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14.妹への処罰

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「私がお姉様よりも劣っているなんて、そんなはずはありません……私はあくまで、妹だからラメルトン伯爵家を手に入れられないのです。私の何がお姉様より劣っているというのですか!」
「イネリア、お前はいつもそうやってアレシアに対抗心を燃やしていた。それこそがお前の欠点だといえる。お前は直情的で冷静さに欠けているのだ。そんな者に家を任せられはしない。自分を律することを学ぶべきだったな。私達はそれをお前に、何度も注意してきたつもりだが……」

 イネリアの言葉に対して、お父様は少し目を細めていた。
 淡々と言葉を発していた時とは違い、そこからは感情というものが読み取れる。実の娘が、自分達の忠告を聞き入れなかったことに対して、お父様は悲しんでいるようだ。
 その隣にいるお母様の表情も暗かった。私は知らなかったことだが、再三に渡って注意していたということだろうか。二人はひどく悲しんでいるようだ。

「敵に対して容赦をしないことは、必要なことでしょう! 中途半端では、やり遂げられなかったことです!」
「まずお前は履き違えている。アレシアはお前の敵などではないということを」
「同じ家に属しているからといって、味方とは限りません。お姉様がいる限り、私は財産も権力も手に入れられないではありませんか!」
「欲に目がくらんだか。愚かなことだ。同時に残念に思う。どうやら私は、これ以上お前をここに置いておくことを許容することができなくなった」

 イネリアは、失言をしたといえるだろう。お父様は、彼女のその言葉に対して表情を変えた。
 その冷たい鉄仮面からは、父親としての情が消えている。今目の前にいるのは、容赦ない判断をするラメルトン伯爵だ。

「イネリア、お前をこのラメルトン伯爵家から追放する」
「つ、追放ですって?」
「このままお前をここに置いておけば、必ずまた不和が巻き起こる。それを私は許容することができない」
「なっ、実の娘を……切り捨てるというのですか!」
「今更嬢に縋ろうなどと思うなよ。お前は私の判断に背き、ラメルトン伯爵家に牙を向こうとしたのだ。その代償は高くつくということを理解しておくべきだったな。計画が失敗した時点で、お前は終わっていたのだ!」

 イネリアに対して、お父様は大きな声で怒鳴った。
 それに彼女は怯む。私よりもさらに年下の妹には、現役の伯爵の迫力は耐え切れないものだったようだ。
 彼女はゆっくりとその場に尻餅をつき、後退った。その表情には、恐怖と絶望が滲んでいる。

 もしかしたら、いざという時はなんとかなると、イネリアは心の中で思っていたのかもしれない。
 少なくとも、このような結末になるとは思っていなかったことだろう。根本的な部分で、彼女の考えは甘かったのだ。イネリアは自分の行動の意味を、理解していなかったといえる。
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