10 / 17
10.獣人の肉体
しおりを挟む
「……レオニア様の体って、すごいですよね」
レオニア様の隣に座った私は、彼の体を見て思わずそんなことを呟いていた。
こうやって間近に迫ると、改めて彼の筋肉がすごいということがわかる。
もしかしたら、そういう所も人間と違う所なのかもしれない。そのあまりに立派な体に、私はそんなことを思っていた。
「まあ、人間とは色々な点が異なっていますからね。あなたから見たら、そう思えるのかもしれません。ただ、獣人としては珍しいことではありませんよ。大抵は毛に覆われています」
「え?」
「おや、たてがみや毛の量について言っているのではないのですか?」
「ああ、えっと……どちらかというと、筋肉を見ていました」
「ああ、そちらでしたか……」
レオニア様が言っている通り、彼の体は確かに毛に覆われている。
それも人間とは、大きく異なる点だ。二足歩行ではあるが、そういう所は動物である。
ただ、獣人が皆そういう感じという訳ではないだろう。獣人といっても様々な種類の獣人がいるし、毛が生えてない獣人もいるはずである。
「まあ、確かに我々獣人は人間よりも強靭な肉体を持っています。動物の性質を、ほとんどそのまま受け継いでいますからね……」
「やっぱり、作りから違うものなのですね……少し触ってもいいですか?」
「ええ、そもそもそれが目的ですからね」
「それでは失礼します」
私は、レオニア様に許可を取ってから彼の腕に触れてみる。
服越しではあるが、それでもその下にある毛と筋肉の存在がわかった。その触り心地は、中々良い。
「そういえば、手はかなり違いますよね。肉球もありますし、爪も……あ、そっちも触ってみてもいいですか?」
「ああ、気を付けてください。切ってはいますが、本当に爪は鋭いので……」
「肉球……柔らかいですね」
私はそのまま、レオニア様の手に触れてみた。
すると、その柔らかい感触が伝わってくる。なんというか、彼の体は中々に興味深い。私の心の中には、好奇心のようなものが芽生えていた。
ただ、あまり調子に乗るべきではないだろう。あまり触られると彼も不快かもしれないので、程々にしておくべきだ。
「二足歩行の獣人に、これが必要あるのかというのは疑問があるのですがね……しかしあなたに喜んでいただけたなら、よかったです」
「あ、すみません。触り過ぎてしまって……」
「いえ……もしかして、猫が好きだったりしますか?」
「あ、えっと、嫌いではありませんね……」
レオニア様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
実の所私は、動物が結構好きである。だからだろうか、獣人のことを好意的に思えるのは。
そんな感じで、私はレオニア様と触れ合うのだった。
レオニア様の隣に座った私は、彼の体を見て思わずそんなことを呟いていた。
こうやって間近に迫ると、改めて彼の筋肉がすごいということがわかる。
もしかしたら、そういう所も人間と違う所なのかもしれない。そのあまりに立派な体に、私はそんなことを思っていた。
「まあ、人間とは色々な点が異なっていますからね。あなたから見たら、そう思えるのかもしれません。ただ、獣人としては珍しいことではありませんよ。大抵は毛に覆われています」
「え?」
「おや、たてがみや毛の量について言っているのではないのですか?」
「ああ、えっと……どちらかというと、筋肉を見ていました」
「ああ、そちらでしたか……」
レオニア様が言っている通り、彼の体は確かに毛に覆われている。
それも人間とは、大きく異なる点だ。二足歩行ではあるが、そういう所は動物である。
ただ、獣人が皆そういう感じという訳ではないだろう。獣人といっても様々な種類の獣人がいるし、毛が生えてない獣人もいるはずである。
「まあ、確かに我々獣人は人間よりも強靭な肉体を持っています。動物の性質を、ほとんどそのまま受け継いでいますからね……」
「やっぱり、作りから違うものなのですね……少し触ってもいいですか?」
「ええ、そもそもそれが目的ですからね」
「それでは失礼します」
私は、レオニア様に許可を取ってから彼の腕に触れてみる。
服越しではあるが、それでもその下にある毛と筋肉の存在がわかった。その触り心地は、中々良い。
「そういえば、手はかなり違いますよね。肉球もありますし、爪も……あ、そっちも触ってみてもいいですか?」
「ああ、気を付けてください。切ってはいますが、本当に爪は鋭いので……」
「肉球……柔らかいですね」
私はそのまま、レオニア様の手に触れてみた。
すると、その柔らかい感触が伝わってくる。なんというか、彼の体は中々に興味深い。私の心の中には、好奇心のようなものが芽生えていた。
ただ、あまり調子に乗るべきではないだろう。あまり触られると彼も不快かもしれないので、程々にしておくべきだ。
「二足歩行の獣人に、これが必要あるのかというのは疑問があるのですがね……しかしあなたに喜んでいただけたなら、よかったです」
「あ、すみません。触り過ぎてしまって……」
「いえ……もしかして、猫が好きだったりしますか?」
「あ、えっと、嫌いではありませんね……」
レオニア様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
実の所私は、動物が結構好きである。だからだろうか、獣人のことを好意的に思えるのは。
そんな感じで、私はレオニア様と触れ合うのだった。
20
お気に入りに追加
351
あなたにおすすめの小説
王太子エンドを迎えたはずのヒロインが今更私の婚約者を攻略しようとしているけどさせません
黒木メイ
恋愛
日本人だった頃の記憶があるクロエ。
でも、この世界が乙女ゲームに似た世界だとは知らなかった。
知ったのはヒロインらしき人物が落とした『攻略ノート』のおかげ。
学園も卒業して、ヒロインは王太子エンドを無事に迎えたはずなんだけど……何故か今になってヒロインが私の婚約者に近づいてきた。
いったい、何を考えているの?!
仕方ない。現実を見せてあげましょう。
と、いうわけでクロエは婚約者であるダニエルに告げた。
「しばらくの間、実家に帰らせていただきます」
突然告げられたクロエ至上主義なダニエルは顔面蒼白。
普段使わない頭を使ってクロエに戻ってきてもらう為に奮闘する。
※わりと見切り発車です。すみません。
※小説家になろう様にも掲載。(7/21異世界転生恋愛日間1位)
元悪徳領主の娘ですが、蛮族の国に嫁いで割と幸せにやってます
みなかみしょう
恋愛
ルルシア・グランフレシアの実家は、悪徳領主である。
とても悪い領主なので、ある日突然、世間から断罪された。
それはもう、しっかりと。
両親の悪行に頭を悩ませていたルルシアは、学院でその報を聞き、絶望した。
「せめて卒業してから投獄してくださいまし!」
しかし、時計の針は止まらない。
目の前に突きつけられたのは、貴族令嬢の使用人か、蛮族と呼ばれる人々の住まう国へ嫁ぐこと。
彼女は思った。罪人の娘として暮らすより、他国へ嫁いだ方がマシでは?
そんな一縷の望みにかけて、ルルシアは嫁ぐことを選択する。
覚悟を決めて嫁いだ先で待っていたのは、思ったよりも、悪くない生活。
穏やかな夫と、静かな田舎の風景、それとちょっと厄介な出来事の数々。
「邪魔者扱いされないように、頑張らないとですわ!」
居場所を失った悪徳領主の娘が、居場所のために頑張る日々が始まった。
※だいたい三万字いかない程度で完結します。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
婚約破棄させようと王子の婚約者を罠に嵌めるのに失敗した男爵令嬢のその後
春野こもも
恋愛
王子に婚約破棄をしてもらおうと、婚約者の侯爵令嬢を罠に嵌めようとして失敗し、実家から勘当されたうえに追放された、とある男爵令嬢のその後のお話です。
『婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~』(全2話)の男爵令嬢のその後のお話……かもしれません。ですがこの短編のみでお読みいただいてもまったく問題ありません。
コメディ色が強いので、上記短編の世界観を壊したくない方はご覧にならないほうが賢明です(>_<)
なろうラジオ大賞用に1000文字以内のルールで執筆したものです。
ふわりとお読みください。
【完結】地味と連呼された侯爵令嬢は、華麗に王太子をざまぁする。
佐倉穂波
恋愛
夜会の最中、フレアは婚約者の王太子ダニエルに婚約破棄を言い渡された。さらに「地味」と連呼された上に、殺人未遂を犯したと断罪されてしまう。
しかし彼女は動じない。
何故なら彼女は──
*どうしようもない愚かな男を書きたい欲求に駆られて書いたお話です。
仕事ができないと王宮を追放されましたが、実は豊穣の加護で王国の財政を回していた私。王国の破滅が残念でなりません
新野乃花(大舟)
恋愛
ミリアは王国の財政を一任されていたものの、国王の無茶な要求を叶えられないことを理由に無能の烙印を押され、挙句王宮を追放されてしまう。…しかし、彼女は豊穣の加護を有しており、その力でかろうじて王国は財政的破綻を免れていた。…しかし彼女が王宮を去った今、ついに王国崩壊の時が着々と訪れつつあった…。
※カクヨムにも投稿しています!
※アルファポリスには以前、短いSSとして投稿していたものです!
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる