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14.彼女ではなく
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「すみません、私……」
「いいえ、大丈夫よ。あなたの言っていることは、間違っていないもの」
謝罪してきたメルティアに対して、私は穏やかに言葉を返した。
彼女が言ったことは、人によって兄弟姉妹の関係は異なるということだ。
それは当たり前のことだろう。私だってわかっている。仲の悪い兄弟姉妹も、いるとはいうことを。
しかし、それに関しては余所は余所家は家だ。私が仲良くしたいと思っているのだから、それで充分だといえるだろう。
「だけど、事実として私に優しくしてくれているのですから、それを否定するべきではありません。私が浅はかでした」
「……」
メルティアの表情に、私は少し考えることになった。
彼女は何かを、恐れているような気がする。そしてその対象は恐らく、私なのだろう。
しかし、何故私が恐れられているかがわからなかった、心当たりは、まったくない。彼女が目覚めてから、特別嫌われるようなことはしていないはずだ。
「……夢を見ていたのかしら?」
「……え?」
「眠っている間に、あなたが夢でも見ていたのではないかと思っているの。例えば、私が悪者になったような夢をね」
「それは……」
私の言葉に、メルティアは目を丸めていた。
その反応は、図星であるように思える。もちろん、予測が全て正しい訳ではないだろう。当たらずとも遠からずといった所か。
「あなたにも何かしらの事情があるということなのかしら?」
「……」
「それを自覚していないという訳でもないのね……まあ、話したくないのなら、話さなくても良いわ。整理がつくまで、私は待つわ。だって私は、あなたの姉だもの」
「姉……」
メルティアに、何かかしらの事情があることは理解できた。
それに踏み込みたい所ではあるが、今日はやめておくことにする。抱えているものがあったとわかっただけで、今は充分だろう。
「お待ちください」
そう思った私は、その場から去ろうとした。
しかしそんな私を、メルティアは引き止めてきた。その声色は、ひどく冷静だ。メルティアのものだとは、思えないくらいに。
「メル……ティア?」
「……あなたのことは、よくわかりました。だから、全てをお話します。あなたになら全てを離しても、良いと思えましたので」
「あなたは、一体……」
メルティアと距離感があるということは、今までずっと思っていたことだった。
だが、今この瞬間にはその比ではない程の距離感があった。いやというか、今目の前にいるのはメルティアではないような気がする。
「私は、違う世界から来たんです」
「違う世界」
「ええ――」
それからメルティア――いや、彼女は語り始めた。自らの存在が、どういったものであるのかを。
「いいえ、大丈夫よ。あなたの言っていることは、間違っていないもの」
謝罪してきたメルティアに対して、私は穏やかに言葉を返した。
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それは当たり前のことだろう。私だってわかっている。仲の悪い兄弟姉妹も、いるとはいうことを。
しかし、それに関しては余所は余所家は家だ。私が仲良くしたいと思っているのだから、それで充分だといえるだろう。
「だけど、事実として私に優しくしてくれているのですから、それを否定するべきではありません。私が浅はかでした」
「……」
メルティアの表情に、私は少し考えることになった。
彼女は何かを、恐れているような気がする。そしてその対象は恐らく、私なのだろう。
しかし、何故私が恐れられているかがわからなかった、心当たりは、まったくない。彼女が目覚めてから、特別嫌われるようなことはしていないはずだ。
「……夢を見ていたのかしら?」
「……え?」
「眠っている間に、あなたが夢でも見ていたのではないかと思っているの。例えば、私が悪者になったような夢をね」
「それは……」
私の言葉に、メルティアは目を丸めていた。
その反応は、図星であるように思える。もちろん、予測が全て正しい訳ではないだろう。当たらずとも遠からずといった所か。
「あなたにも何かしらの事情があるということなのかしら?」
「……」
「それを自覚していないという訳でもないのね……まあ、話したくないのなら、話さなくても良いわ。整理がつくまで、私は待つわ。だって私は、あなたの姉だもの」
「姉……」
メルティアに、何かかしらの事情があることは理解できた。
それに踏み込みたい所ではあるが、今日はやめておくことにする。抱えているものがあったとわかっただけで、今は充分だろう。
「お待ちください」
そう思った私は、その場から去ろうとした。
しかしそんな私を、メルティアは引き止めてきた。その声色は、ひどく冷静だ。メルティアのものだとは、思えないくらいに。
「メル……ティア?」
「……あなたのことは、よくわかりました。だから、全てをお話します。あなたになら全てを離しても、良いと思えましたので」
「あなたは、一体……」
メルティアと距離感があるということは、今までずっと思っていたことだった。
だが、今この瞬間にはその比ではない程の距離感があった。いやというか、今目の前にいるのはメルティアではないような気がする。
「私は、違う世界から来たんです」
「違う世界」
「ええ――」
それからメルティア――いや、彼女は語り始めた。自らの存在が、どういったものであるのかを。
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