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14.自覚したこと
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「一目惚れとでもいうのでしょうか……いいえ、それは少し違いますね。惹かれたのは、実際に話してからのことですから」
「……」
「クレーナ嬢?」
「あ、えっと……」
ドラグス様からの突然の告白に対して、私は色々なことを考えていた。
その時間は、一瞬だと自分では思っていたが、案外長い間、私の動きは停止していたらしい。
ドラグス様は、私の顔を心配そうに覗き込んできている。しかし、今そんな風に見つめられると、私も少し面食らってしまう。
「大丈夫ですか? すみませんね。急に変なことを伝えてしまったでしょうか?」
「あ、いえ、その、別に悪い気持ちではありません。むしろ、嬉しく思います」
私は、少しドラグス様から目線をそらした。
ただ、彼の言葉というものは正直嬉しくは思っている。何故なら私も、少なからずドラグス様に惹かれていたからだ。それを今私は、自覚することになっている。
お兄様はコーネリアが、何を言っていたのかが段々とわかってきた。二人は私の思いというものを見抜いていたのだろう。
私は、そういった思いを抱いていた彼に対して、貴族としての打算を含めた付き合いをすることが嫌だったのだ。
釈然としなかったのはそのせいである。今となっては、それがよくわかる。
そうやって自分の気持ちを整理していくと、思わず笑みを浮かべてしまう。変な表情になっていないだろうか。それが少し、心配である。
「嬉しく思っていただけているなら、こちらとしても安心することができます。軽薄と思われたりするかもしれないと、思っていましたから」
「……言われてみれば、随分と早い判断ではありますか」
「ええ、もう少し付き合ってから判断するべきなのかもしれません。ただ、それで手遅れになるくらいなら、早めに行動した方が良いと思ったのです。結局の所、家のために婚約は必要ですからね。第一印象で良いと思えた人とそれが結べるなら、そうした方が良いと判断しました」
貴族の世界というものは、想い人と結ばれることが難しい世界だ。
親同士が決めた婚約など縛られて、結果的に結ばれない両想いだった人達を、私は知らない訳ではない。
そういった世界の中で生きるからこそ、迅速な判断をした。そんなドラグス様は、賢明だといえるだろうか。
婚約を交わせなかった後悔というものは、きっと引きずることになる。結局の所、婚約相手と上手くいくかもわからない訳だし、それなら選べる内に行動する方が良いのかもしれない。
少なくとも今の私は、彼のその判断をありがたく思っている。もしも彼が他の人と婚約していたら、私の中には大きな後悔というものが残っていたことだろう。
「……」
「クレーナ嬢?」
「あ、えっと……」
ドラグス様からの突然の告白に対して、私は色々なことを考えていた。
その時間は、一瞬だと自分では思っていたが、案外長い間、私の動きは停止していたらしい。
ドラグス様は、私の顔を心配そうに覗き込んできている。しかし、今そんな風に見つめられると、私も少し面食らってしまう。
「大丈夫ですか? すみませんね。急に変なことを伝えてしまったでしょうか?」
「あ、いえ、その、別に悪い気持ちではありません。むしろ、嬉しく思います」
私は、少しドラグス様から目線をそらした。
ただ、彼の言葉というものは正直嬉しくは思っている。何故なら私も、少なからずドラグス様に惹かれていたからだ。それを今私は、自覚することになっている。
お兄様はコーネリアが、何を言っていたのかが段々とわかってきた。二人は私の思いというものを見抜いていたのだろう。
私は、そういった思いを抱いていた彼に対して、貴族としての打算を含めた付き合いをすることが嫌だったのだ。
釈然としなかったのはそのせいである。今となっては、それがよくわかる。
そうやって自分の気持ちを整理していくと、思わず笑みを浮かべてしまう。変な表情になっていないだろうか。それが少し、心配である。
「嬉しく思っていただけているなら、こちらとしても安心することができます。軽薄と思われたりするかもしれないと、思っていましたから」
「……言われてみれば、随分と早い判断ではありますか」
「ええ、もう少し付き合ってから判断するべきなのかもしれません。ただ、それで手遅れになるくらいなら、早めに行動した方が良いと思ったのです。結局の所、家のために婚約は必要ですからね。第一印象で良いと思えた人とそれが結べるなら、そうした方が良いと判断しました」
貴族の世界というものは、想い人と結ばれることが難しい世界だ。
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そういった世界の中で生きるからこそ、迅速な判断をした。そんなドラグス様は、賢明だといえるだろうか。
婚約を交わせなかった後悔というものは、きっと引きずることになる。結局の所、婚約相手と上手くいくかもわからない訳だし、それなら選べる内に行動する方が良いのかもしれない。
少なくとも今の私は、彼のその判断をありがたく思っている。もしも彼が他の人と婚約していたら、私の中には大きな後悔というものが残っていたことだろう。
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