上 下
6 / 48

6.王子達の協力

しおりを挟む
「アフェリア嬢、今回の件について俺とルーアスはあなたの肩を持つ。この言葉が何を意味するのかはわかるな?」
「……非常にありがたい申し出です。感謝します、ラメリオ殿下」
「いや、そもそもこちらの不祥事だ」

 私の感謝の言葉に対して、ラメリオ殿下はゆっくりと首を横に振った。
 彼の中では、リヴェンド殿下の行いというものは本当に忌むべきものであるらしい。それは、表情から伝わってきた。
 ラメリオ殿下は、この国を受け継ぐ王太子である。一度国を揺るがした要因となったことをしたリヴェンド殿下が、許せないというのも当然なのかもしれない。

「ルーアス、勝手に頭数に入れているが、問題はないのか?」
「ええ、もちろんです。アフェリア嬢に協力しますよ」
「ルーアス殿下、ありがとうございます」
「いえ、僕にとっても他人事ではありませんからね。兄と親しくしていた友人の歪な関係というものは、正したいと思います」

 ルーアス殿下は、ラメリオ殿下の言葉に力強く頷いた。
 彼は正義感が強い人であるため、リヴェンド殿下の行いを咎めたいのだろう。友人であるクルルネ嬢のことも、心配しているのかもしれない。
 何はともあれ、二人が協力してくれるなら心強かった。これでリヴェンド殿下を、大々的に非難することができるかもしれない。

「しかし、父上や母上を上手く丸め込まなければなりませんね」
「その辺りの説得については、俺がやるとしよう。といっても、難しいことではない。父上も母上も人が良いからな。基本的に、人道に反することは嫌うだろう」
「王家も打撃を受けることになりますが、その辺りはどうしましょうか」
「地道に信頼を取り戻していくしかあるまい。そもそも、このことを隠す方が問題になることだろう。結局の所、アフェリア嬢にばれていることだしな。何れは発覚していたはずだ」

 ラメリオ殿下とルーアス殿下は、今後のことについて話し始めていた。
 それを聞きながら、私も自分の立ち回りを考える。今考えるべきことは、とりあえずエゼルス伯爵家の利益だ。
 王家から取れるものを取るというのが、方針になるだろうか。せっかくの婚約が破談となるのだし、それくらいしないと釣り合いが取れないだろう。

「そうだ、アフェリア嬢。ラメリオ兄上と一緒に父上と母上に掛け合っていただけませんか?」
「え? 私が、ですか?」
「ええ、今回の件に関して、アフェリア嬢は被害者となる訳です。父上も母上も人が良いですからね。あなたの存在はきっと効きます」
「なるほど、それは悪くない判断だな。アフェリア嬢、構わないか?」
「え、ええ、もちろん、構いませんが……」

 ルーアス殿下が良い笑顔でした提案に対して、ラメリオ殿下は邪悪な笑みを浮かべていた。
 この二人は、基本的には良い王子達である。ただ、容赦がない所もあるらしい。それを認識して、私は苦笑いを浮かべるのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

聞き分けよくしていたら婚約者が妹にばかり構うので、困らせてみることにした

今川幸乃
恋愛
カレン・ブライスとクライン・ガスターはどちらも公爵家の生まれで政略結婚のために婚約したが、お互い愛し合っていた……はずだった。 二人は貴族が通う学園の同級生で、クラスメイトたちにもその仲の良さは知られていた。 しかし、昨年クラインの妹、レイラが貴族が学園に入学してから状況が変わった。 元々人のいいところがあるクラインは、甘えがちな妹にばかり構う。 そのたびにカレンは聞き分けよく我慢せざるをえなかった。 が、ある日クラインがレイラのためにデートをすっぽかしてからカレンは決心する。 このまま聞き分けのいい婚約者をしていたところで状況は悪くなるだけだ、と。 ※ざまぁというよりは改心系です。 ※4/5【レイラ視点】【リーアム視点】の間に、入れ忘れていた【女友達視点】の話を追加しました。申し訳ありません。

旦那様は離縁をお望みでしょうか

村上かおり
恋愛
 ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。  けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。  バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。

【1/23取り下げ予定】あなたたちに捨てられた私はようやく幸せになれそうです

gacchi
恋愛
伯爵家の長女として生まれたアリアンヌは妹マーガレットが生まれたことで育児放棄され、伯父の公爵家の屋敷で暮らしていた。一緒に育った公爵令息リオネルと婚約の約束をしたが、父親にむりやり伯爵家に連れて帰られてしまう。しかも第二王子との婚約が決まったという。貴族令嬢として政略結婚を受け入れようと覚悟を決めるが、伯爵家にはアリアンヌの居場所はなく、婚約者の第二王子にもなぜか嫌われている。学園の二年目、婚約者や妹に虐げられながらも耐えていたが、ある日呼び出されて婚約破棄と伯爵家の籍から外されたことが告げられる。修道院に向かう前にリオ兄様にお別れするために公爵家を訪ねると…… 書籍化のため1/23に取り下げ予定です。

もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました

柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》  最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。  そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

人質姫と忘れんぼ王子

雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。 やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。 お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。 初めて投稿します。 書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。 初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。 小説家になろう様にも掲載しております。 読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。 新○文庫風に作ったそうです。 気に入っています(╹◡╹)

みんながまるくおさまった

しゃーりん
恋愛
カレンは侯爵家の次女でもうすぐ婚約が結ばれるはずだった。 婚約者となるネイドを姉ナタリーに会わせなければ。 姉は侯爵家の跡継ぎで婚約者のアーサーもいる。 それなのに、姉はネイドに一目惚れをしてしまった。そしてネイドも。 もう好きにして。投げやりな気持ちで父が正しい判断をしてくれるのを期待した。 カレン、ナタリー、アーサー、ネイドがみんな満足する結果となったお話です。

どうぞ、(誰にも真似できない)その愛を貫いてくださいませ(笑)

mios
恋愛
公爵令嬢の婚約者を捨て、男爵令嬢と大恋愛の末に結婚した第一王子。公爵家の後ろ盾がなくなって、王太子の地位を降ろされた第一王子。 念願の子に恵まれて、産まれた直後に齎された幼い王子様の訃報。 国中が悲しみに包まれた時、侯爵家に一報が。

処理中です...