3 / 24
3.父への報告
しおりを挟む
「……もちろん、良いことであるとは言い難いな」
アガート伯爵家の屋敷に戻って来た私は、早速お父様に婚約破棄されたということを伝えた。
それを受け止めたお父様は、ゆっくりとため息をつき、頭を抱えている。当然のことながら、これは大きな問題であったようだ。
婚約というものは、それなりの覚悟を持って結ぶものである。それを破棄されるということは、大きな損害に繋がっていく。
「もっとも、今回に関してはラカールの身勝手な婚約破棄だ。こちらは被害者ということになる。傷の中でも浅い方だ」
「まあ、そうですね。こちらには何も非はない訳ですし……」
婚約破棄というものは、した者が非難されるのが世の常だ。もちろん、された側に余程ひどい理由でもあれば話は別だが、今回の場合はそうではない。
今回の婚約破棄は、ラカール様及びウォンデン伯爵家側に非がある。私達は、堂々としていればいいのだ。
こういった時は、何故か被害者の方も非難されることもある。それらを躱すためにも、しっかりと主張していかなければならないことだ。
「今回のことは、ウォンデン伯爵家も正直に話さざるを得まい。ラカールの子供というなら、その子供はウォンデン伯爵家の正当なる後継者になり得る存在だ。その存在を公表しないということはないだろう」
「まあ、私との婚約も破棄した訳ですし、二人が結ばれることへの体裁上の問題は、ない訳ですしね……」
「む? 何か他に問題があるような言い方だな?」
「え? ああいえ、なんでもありません」
お父様の言葉に、私は目をそらすことになった。
大まかなことは伝えたが、ラカール様の態度などをお父様には伝えていない。それは余計な情報でしかないからだ。
結局の所、ラカール様とシャルーナ・エレスビー子爵令嬢の事情は、私達には関係がないことである。個人的には色々と心配しているが、わざわざ伝える必要もないだろう。
「……まあ、当然のことながら、ウォンデン伯爵家には補償を求めるとしよう。しかし問題は、お前の婚約のことだな」
「あ、そうですよね。新しい相手を見つけなければならない訳ですし……」
「難しい問題ではあるな。だが、その辺りは私が何とかすることだ。お前は特に気にする必要はない。それよりも、色々と疲れただろう。ゆっくりと休むといい」
「お父様……ありがとうございます」
お父様の気遣いに、私はゆっくりとお礼を述べた。
色々とあったため、少し疲れている。せっかくなので、しっかりと休ませてもらうとしよう。どうせしばらくは、暇だろうし。
アガート伯爵家の屋敷に戻って来た私は、早速お父様に婚約破棄されたということを伝えた。
それを受け止めたお父様は、ゆっくりとため息をつき、頭を抱えている。当然のことながら、これは大きな問題であったようだ。
婚約というものは、それなりの覚悟を持って結ぶものである。それを破棄されるということは、大きな損害に繋がっていく。
「もっとも、今回に関してはラカールの身勝手な婚約破棄だ。こちらは被害者ということになる。傷の中でも浅い方だ」
「まあ、そうですね。こちらには何も非はない訳ですし……」
婚約破棄というものは、した者が非難されるのが世の常だ。もちろん、された側に余程ひどい理由でもあれば話は別だが、今回の場合はそうではない。
今回の婚約破棄は、ラカール様及びウォンデン伯爵家側に非がある。私達は、堂々としていればいいのだ。
こういった時は、何故か被害者の方も非難されることもある。それらを躱すためにも、しっかりと主張していかなければならないことだ。
「今回のことは、ウォンデン伯爵家も正直に話さざるを得まい。ラカールの子供というなら、その子供はウォンデン伯爵家の正当なる後継者になり得る存在だ。その存在を公表しないということはないだろう」
「まあ、私との婚約も破棄した訳ですし、二人が結ばれることへの体裁上の問題は、ない訳ですしね……」
「む? 何か他に問題があるような言い方だな?」
「え? ああいえ、なんでもありません」
お父様の言葉に、私は目をそらすことになった。
大まかなことは伝えたが、ラカール様の態度などをお父様には伝えていない。それは余計な情報でしかないからだ。
結局の所、ラカール様とシャルーナ・エレスビー子爵令嬢の事情は、私達には関係がないことである。個人的には色々と心配しているが、わざわざ伝える必要もないだろう。
「……まあ、当然のことながら、ウォンデン伯爵家には補償を求めるとしよう。しかし問題は、お前の婚約のことだな」
「あ、そうですよね。新しい相手を見つけなければならない訳ですし……」
「難しい問題ではあるな。だが、その辺りは私が何とかすることだ。お前は特に気にする必要はない。それよりも、色々と疲れただろう。ゆっくりと休むといい」
「お父様……ありがとうございます」
お父様の気遣いに、私はゆっくりとお礼を述べた。
色々とあったため、少し疲れている。せっかくなので、しっかりと休ませてもらうとしよう。どうせしばらくは、暇だろうし。
373
お気に入りに追加
778
あなたにおすすめの小説

【完結】「別れようって言っただけなのに。」そう言われましてももう遅いですよ。
まりぃべる
恋愛
「俺たちもう終わりだ。別れよう。」
そう言われたので、その通りにしたまでですが何か?
自分の言葉には、責任を持たなければいけませんわよ。
☆★
感想を下さった方ありがとうございますm(__)m
とても、嬉しいです。

婚約破棄ってこんな日にするのね。私は何とお答えすればよろしいのでしょうか。
まりぃべる
恋愛
私は、ユファ=ライヴァン子爵令嬢です。
チルチェイン=ヤーヌス伯爵令息が、婚約者だったのですけれど、婚約破棄したいと言われました。
こんな日に!?
私は、何とお答えすれば良いのでしょう…。
☆現実とは違う、この作品ならではの世界観で書いております。
緩い設定だと思ってお読み下さると幸いです。

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。
まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。
この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。
ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。
え?口うるさい?婚約破棄!?
そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。
☆
あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。
☆★
全21話です。
出来上がってますので随時更新していきます。
途中、区切れず長い話もあってすみません。
読んで下さるとうれしいです。
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

自由に生きたいと私の婚約者と駆け落ちした姉が、婚約破棄され家に戻って来ました。
coco
恋愛
自由に生きたいと私の婚約者と駆け落ちした姉。
そこまでしたのに、婚約破棄され家に戻って来た。
この家に置いて欲しいと言う姉に私は─?
私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。
さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。
許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。
幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。
(ああ、もう、)
やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。
(ずるいよ……)
リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。
こんな私なんかのことを。
友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。
彼らが最後に選ぶ答えとは——?
⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

【完結】婚約者は私を大切にしてくれるけれど、好きでは無かったみたい。
まりぃべる
恋愛
伯爵家の娘、クラーラ。彼女の婚約者は、いつも優しくエスコートしてくれる。そして蕩けるような甘い言葉をくれる。
少しだけ疑問に思う部分もあるけれど、彼が不器用なだけなのだと思っていた。
そんな甘い言葉に騙されて、きっと幸せな結婚生活が送れると思ったのに、それは偽りだった……。
そんな人と結婚生活を送りたくないと両親に相談すると、それに向けて動いてくれる。
人生を変える人にも出会い、学院生活を送りながら新しい一歩を踏み出していくお話。
☆※感想頂いたからからのご指摘により、この一文を追加します。
王道(?)の、世間にありふれたお話とは多分一味違います。
王道のお話がいい方は、引っ掛かるご様子ですので、申し訳ありませんが引き返して下さいませ。
☆現実にも似たような名前、言い回し、言葉、表現などがあると思いますが、作者の世界観の為、現実世界とは少し異なります。
作者の、緩い世界観だと思って頂けると幸いです。
☆以前投稿した作品の中に出てくる子がチラッと出てきます。分かる人は少ないと思いますが、万が一分かって下さった方がいましたら嬉しいです。(全く物語には響きませんので、読んでいなくても全く問題ありません。)
☆完結してますので、随時更新していきます。番外編も含めて全35話です。
★感想いただきまして、さすがにちょっと可哀想かなと最後の35話、文を少し付けたしました。私めの表現の力不足でした…それでも読んで下さいまして嬉しいです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる