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21.事件の犯人は
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「さて、それではそういう方向で話を進めますので、ノーティア嬢も把握しておいてください」
「ええ、わかりました……」
ロウガスト様は、私にそう言いながら立ち上がった。
これで、話は終わりということなのだろう。
結局の所、王子が婚約者を選ぶという催しは無理があったのかもしれない。
利益が絡む以上、そこに悪意が含まれるのは当然のことだったのだろう。
「……危ない!」
「え?」
私がそんなことを考えていると、ロウガスト様が突如叫んだ。
その瞬間、私の体は彼によって突き飛ばされた。その言動からして、恐らく彼は私を助けようとしてくれたのだろう。それは、理解できた。
だが、状況は理解できない。一体、どうして私に危機が訪れたのだろうか。
「……なるほど、あなたが全ての元凶だったのですね」
「うぐっ……」
私の目の前には、不可思議な光景が広がっていた。
そこにいるのは、サリエンヌ公爵家のソルーナ嬢だ。彼女は、ロウガスト様にその手を掴まれている。
よく見てみると、地面にはナイフが落ちていた。恐らく、ソルーナ嬢が持っていたものなのだろう。
「しかし、不思議ですね……一体、どうしてこのように大胆な行動を?」
「……ロウガスト様、どうして私を選んでくださらないのですか?」
「……なんですって?」
ソルーナ嬢は、かなり興奮している様子だった。
彼女の言葉は、概ね私達が予測していた黒幕の思想と一致している。
しかし、感覚的にそれは少し趣が異なるような気がした。なんというか、それは個人的に思いを寄せているような、そんな風に聞こえたのである。
「私よりあなたに相応しい人なんて、いないというのに……」
「……何を言っているのか、僕にはわかり兼ねますね」
「あんな女に現を抜かすなんて……」
ソルーナ嬢の耳には、ロウガスト様の言葉はそれ程聞こえていないかもしれない。
彼女の視線は、私に向いている。そこには憎悪を込められている。恐らく、それは嫉妬なのだろう。
彼女は、ロウガスト様に個人的に思いを寄せていた。それによって、今回の事件は引き起ったということなのではないだろうか。
「……あなたがどのような思いを抱いているのかは知りませんが」
そんなことを考えていると、ロウガスト様の非常に冷たい声が聞こえてきた。
その声色は、今まで聞いたことがないものだ。いつも優しくて温和なからは考えられないその声に、私は少し息を詰まらせる。
「僕は、あなたのような他人を傷つけるような人は、許せない。ただ、それだけは理解していただきたいものですね」
「ううっ……」
ロウガスト様の言葉で、ソルーナ嬢の顔が歪んだ。
彼に拒絶されている。それだけは、理解したのだろう。
だが、彼女はそれを認めないかもしれない。あの狂気の様を見ていると、彼に拒絶されたという現実を受け入れるとはあまり思えないからだ。
「ええ、わかりました……」
ロウガスト様は、私にそう言いながら立ち上がった。
これで、話は終わりということなのだろう。
結局の所、王子が婚約者を選ぶという催しは無理があったのかもしれない。
利益が絡む以上、そこに悪意が含まれるのは当然のことだったのだろう。
「……危ない!」
「え?」
私がそんなことを考えていると、ロウガスト様が突如叫んだ。
その瞬間、私の体は彼によって突き飛ばされた。その言動からして、恐らく彼は私を助けようとしてくれたのだろう。それは、理解できた。
だが、状況は理解できない。一体、どうして私に危機が訪れたのだろうか。
「……なるほど、あなたが全ての元凶だったのですね」
「うぐっ……」
私の目の前には、不可思議な光景が広がっていた。
そこにいるのは、サリエンヌ公爵家のソルーナ嬢だ。彼女は、ロウガスト様にその手を掴まれている。
よく見てみると、地面にはナイフが落ちていた。恐らく、ソルーナ嬢が持っていたものなのだろう。
「しかし、不思議ですね……一体、どうしてこのように大胆な行動を?」
「……ロウガスト様、どうして私を選んでくださらないのですか?」
「……なんですって?」
ソルーナ嬢は、かなり興奮している様子だった。
彼女の言葉は、概ね私達が予測していた黒幕の思想と一致している。
しかし、感覚的にそれは少し趣が異なるような気がした。なんというか、それは個人的に思いを寄せているような、そんな風に聞こえたのである。
「私よりあなたに相応しい人なんて、いないというのに……」
「……何を言っているのか、僕にはわかり兼ねますね」
「あんな女に現を抜かすなんて……」
ソルーナ嬢の耳には、ロウガスト様の言葉はそれ程聞こえていないかもしれない。
彼女の視線は、私に向いている。そこには憎悪を込められている。恐らく、それは嫉妬なのだろう。
彼女は、ロウガスト様に個人的に思いを寄せていた。それによって、今回の事件は引き起ったということなのではないだろうか。
「……あなたがどのような思いを抱いているのかは知りませんが」
そんなことを考えていると、ロウガスト様の非常に冷たい声が聞こえてきた。
その声色は、今まで聞いたことがないものだ。いつも優しくて温和なからは考えられないその声に、私は少し息を詰まらせる。
「僕は、あなたのような他人を傷つけるような人は、許せない。ただ、それだけは理解していただきたいものですね」
「ううっ……」
ロウガスト様の言葉で、ソルーナ嬢の顔が歪んだ。
彼に拒絶されている。それだけは、理解したのだろう。
だが、彼女はそれを認めないかもしれない。あの狂気の様を見ていると、彼に拒絶されたという現実を受け入れるとはあまり思えないからだ。
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