10 / 12
10.警戒する妹
しおりを挟む
シルファルド様を部屋に案内した後、私はエルリナの部屋に来ていた。
まだ私のことを警戒しているのか、彼女の表情は固い。そろそろ、私の変化に適用してもいい頃だとは思うのだが。
「お姉様、何の用ですか?」
「用という程のことではないわ。少しあなたと話したくなって……」
「私は別に、話したいことはないのですけれど」
「まあまあ、そんなこと言わないで……」
私は、ベッドに腰掛けるエルリナの隣に腰掛けた。
すると彼女は、私から距離を開けていく。それには私も、少し驚いてしまう。
「エルリナ? なんだか、以前よりも距離があるような気がするのだけれど」
「自分の胸に手を当てて聞いてみればいいではありませんか。その理由は、きっとすぐにわかりますよ」
「え? わからないのだけれど……」
彼女のことを叱っていた時よりも、心の距離が開いている。その事実に、私は困惑することしかできなかった。
基本的に、私は彼女のことを甘やかしている。それなのに、どうして好かれないのだろうか。甘やかしてくれる私の方が好きだと、本人も公言していたというのに。
「お姉様が急に変わったからです。そんな風に変われると、困ってしまいます」
「私としては、叱るようになる前に戻ったつもりなのだけれど……」
「それはそうかもしれませんが、その変遷が奇妙で怖いのです」
「奇妙って、理由はきちんと話したわよね?」
「でも、怖いものは怖いんですから、仕方ないではありませんか」
エルリナは、私に対してとても力説してきた。
それ程私のことを、怖がっているということだろうか。正直、かなりショックである。
私は、こんなにも真っ直ぐにエルリナのことを愛しているというのに、それを受け入れてもらえないのは辛い。
しかし、本人がこう言っているのだから、あまり無理強いしてはいけないだろう。エルリナのためだ。ここは私が引くしかない。
「わかったわ。そういうことなら、今日はもうこれで失礼するわね」
「え? 帰るんですか?」
「ええ、私のことが怖いというなら、しばらくは会わない方がいいということよね? なるべく顔を合わせないようにするから……」
「い、いえ、別にそこまでやっていただく必要はありませんから、大丈夫です。これからも普段通りにしてください」
すぐに部屋から出て行こうとしていた私を、エルリナは引き止めてきた。
どうやら、彼女は心から私のことを拒絶している訳でもないらしい。その線引きは少々難しいような気もするが、なんとか見極めていくしかないと言った所か。
「エルリナは優しいのね……」
「そんなことはありませんから、とりあえず座ってください……」
エルリナは今日の所は、話してくれるつもりであるらしい。
それは私にとっては、嬉しい事実である。エルリナは、少し引いているような気もするが、それは気にしないことにしよう。
まだ私のことを警戒しているのか、彼女の表情は固い。そろそろ、私の変化に適用してもいい頃だとは思うのだが。
「お姉様、何の用ですか?」
「用という程のことではないわ。少しあなたと話したくなって……」
「私は別に、話したいことはないのですけれど」
「まあまあ、そんなこと言わないで……」
私は、ベッドに腰掛けるエルリナの隣に腰掛けた。
すると彼女は、私から距離を開けていく。それには私も、少し驚いてしまう。
「エルリナ? なんだか、以前よりも距離があるような気がするのだけれど」
「自分の胸に手を当てて聞いてみればいいではありませんか。その理由は、きっとすぐにわかりますよ」
「え? わからないのだけれど……」
彼女のことを叱っていた時よりも、心の距離が開いている。その事実に、私は困惑することしかできなかった。
基本的に、私は彼女のことを甘やかしている。それなのに、どうして好かれないのだろうか。甘やかしてくれる私の方が好きだと、本人も公言していたというのに。
「お姉様が急に変わったからです。そんな風に変われると、困ってしまいます」
「私としては、叱るようになる前に戻ったつもりなのだけれど……」
「それはそうかもしれませんが、その変遷が奇妙で怖いのです」
「奇妙って、理由はきちんと話したわよね?」
「でも、怖いものは怖いんですから、仕方ないではありませんか」
エルリナは、私に対してとても力説してきた。
それ程私のことを、怖がっているということだろうか。正直、かなりショックである。
私は、こんなにも真っ直ぐにエルリナのことを愛しているというのに、それを受け入れてもらえないのは辛い。
しかし、本人がこう言っているのだから、あまり無理強いしてはいけないだろう。エルリナのためだ。ここは私が引くしかない。
「わかったわ。そういうことなら、今日はもうこれで失礼するわね」
「え? 帰るんですか?」
「ええ、私のことが怖いというなら、しばらくは会わない方がいいということよね? なるべく顔を合わせないようにするから……」
「い、いえ、別にそこまでやっていただく必要はありませんから、大丈夫です。これからも普段通りにしてください」
すぐに部屋から出て行こうとしていた私を、エルリナは引き止めてきた。
どうやら、彼女は心から私のことを拒絶している訳でもないらしい。その線引きは少々難しいような気もするが、なんとか見極めていくしかないと言った所か。
「エルリナは優しいのね……」
「そんなことはありませんから、とりあえず座ってください……」
エルリナは今日の所は、話してくれるつもりであるらしい。
それは私にとっては、嬉しい事実である。エルリナは、少し引いているような気もするが、それは気にしないことにしよう。
168
お気に入りに追加
318
あなたにおすすめの小説
【完結】お見合いに現れたのは、昨日一緒に食事をした上司でした
楠結衣
恋愛
王立医務局の調剤師として働くローズ。自分の仕事にやりがいを持っているが、行き遅れになることを家族から心配されて休日はお見合いする日々を過ごしている。
仕事量が多い連休明けは、なぜか上司のレオナルド様と二人きりで仕事をすることを不思議に思ったローズはレオナルドに質問しようとするとはぐらかされてしまう。さらに夕食を一緒にしようと誘われて……。
◇表紙のイラストは、ありま氷炎さまに描いていただきました♪
◇全三話予約投稿済みです
【完結】え?王太子妃になりたい?どうぞどうぞ。
櫻野くるみ
恋愛
10名の令嬢で3年もの間、争われてーーいや、押し付け合ってきた王太子妃の座。
ここバラン王国では、とある理由によって王太子妃のなり手がいなかった。
いよいよ決定しなければならないタイムリミットが訪れ、公爵令嬢のアイリーンは父親の爵位が一番高い自分が犠牲になるべきだと覚悟を決めた。
しかし、仲間意識が芽生え、アイリーンに押し付けるのが心苦しくなった令嬢たちが「だったら自分が王太子妃に」と主張し始め、今度は取り合う事態に。
そんな中、急に現れたピンク髪の男爵令嬢ユリア。
ユリアが「じゃあ私がなります」と言い出して……?
全6話で終わる短編です。
最後が長くなりました……。
ストレスフリーに、さらっと読んでいただければ嬉しいです。
ダ◯ョウ倶楽部さんの伝統芸から思い付いた話です。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
1年後に離縁してほしいと言った旦那さまが離してくれません
水川サキ
恋愛
「僕には他に愛する人がいるんだ。だから、君を愛することはできない」
伯爵令嬢アリアは政略結婚で結ばれた侯爵に1年だけでいいから妻のふりをしてほしいと頼まれる。
そのあいだ、何でも好きなものを与えてくれるし、いくらでも贅沢していいと言う。
アリアは喜んでその条件を受け入れる。
たった1年だけど、美味しいものを食べて素敵なドレスや宝石を身につけて、いっぱい楽しいことしちゃおっ!
などと気楽に考えていたのに、なぜか侯爵さまが夜の生活を求めてきて……。
いやいや、あなた私のこと好きじゃないですよね?
ふりですよね? ふり!!
なぜか侯爵さまが離してくれません。
※設定ゆるゆるご都合主義
貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の名門公爵家の出身であるエレンは幼い頃から婚約者候補である第一王子殿下に全てを捧げて生きてきた。
彼を数々の悪意から守り、彼の敵を排除した。それも全ては愛する彼のため。
しかし、王太子となった彼が最終的には選んだのはエレンではない平民の女だった。
悲しみに暮れたエレンだったが、家族や幼馴染の公爵令息に支えられて元気を取り戻していく。
その一方エレンを捨てた王太子は着々と破滅への道を進んでいた・・・
【完】嫁き遅れの伯爵令嬢は逃げられ公爵に熱愛される
えとう蜜夏☆コミカライズ中
恋愛
リリエラは母を亡くし弟の養育や領地の執務の手伝いをしていて貴族令嬢としての適齢期をやや逃してしまっていた。ところが弟の成人と婚約を機に家を追い出されることになり、住み込みの働き口を探していたところ教会のシスターから公爵との契約婚を勧められた。
お相手は公爵家当主となったばかりで、さらに彼は婚約者に立て続けに逃げられるといういわくつきの物件だったのだ。
少し辛辣なところがあるもののお人好しでお節介なリリエラに公爵も心惹かれていて……。
22.4.7女性向けホットランキングに入っておりました。ありがとうございます 22.4.9.9位,4.10.5位,4.11.3位,4.12.2位
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる