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9.父親に呼び出されて(モブside)
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ラカールは、父親であるウォンデン伯爵の前にいた。
父は彼に対して、鋭い視線を向けている。それはラカールが関係を持っていたシャルーナがいなくなったということを、知ったからだ。
「エレスビー子爵から連絡があったのだ。娘がいなくなったとな」
「そ、そうですか……」
「おかしな話だ。私は彼女とお前の婚約を認めていた。お前の身勝手な浮気も婚約破棄も受け入れて、このウォンデン伯爵家の血を継ぐ孫を迎え入れようとしていた。それなのに、何故彼女がいなくなる。私にはそれが理解できない」
ウォンデン伯爵の言葉に、ラカールは息を呑むことになった。
彼は、シャルーナがいなくなった原因に心当たりがある。というよりも、それが自分であるということを理解しているのだ。
それが父親にばれていたらと、ラカールは焦っていた。その場合、ただでさえ悪かった自分のウォンデン伯爵家での立場がなくなると、彼は思っているのである。
「ラカール、お前には何か心当たりがあるのではないか? 先日、彼女と色々と話をしたそうじゃないか。そこで何を話したか、言ってみろ」
「……特別なことなどは、話していません。ええ、今後のことについて話しました」
「今後のことか。どういったことだ?」
「僕達が結婚して、どのような生活を送っていくのか、ということです。当面は、父上を僕が手伝うということになることを話しました」
父親からの質問に、ラカールは適当なことを口にした。
彼にできることは、誤魔化すということだけだ。幸いにも、先日の話を知っている者は自分しかいない。故に、それが誤魔化せるなら特に問題はないと、ラカールは考えていた。
「ふむ……ああ、そうだ。そういえば、お前にはまだ話していなかったことがあるな」
「え? な、なんでしょうか?」
「今日、手紙が届いたのだ。匿名での手紙だ。そこには謝罪の言葉が記されていた。同時に、お前とやっていける自信がないとも書かれていた」
「それは……」
ラカールは、そこで理解することになった。父がシャルーナの失踪の原因というものを、既に知っているということを。
となると、何故呼び出して話を聞こうとしたのか、それをラカールは考える。
答えはすぐに出てきた。父親が自分を試していたことを、ラカールは悟ることになったのだ。
「ち、父上、僕は……」
「この期に及んで、まだ言い訳をするつもりか?」
「そ、それは……」
「どうやら私は、見誤っていたようだ。お前はこのウォンデン伯爵家の後継者には相応しくない」
ウォンデン伯爵の言葉に、ラカールは固まった。
自身が今まで、当然と思っていた次期伯爵という地位が遠くのを感じて、彼は寒気を覚えるのだった。
父は彼に対して、鋭い視線を向けている。それはラカールが関係を持っていたシャルーナがいなくなったということを、知ったからだ。
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ウォンデン伯爵の言葉に、ラカールは息を呑むことになった。
彼は、シャルーナがいなくなった原因に心当たりがある。というよりも、それが自分であるということを理解しているのだ。
それが父親にばれていたらと、ラカールは焦っていた。その場合、ただでさえ悪かった自分のウォンデン伯爵家での立場がなくなると、彼は思っているのである。
「ラカール、お前には何か心当たりがあるのではないか? 先日、彼女と色々と話をしたそうじゃないか。そこで何を話したか、言ってみろ」
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「それは……」
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「どうやら私は、見誤っていたようだ。お前はこのウォンデン伯爵家の後継者には相応しくない」
ウォンデン伯爵の言葉に、ラカールは固まった。
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