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17.思わぬ収穫

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 アルムーガ陛下が、アルヴァル王国の王から引きずり降ろされた。その事実を知った私は、とても驚いた。
 私を捕まえ、アルヴァリース様を侮辱したあの陛下は、その行いによってアルヴァル王国の人々から反感を買い、現在は牢屋の中にいるようだ。

 そうなったのはまず間違いなく、加護が消えたことによる影響があったからだろう。
 アルヴァル王国に降り続ける雨の責任を、アルムーガ陛下は取ることになったのだ。

「今回の件で、父上はかなり喜んでいます。予想外の収穫が得られたと、思っているみたいですから」
「予想外の収穫、ですか」
「実質的に、イルリース王国はアルヴァル王国の首根っこを掴んだ訳ですからね」

 イグルス殿下は、苦笑いを浮かべてそう言った。
 王弟であったアルファルド様を新たな王としたアルヴァル王国は、イルリース王国に要請をしてきたらしい。私及びアルヴァリース様を、返して欲しいと言い出したのだ。
 今回の件によって、女神様への信仰を人々は取り戻したらしい。国民の安心のためにも、今アルヴァル王国にはアルヴァリース様が必要であるそうだ。

「国王様は、私やアルヴァリース様をアルヴァル王国に返すつもりなのでしょうか?」
「それはあり得ませんね。あくまでルナーラ様やアルヴァリース様は、自国のものであると扱うはずです。みすみすお二人を返して、それで終わりなんてことにはしませんよ」
『まあ、私としてもその方がいいわね。もちろん、私のことを信じる人達には加護を与えてあげたいけれど、アルヴァル王国には随分とひどい扱いを受けたもの。今さらあちらの国に帰りたいなんて、思わないわ』

 イルリース王国は、アルヴァル王国に対してかなり有利な立場になったといえる。
 心情的に、女神様もこちらの国に傾いている訳だし、この上下関係はしばらく揺るぎそうにない。

「さてと……ラナーラ様、実はあなたに頼みたいことがあるのです」
「頼みたいこと、なんですか?」

 イグルス殿下は、一呼吸置いた後に真剣な顔をしながら言葉を発した。
 そのただならぬ雰囲気に、私は姿勢を正す。彼は何か重要なことを言おうとしている。そんな気がした。

「僕と結婚していただきたいのです」
「……え?」

 身構えていたにも関わらず、私はイグルス殿下の言葉に激しく動揺した。
 今彼は、確かに結婚と言った。それも相手は私だと。
 その唐突な言葉に、私は困惑を隠せない。そんな私に対して、イグルス殿下は苦笑いを浮かべている。彼としても、唐突な言葉である自覚はあったようだ。
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