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16.彼との約束
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「まさか、ゼルフォン殿下と婚約することになるなんて思っていませんでした」
「……婚約に関して、父上は前々から考えていたのだ。俺と聖女の婚約、それが父上の望みだった。それを理解しているからこそ、俺は聖女エムリーナのことを気にしていたという面もある」
「なるほど……」
国王様との話し合いが終わった後、私はゼルフォン殿下と二人きりで話していた。
彼の語ったことによって、私は色々なことを理解した。そもそもゼルフォン殿下が私に話しかけたのも、結婚することになるエムリーナ様のことを色々と調べたからということなのだろう。
「君には悪いが、今回のことが起こってほっとしている。あのまま聖女エムリーナと結婚することになっていたら、どうなっていたことか……」
「それは、そうですね……でも、私なんかが婚約相手で良かったのですか?」
「……それについても良かったと思っている。君は強かで素敵な女性だ。君と婚約できることを、俺は光栄に思っているよ」
ゼルフォン殿下は、恥ずかしいことを真っ直ぐに言ってきた。
その言葉に私は、思わず目をそらしてしまう。
今回の件でわかったことではあるが、ゼルフォン殿下は素敵な男性だ。
そんな彼と婚約できるというのは、幸運といえるかもしれない。もちろん、王子の妻というものには色々な苦労があると思うが、それでもいい婚約だと思えてくる。
「……ああ、そうだ。そういえば、ゼルフォン殿下との契約を解除しなければなりませんね。エムリーナ様は、もう暴れることはできませんし」
「魔法を封じられているのだったな? それなら確かに安全か」
私は、恥ずかしさを紛らわすために違う話題を出した。
私と彼との間に交わされた契約は、もう意味がないものである。それはさっさっと取り払っておいた方が、今後のためにもいいだろう。
「しかし、契約を解除する必要などはない。俺はこれからも君を裏切らないからな」
「……え?」
「ここで約束しておこう。君を必ず幸せにすると。俺は生涯、君を愛して支えていくつもりだ」
ゼルフォン殿下の言葉に、私は彼の覚悟を理解した。
魔法の契約というものがある上、その言葉を口にするなんて、中々できることではないだろう。
そんな彼に対して、私は敬愛の念を覚えた。本当に、彼は素敵な男性である。私はそれを改めて認識していた。
「ありがとうございます、ゼルフォン殿下。でも、契約は解除しましょう。あなたの覚悟はありがたくて嬉しいものですが、これからお茶の約束も気軽にできないのは困ってしまいますからね?」
「……そうか。確かにそれは困ってしまうな」
「ええ、ですが、先程の約束は守ってくださいよ?」
「もちろんだ」
私とゼルフォン殿下は、そこで笑い合った。
こうして私は、新たな地位と素敵な婚約を得た。
それに伴って色々と困難もありそうだが、きっと大丈夫だろう。ゼルフォン殿下の笑顔を見ながら、私はそんなことを思うのだった。
「……婚約に関して、父上は前々から考えていたのだ。俺と聖女の婚約、それが父上の望みだった。それを理解しているからこそ、俺は聖女エムリーナのことを気にしていたという面もある」
「なるほど……」
国王様との話し合いが終わった後、私はゼルフォン殿下と二人きりで話していた。
彼の語ったことによって、私は色々なことを理解した。そもそもゼルフォン殿下が私に話しかけたのも、結婚することになるエムリーナ様のことを色々と調べたからということなのだろう。
「君には悪いが、今回のことが起こってほっとしている。あのまま聖女エムリーナと結婚することになっていたら、どうなっていたことか……」
「それは、そうですね……でも、私なんかが婚約相手で良かったのですか?」
「……それについても良かったと思っている。君は強かで素敵な女性だ。君と婚約できることを、俺は光栄に思っているよ」
ゼルフォン殿下は、恥ずかしいことを真っ直ぐに言ってきた。
その言葉に私は、思わず目をそらしてしまう。
今回の件でわかったことではあるが、ゼルフォン殿下は素敵な男性だ。
そんな彼と婚約できるというのは、幸運といえるかもしれない。もちろん、王子の妻というものには色々な苦労があると思うが、それでもいい婚約だと思えてくる。
「……ああ、そうだ。そういえば、ゼルフォン殿下との契約を解除しなければなりませんね。エムリーナ様は、もう暴れることはできませんし」
「魔法を封じられているのだったな? それなら確かに安全か」
私は、恥ずかしさを紛らわすために違う話題を出した。
私と彼との間に交わされた契約は、もう意味がないものである。それはさっさっと取り払っておいた方が、今後のためにもいいだろう。
「しかし、契約を解除する必要などはない。俺はこれからも君を裏切らないからな」
「……え?」
「ここで約束しておこう。君を必ず幸せにすると。俺は生涯、君を愛して支えていくつもりだ」
ゼルフォン殿下の言葉に、私は彼の覚悟を理解した。
魔法の契約というものがある上、その言葉を口にするなんて、中々できることではないだろう。
そんな彼に対して、私は敬愛の念を覚えた。本当に、彼は素敵な男性である。私はそれを改めて認識していた。
「ありがとうございます、ゼルフォン殿下。でも、契約は解除しましょう。あなたの覚悟はありがたくて嬉しいものですが、これからお茶の約束も気軽にできないのは困ってしまいますからね?」
「……そうか。確かにそれは困ってしまうな」
「ええ、ですが、先程の約束は守ってくださいよ?」
「もちろんだ」
私とゼルフォン殿下は、そこで笑い合った。
こうして私は、新たな地位と素敵な婚約を得た。
それに伴って色々と困難もありそうだが、きっと大丈夫だろう。ゼルフォン殿下の笑顔を見ながら、私はそんなことを思うのだった。
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