妹が私に言う「悪役令嬢」がなんのことだかさっぱりわかりません。

木山楽斗

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10.目覚めた時には

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「はあ……」
「ミレティア様、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ」

 私は、使用人のリグオッドを部屋に呼び出していた。
 彼は、メルティアと私以上に接している。使用人としてではあるが、幼い頃から仕えており、同い年ということもあって親しい関係だ。
 そんな彼なら、今のメルティアについても色々と知っているかもしれない。そう思って、話を聞かせてもらうことにしたのだ。

「まあ、今日はアレイグが来ていたから、少し疲れているのかもしれないけれど……」
「ご自愛ください。お話ならいつでもできますし……」
「いえ、今日がいいのよ。思い立ったが吉日というじゃない。私は明日に、この憂いを持ち越したくないのよ」
「……わかりました。そういうことなら、お話ししましょう。それで、何から話しますか?」

 リグオッドの質問に、私は少し考えることになった。
 この際だから、目覚めた時のことを聞いてみた方がいいかもしれない。その時には確か、リグオッドも対処していたはずだ。

「メルティアが目覚めた時、あなたは確か近くにいたのよね?」
「あ、ええ、他の使用人達が騒いでいるのが聞こえてきて、何か問題があったのかと部屋に行ったら、メルティア様が目覚めていたのです」
「その時は、どんな感じだったのかしら?」
「目を丸めていましたね。何が起こったのか、わかっていない様子でした」
「あなたを見て、何か反応はしたの?」
「……首を傾げていましたね」

 リグオッドは、考えるような仕草を見せた。当時のことを、思い出しているのだろう。
 彼もその時は、動揺していたはずだ。細かいことは、覚えていないかもしれない。

「ああ、僕の名前を聞いた時は二度見していたと思います」
「二度見?」
「ええ、思い返してみると、当時から記憶の混乱が起こっていたということでしょうね。それで、僕は名前を呼ばれて、近くに行きました」
「それで、メルティアはなんと?」
「惜しい、みたいなことを言っていたはずです」
「はあ……」

 リグオッドの言葉に、私は間の抜けた返事をしてしまった。
 目覚めて馴染みの使用人の顔を見て、何故「惜しい」という言葉が出て来るのだろうか。
 その意味が、まったくわからない。いやもしかしたら、それも若者の間で流行っていることなのだろうか。

「それからは色々と忙しくなって、メルティア様とは話せませんでした」
「そう……」

 それからリグオッドから話を聞いたが、有益な情報は得られたとは言い難い。
 ただ、彼の口振りからメルティアとの距離感は私よりも近いような気がした。やはり性別が関係しているのだろうか。
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