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20.抗議の結果

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「……こんな扱いが、認められると思っているのか?」
「おや、それはどういうことでしょうか?」
「この私を、誰だと思っている。私は、エパイル王国の騎士団長なのだぞ!」

 牢屋の中で、騎士団長であるバルダンは吠えていた。
 それはなんとも、みっともない様である。まさかこの状況にもなって、まだ騎士団長のつもりだなんて。

「残念ながら、あなたの地位は既に失われていますよ。バルダンさん、今のあなたはただのバルダンさんなのです」
「な、何を言う?」

 そんな彼に対して、フォルード殿下は冷たい視線を向けていた。
 多分、私も同じような視線を向けているだろう。特に彼に対しては、私は殊更鋭い視線を向けているかもしれない。

「く、屈辱です。この私がこんな所に……」
「アレイシア嬢、あなたもですよ。いつまでも公爵令嬢のつもりでいられては困る。あなたに関しても、既にヴェルモンド公爵家から除名されているのですから」
「ど、どうして、私が見捨てられて……」
「あなたは勝手なことをし過ぎたようですね。レフィリアさんだけではなく、好き勝手に人事を操るなんて、許されることではなかったということでしょう」

 バルダンの隣の牢屋には、聖女であるはずのアレイシアもいる。
 エパイル王国は、この二人を処罰することに決めたのだ。そうなったのには、エレティナ様の演説が関係している。
 あれによって、ラディオン王国はエパイル王国と対立した。私の処遇について、正しいかどうかの議論になったのだ。

 ただ、その議論はすぐにラディオン王国側が優勢になった。
 それはエパイル王国内でも、この二人に対する反感が強かったからだ。

「あなた方二人に対する反発を、エパイル王国も見過ごせなくなったようですね……こうして僕達がこちらの国にやって来たのも、けじめをつけようとしているからです」
「け、けじめ……」
「アレイシア嬢、あなたはこれからは監禁生活になるでしょう。これまでのように自由な振る舞いはできなくなります。しかしそれは、寛大な措置です。腐っても貴族の令嬢ですからね」
「くっ……」

 そこでフォルード殿下は、バルダンの方に視線を向けた。
 彼の視線は、先程までよりも冷たくなっている。その理由を、私はよく知っている。

「バルダンさん、あなたは処刑されるでしょう。それはあなたの横暴な振る舞いに対する罰という訳ではない。あなたが過去に犯した罪に対する罰です」
「そ、それは……」
「残りの余生を精々お楽しみください。冷たい牢屋の中で過ごすことになるとは思いますが……」

 フォルード殿下は、牢屋に背を向けた。話はこれで、終わりということだろう。
 私は、そんな彼についていく。あの二人が絶望している表情をしているのを見られて、少しだけすっきりすることができた。
 エパイル王国の世論的にも、二人が許されることもないだろう。なんというか、これでやっと本当の意味で安心できそうだ。
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