浮気して婚約破棄したあなたが、私の新しい婚約者にとやかく言う権利があるとお思いですか?

木山楽斗

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24.これからも一緒に

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「ドラグス様……その、ありがとうございます」
「おっと、それは何に対するお礼でしょうか?」
「ラカール様に、はっきりと一言言ってくれたことへのお礼です」

 ラカール様が去った後、私はドラグス様に対してお礼の言葉を口にした。
 彼があのどうしようもない元婚約者に忠告してくれたことは、私にとってはとても嬉しいことである。
 あそこまで言っておけば、流石のラカール様ももうこのアガート伯爵家を訪ねて来ることもないだろう。いや、仮に彼が何かしてきたとしても、ドラグス様が守ってくれる。

「別に特別なことをしたつもりはありません。妻を守ることは、夫として当然のことなのですから」
「夫、ですか……」
「……少々、気が早かったでしょうか?」
「ああいえ、大丈夫です。嬉しいですから」

 ドラグス様は、相変わらず恥ずかしいことをいつもと変わらぬ表情で言ってきた。
 彼のそういった言葉を聞く度に、私は顔を赤くしてしまう。そう言ってもらえるのはとても嬉しいのだが、中々にきちんとした返答を返すことができない。

「それなら、改めて言わせてください。私はクレーナ嬢のことを、これからも守っていきたいと思っています。そしてあなたを、幸せにしたいのです」
「ドラグス様……」

 ドラグス様の言葉に、今度は私もその背筋を伸ばすことになった。
 彼は本当に、真剣に私達のこれからについて考えてくれているのだ。それが理解できて、私の心は動揺するよりも先に、なんだか温かい気持ちになった。

「私も、ドラグス様のことを支えていきたいと思っています。いつまでもドラグス様には健康でいてもらって、一緒に過ごしていきたいんです」
「ええ、私もそう思っています」
「ああ、だから無理はしないでくださいね?」
「無理ですか? まあ、そのようなことをするつもりなどはありませんが……」
「いえ、ドラグス様は必ず無理をする人です。気を付けてもらわないと困ります」

 私はドラグス様に対して、釘を刺しておいた。
 彼が無理をする性格であるということは、なんとなくわかっていることだった。優しく責任感の強いドラグス様なら、いざという時は身を粉にして働くであろう。
 私の目が黒い内は、そのようなことは許してはならない。ちゃんと傍で、見守っていく必要があるといえる。

「自分の体は、大切にしてくださいね」
「もちろん、そのつもりですよ。クレーナ嬢と一緒にいたいですからね」
「まったく、すぐにそうやって歯の浮いたことを言うんですから……」
「そんなつもりは、ないのですがね……」

 私はドラグス様と見つめ合っていた。
 そうしていると、お互いに自然と顔を近づけていた。
 それはきっと、誓いということなのだろう。私達はこれからずっと一緒に生きていく。穏やかで幸せな日々を歩んでいくのだ。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

さくら夏目
2024.11.06 さくら夏目

まるでどんぐりコロコロどんぐりこ
お池にはまってさぁ大変…みたいな人生ですね…

阿呆には貴族は務まらないってお話ですかね?(笑)ヒロインが阿呆男にハッキリ言うの好きです😊

更新楽しみにしています♪

2024.11.07 木山楽斗

感想ありがとうございます。
仰る通りの転落人生です。
やはり貴族は賢くなければ生き残れないと思います。
この作品で楽しんでいただけたなら嬉しいです。

解除

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