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49.平和な日々

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 ロメリアとペルリナの二人が亡くなってからしばらくして、お父様は裁かれた。
 彼は、その命を持って罪を償うことになった。元伯爵であっても、二人の人間を殺めたという確固たる事実があったため、最も重たい罰が与えられたのだ。
 お父様は最後まで抗おうとしていたが、それは認められなかった。最後の最後まで往生際が悪かった父は、なんとも情けなかったといえるだろう。

 何はともあれ、父の死を持って、一連の件は全て終わったといえる。
 ロメリアとペルリナの両名も、無事に故郷に帰すことができたし、これで本当に平和な日々が訪れたといっていいだろう。

「平和な日々、という程のものかは怪しい所ではあるな……」

 そんなことをクレンド様に伝えると、彼は苦笑いとともにそのような言葉を返してきた。
 彼が言わんとしていることは、わかっている。それはヴェリオン伯爵家の領地を丸々預かることになったことに対する嘆きということだろう。
 事実として、彼も私も忙しくしている。領主が変わるということは結構な大事であり、その対処やらに追われているのだ。

「まあ、確かにこの忙しさが落ち着くまで、そういった言葉は口にするべきではないのかもしれませんね……」
「いや、まあ、特に大きな問題が起こっているという訳でもない故に、レフティア嬢が言っていることが正しくないとも言い切れないのだがな」
「それは安心できることではありますよね。今の所は順調ですから……」

 忙しいものの、頭を悩ませるような大きな問題がある訳ではない。些細な問題は連続してあるが、それらはすぐに解決策を思いつくようなものだ。
 とはいえ、安心することができるという訳でもないというのが、現状である。何せ今は、いつ問題が起こってもおかしない状況だ。
 いやもしかしたら、既に問題は水面下で起こっているかもしれない。あまり想像したくないことではあるが、そのくらいで考えて身構えておいた方が今は良いだろう。

「領地以外では厳しい意見などもあるが、やはりことここの管理においては、君という存在が非常に心強いものだな」
「そうですね……それについては、私も結構驚いています」
「いつも助かっている。ありがとう、レフティア嬢」
「いえいえ、そんなに改まらなくても……」

 ヴェリオン伯爵家の令嬢レフティアという存在は、自分で言うのもなんだが、中々に強力なものであるといえるだろう。
 私という存在があるだけで、領民が安心する。それはクレンド様も言っていたことだが、その通りだったようだ。
 私を排斥していたら、かなり反発があったかもしれない。そういった観点から、エヴォート侯爵家の判断は適格だったといえるだろう。
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