妹が私に言う「悪役令嬢」がなんのことだかさっぱりわかりません。

公爵令嬢であるミレティアは、妹のメルティアが無事に目覚めたことを喜んでいた。
階段から転げ落ちたメルティアは数日意識を失っていたのだ。
しかし実際に妹と顔を見合わせると、彼女は奇妙なことを言い出した。

「悪役令嬢、ミレティア……」

妹が口にした「悪役令嬢」という言葉は、ミレティアにとって聞き馴染みがないものだった。
それにメルティアの様子もおかしかった。彼女はどこか、ぎごちない態度だったのだ。

ただ、妹に記憶の混乱があると医者から聞かされていたため、その一環だとミレティアは納得していた。
しかしメルティアには、ある変化が起こっていた。彼女の中には、かつてのメルティアではない者がいたのだ。
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