記録した映像がありますから、お姉様が正当なる防衛をしたことは証明されるでしょう。まあ仮に非があるとすれば、私ということになります。ヘレーナ嬢が傷ついた魔法は、私がかけたものですから」
「チャルア殿下、ヘレーナ嬢の権力などでこの件を有耶無耶にしないでくださいね」
「もちろんだとも」
エルメラの言葉に、私はチャルア殿下に強く進言したくなった。
こんなことでエルメラの経歴に傷がつくなんて、とんでもないことだ。今回の件は、改めて厳正に考えてもらいたいものである。
「ああ、そういえば……すみません。存在を忘れていました」
「まったく、エルメラ嬢は厳しいな。まあ、仕方ないか」
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彼は気まずそうに頭をかきながら、私に視線を移す。天下の第二王子であっても、エルメラには敵わないようだ。
「イルティナ嬢、今回の件は申し訳なかった。騎士団に最も深く関わっている王族である俺が、代表して謝罪しよう」
「ああいえ、個人の問題ですから」
「この取調室であったことはそうだが、そもそも捜査の発端からが間違いだ。ヘレーナ嬢という立場の強い者の発言を優先した。それは、騎士団として恥ずべきことだ」
チャルア殿下は、悔しそうな顔をしていた。
彼は、何れ騎士団を背負うと言われている。そんな彼にとって、騎士団の失態はとても心苦しいものなのだろう。
そんな彼は、これからさらに追い詰められることになる。エルメラが私の見たものを公開すれば、騎士団はかなり批判されるだろう。
とはいえ、私のような被害者がこれ以上出ないように、騎士団には反省してもらわなければならない。そのため、私としてもエルメラの言っていたことは実行するべきだと強く思っている。
「ドルギアに事態を知らされた時には、かなり驚いたものだ。何かある前に、間に合って良かった」
「ドルギア殿下は、チャルア殿下を呼びに行っていたのですね?」
「ええ、こういう時には兄上が一番働きかけられますからね……ついでに、エルメラ嬢――というかアーガント伯爵家にも連絡しました」
「その知らせを受けて、私が飛んできた訳です」
ドルギア殿下は、私のためにかなり動いてくれていたようだ。
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「まあ、何はともあれ、あなたをこれ以上拘束したりはしない。改めて話を聞かせてもらうことになるとは思うが……」
「私が記録した映像がありますから、お姉様が正当なる防衛をしたことは証明されるでしょう。まあ仮に非があるとすれば、私ということになります。ヘレーナ嬢が傷ついた魔法は、私がかけたものですから」
「チャルア殿下、ヘレーナ嬢の権力などでこの件を有耶無耶にしないでくださいね」
「もちろんだとも」
エルメラの言葉に、私はチャルア殿下に強く進言したくなった。
こんなことでエルメラの経歴に傷がつくなんて、とんでもないことだ。今回の件は、改めて厳正に考えてもらいたいものである。
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