溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗

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14.一つの可能性

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 私とクレンド様は、馬車に乗って移動していた。
 ハーティアさんから聞いた話は、私達に一つの可能性を示してきた。それはとても、重要な事柄である。

「ロメリア嬢は……本当にヴェリオン伯爵の娘、なのだろうか?」
「……ハーティアさんは怪しんでいましたね。よく考えてみれば、町でもペルリナは多くの人と関係を持ったと言われていましたし」
「可能性は低くはない。とにかく、それを確かめるのが第一だろう。もちろん、バンガルの一件も調べよう。いや、それら二つが繋がっているかもしれないか」

 ロメリアの父親がお父様ではないとしたら、誰が父親なのだろうか。
 そう考えた時に最初に挙がって来るのは、バンガルさんであるだろう。
 幼馴染であり、ハーティアさんと良くつるんでいた彼ならば、可能性はある。それで揉めて手にかけたなんてことも、あるかもしれない。

「しかし、ヴェリオン伯爵は血の繋がりなどを調べていないのだろうか。然るべき機関に調査を依頼するなどということは、そもそも済ませていると考えていたが……」
「その辺りについては、ペルリナが隠蔽したのかもしれません。彼女はヴェリオン伯爵夫人になる前から、ある程度の力は持っていたようですから」

 町で聞いてわかったことだが、ペルリナという女性は様々な人に顔が利くらしい。
 男を手玉に取る能力は高かったらしく、ひどい目を見ることが多いと知っていても、彼女に引っかかる人はそれなりにいたようだ。
 そんな彼女なら、血統を偽ることくらいはできたのかもしれない。いやもう一つの可能性として、お父様を言いくるめたというのもあるだろうか。

「……お父様はペルリナに夢中でしたから、上手く言いくるめたのかもしません。例えば、然るべき機関に出す髪の毛などをすり替えたとか」
「なるほど、何れにしても彼女が何かしらの策を取ったと考えるべきか。もちろん、ロメリア嬢がヴェリオン伯爵の娘ではないと決まった訳ではないが」
「そうですね……問題はどうやって確かめるか、ですか」

 クレンド様の言葉に、私は少し自分がはやっていたことを悟った。
 確かに、まだそれが確定した訳ではないのだから、あれこれ考えるのはまず確かめてからだろう。そのための方法を考えなければならない。

「……クレンド様、私はいっそのこと、お父様に話してみるというのがいいと思うのですが、どうでしょうか?」
「ヴェリオン伯爵に?」
「お父様は、小心者ですからね。私がその疑念を出せば、必ず確かめると思います。そこにお母様の介入なんてさせません。秘密裏に行うはずです」
「……レフティア嬢がそう思うなら、やってみるといい。俺は事件の方を調べてみる」
「ええ、よろしくお願いします」

 私は、お父様にその疑念をぶつけてみることにした。
 それが有効であることには、ある程度の確信がある。これでもお父様とは長い付き合いだからだ。これなら確実に、ロメリアのことを調べることができる。
 実際に血が繋がっていた場合私がなじられることになるが、それは別にいつも通りなので、デメリットでもない。そのため、とりあえずやってみるべきだろう。
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