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14.敬われるもの
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イルリース王国にも、アルヴァリース様を信じる者がいる。それは事前に、聞いていたことではあった。
しかしながら私は、こちらの国に来たことによってそれを改めて実感することになった。アルヴァリース様を奉った祠に拝みに来る人が、何人もいたのだ。
もちろん、中には冷やかしもいたが、それでもアルヴァリース様に敬意を持っている人の方が多かったような気がする。
「まあ、アルヴァリース様はアルヴァル王国が誕生してから、ずっと崇められてきた女神様ですからね。その歴史に、まず敬意を抱くと思います」
「そういうものなのでしょうか?」
『そういうものなのでしょうね。人間の一生から考えると』
アルヴァリース様の祠は、王城の一室に置かれている。
普段は私がいる客室にあるのだが、そこだと拝みに来るのに不便であるため、それなりに広い部屋に置かせてもらっているのだ。
その部屋の奥で、私はイグルス殿下とアルヴァリース様と話している。
「しかし、ルナーラ様も大変ですね。アルヴァリース様と同じくらい、あなたも拝まれているのでしょう?」
「そうですね……まさか、こんなことになるなんて思っていませんでした」
『ふふ、まあ、非道なるアルヴァル王国に対抗するために、ご神体とともに国から出て行ったあなたが私を信じているような人達から尊敬するのは、自然な流れじゃないかしら』
「それは、半分くらいは作り話ですから、少し申し訳ないのですが……」
「半分は本当なのですから、良いでしょう」
『ええ、イグルスの言う通りだわ』
アルヴァリース様とやり取りができる聖女として、私は尊敬を集めている。
光栄だと思う反面、少し萎縮してしまうというのが、正直な所だ。体裁のために作った筋書きも合わせて、本当にこれでいいのかと思ってしまう。
こういった所で飄々としているイグルス殿下は、流石だ。やはり彼も王族の一人として、そういった腹芸は得意なのかもしれない。
『本当に、こちらの国に来てからは良いこと尽くしね。皆が崇めてくれるお陰で、私もかなり元気だわ』
「多くの人から信仰を集めると、元気になれるものなのですか? 僕はその辺りのことには疎くて、わからないのですが……」
『ええ、まあ、こちらの世界で使える力が増えるというか、そんな感じよ。今なら大抵のことができるわ。この国にも、多大なる加護をもたらしてあげる』
「それはこちらとしては、とても助かります」
アルヴァリース様は、元気そうに辺りを飛び回っていた。
女神様が喜んでいるのを見ると、こちらも元気になってくる。こちらの国に来て良かったと、改めてそう思う。
「ああそうだ。なんでも、最近作物の育ちがいいそうで……これもアルヴァリース様のお陰でしょうね」
『多少は影響があるかもしれないわね。といっても、私の加護というのはあくまで幸運をもたらすくらいに考えておいてね。人が努力なく生きられるみたいには、ならないのだから』
「肝に銘じておきます……」
しかしながら私は、こちらの国に来たことによってそれを改めて実感することになった。アルヴァリース様を奉った祠に拝みに来る人が、何人もいたのだ。
もちろん、中には冷やかしもいたが、それでもアルヴァリース様に敬意を持っている人の方が多かったような気がする。
「まあ、アルヴァリース様はアルヴァル王国が誕生してから、ずっと崇められてきた女神様ですからね。その歴史に、まず敬意を抱くと思います」
「そういうものなのでしょうか?」
『そういうものなのでしょうね。人間の一生から考えると』
アルヴァリース様の祠は、王城の一室に置かれている。
普段は私がいる客室にあるのだが、そこだと拝みに来るのに不便であるため、それなりに広い部屋に置かせてもらっているのだ。
その部屋の奥で、私はイグルス殿下とアルヴァリース様と話している。
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「そうですね……まさか、こんなことになるなんて思っていませんでした」
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「それは、半分くらいは作り話ですから、少し申し訳ないのですが……」
「半分は本当なのですから、良いでしょう」
『ええ、イグルスの言う通りだわ』
アルヴァリース様とやり取りができる聖女として、私は尊敬を集めている。
光栄だと思う反面、少し萎縮してしまうというのが、正直な所だ。体裁のために作った筋書きも合わせて、本当にこれでいいのかと思ってしまう。
こういった所で飄々としているイグルス殿下は、流石だ。やはり彼も王族の一人として、そういった腹芸は得意なのかもしれない。
『本当に、こちらの国に来てからは良いこと尽くしね。皆が崇めてくれるお陰で、私もかなり元気だわ』
「多くの人から信仰を集めると、元気になれるものなのですか? 僕はその辺りのことには疎くて、わからないのですが……」
『ええ、まあ、こちらの世界で使える力が増えるというか、そんな感じよ。今なら大抵のことができるわ。この国にも、多大なる加護をもたらしてあげる』
「それはこちらとしては、とても助かります」
アルヴァリース様は、元気そうに辺りを飛び回っていた。
女神様が喜んでいるのを見ると、こちらも元気になってくる。こちらの国に来て良かったと、改めてそう思う。
「ああそうだ。なんでも、最近作物の育ちがいいそうで……これもアルヴァリース様のお陰でしょうね」
『多少は影響があるかもしれないわね。といっても、私の加護というのはあくまで幸運をもたらすくらいに考えておいてね。人が努力なく生きられるみたいには、ならないのだから』
「肝に銘じておきます……」
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