10 / 24
10.今回の成果
しおりを挟む
ドラグス様と私は、結局三曲くらい一緒に踊っていた。
ラカール様の件があった私と、ずっと箱入りだったドラグス様は、中々近寄りがたい存在であるらしい。
とはいえ、ドラグス様は容姿端麗なこともあって、段々と人が近づいて来た。それに合わせて、私の方にも声がかかり始めた。どうやら皆、きっかけというものが欲しかったらしい。
「ふう……」
「お疲れ様です、お姉様」
「コーネリア……ええ、お疲れ様」
しばらく踊っていた私は、流石に疲れたので少し休むことにした。
そんな私の傍にやって来たのは、妹のコーネリアである。彼女の方は、既に同年代の男子と代わる代わる踊っていた。どうやら、この妹は結構人気であるらしい。人当たりは基本的にいいので、それは当然といえば当然か。
「あまり見られていなかったけれど、大丈夫だったかしら? ちゃんと踊れていたとは思うけれど……」
「あ、はい。なんとかなりました。同年代の人達と、仲良くもなれたと思います」
「そう。それなら良かったわ」
コーネリアと同年代の子供というものは、この場にそこまで多い訳ではない。自然とダンスの相手は限られてくるだろうし、そこから親密になるというのは自然なことだといえるだろう。
そうやって交友関係が広がっていくのは、良いことだと私は思っている。社交界においては、というよりもどのような場においても、味方が多いにこしたことはないだろう。
私はどちらかというと内向的な性格であったため、そこまで友人が多い訳ではない。それは今思えば、良くなかったと思う。
こうして腫れ物扱いされる立場になったことによって、私はそれを実感している。こういう時に友人が多くいれば、もっと気楽にこの場にいられたはずだ。
「お姉様の方は、どうでしたか?」
「まあ、それなりといった所かしら。被害者ということもあって、婚約破棄の件にも段々と同情する空気になっていると思うわ」
何人かと踊った結果、私がどのような立場であるかは正しく伝わっていっているように思う。
それは結構、重要なことである。あくまで私達が被害者であると社交界にしっかりと伝われば、アガート伯爵家の立場というものが盤石となるのだから。
「婚約者候補などは、見つけられそうですか?」
「それは少し微妙な所かしら。というか、今回それは二の次で良いと思うの。信用の回復ができれば、良い方ではないかしら。結局の所、私は婚約破棄されたばかりである訳だし」
コーネリアの言葉に、私はふとドラグス様の方を見つめていた。
彼は今も、どこかの令嬢と踊っている。彼の方も、無事に社交界には受け入れられたようだ。
そのことに安心しながらも、私は少し複雑な気分になっていた。その気分を振り払うためにも、私は休憩を終えるのだった。
ラカール様の件があった私と、ずっと箱入りだったドラグス様は、中々近寄りがたい存在であるらしい。
とはいえ、ドラグス様は容姿端麗なこともあって、段々と人が近づいて来た。それに合わせて、私の方にも声がかかり始めた。どうやら皆、きっかけというものが欲しかったらしい。
「ふう……」
「お疲れ様です、お姉様」
「コーネリア……ええ、お疲れ様」
しばらく踊っていた私は、流石に疲れたので少し休むことにした。
そんな私の傍にやって来たのは、妹のコーネリアである。彼女の方は、既に同年代の男子と代わる代わる踊っていた。どうやら、この妹は結構人気であるらしい。人当たりは基本的にいいので、それは当然といえば当然か。
「あまり見られていなかったけれど、大丈夫だったかしら? ちゃんと踊れていたとは思うけれど……」
「あ、はい。なんとかなりました。同年代の人達と、仲良くもなれたと思います」
「そう。それなら良かったわ」
コーネリアと同年代の子供というものは、この場にそこまで多い訳ではない。自然とダンスの相手は限られてくるだろうし、そこから親密になるというのは自然なことだといえるだろう。
そうやって交友関係が広がっていくのは、良いことだと私は思っている。社交界においては、というよりもどのような場においても、味方が多いにこしたことはないだろう。
私はどちらかというと内向的な性格であったため、そこまで友人が多い訳ではない。それは今思えば、良くなかったと思う。
こうして腫れ物扱いされる立場になったことによって、私はそれを実感している。こういう時に友人が多くいれば、もっと気楽にこの場にいられたはずだ。
「お姉様の方は、どうでしたか?」
「まあ、それなりといった所かしら。被害者ということもあって、婚約破棄の件にも段々と同情する空気になっていると思うわ」
何人かと踊った結果、私がどのような立場であるかは正しく伝わっていっているように思う。
それは結構、重要なことである。あくまで私達が被害者であると社交界にしっかりと伝われば、アガート伯爵家の立場というものが盤石となるのだから。
「婚約者候補などは、見つけられそうですか?」
「それは少し微妙な所かしら。というか、今回それは二の次で良いと思うの。信用の回復ができれば、良い方ではないかしら。結局の所、私は婚約破棄されたばかりである訳だし」
コーネリアの言葉に、私はふとドラグス様の方を見つめていた。
彼は今も、どこかの令嬢と踊っている。彼の方も、無事に社交界には受け入れられたようだ。
そのことに安心しながらも、私は少し複雑な気分になっていた。その気分を振り払うためにも、私は休憩を終えるのだった。
368
お気に入りに追加
778
あなたにおすすめの小説

【完結】「別れようって言っただけなのに。」そう言われましてももう遅いですよ。
まりぃべる
恋愛
「俺たちもう終わりだ。別れよう。」
そう言われたので、その通りにしたまでですが何か?
自分の言葉には、責任を持たなければいけませんわよ。
☆★
感想を下さった方ありがとうございますm(__)m
とても、嬉しいです。

婚約破棄ってこんな日にするのね。私は何とお答えすればよろしいのでしょうか。
まりぃべる
恋愛
私は、ユファ=ライヴァン子爵令嬢です。
チルチェイン=ヤーヌス伯爵令息が、婚約者だったのですけれど、婚約破棄したいと言われました。
こんな日に!?
私は、何とお答えすれば良いのでしょう…。
☆現実とは違う、この作品ならではの世界観で書いております。
緩い設定だと思ってお読み下さると幸いです。

【完結】『お姉様に似合うから譲るわ。』そう言う妹は、私に婚約者まで譲ってくれました。
まりぃべる
恋愛
妹は、私にいつもいろいろな物を譲ってくれる。
私に絶対似合うから、と言って。
…て、え?婚約者まで!?
いいのかしら。このままいくと私があの美丈夫と言われている方と結婚となってしまいますよ。
私がその方と結婚するとしたら、妹は無事に誰かと結婚出来るのかしら?
☆★
ごくごく普通の、お話です☆
まりぃべるの世界観ですので、理解して読んで頂けると幸いです。
☆★☆★
全21話です。
出来上がっておりますので、随時更新していきます。

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。
まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。
この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。
ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。
え?口うるさい?婚約破棄!?
そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。
☆
あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。
☆★
全21話です。
出来上がってますので随時更新していきます。
途中、区切れず長い話もあってすみません。
読んで下さるとうれしいです。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

【完結】『私に譲って?』そういうお姉様はそれで幸せなのかしら?譲って差し上げてたら、私は幸せになったので良いのですけれど!
まりぃべる
恋愛
二歳年上のお姉様。病弱なのですって。それでいつも『私に譲って?』と言ってきます。
私が持っているものは、素敵に見えるのかしら?初めはものすごく嫌でしたけれど…だんだん面倒になってきたのです。
今度は婚約者まで!?
まぁ、私はいいですけれどね。だってそのおかげで…!
☆★
27話で終わりです。
書き上げてありますので、随時更新していきます。読んでもらえると嬉しいです。
見直しているつもりなのですが、たまにミスします…。寛大な心で読んでいただきありがたいです。
教えて下さった方ありがとうございます。

【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。
まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。
少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。
そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。
そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。
人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。
☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。
王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。
王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。
☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。
作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。
☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。)
☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。
★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる