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30.幸せな日々
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ロモレイツの町に来てから、もう十年以上の月日が流れている。
改めてその事実を振り返った私は、なんだか妙な感慨深さに耽っていた。
こちらに来てから色々なことがあった。苦しいことももちろんあったけれど、それらも含めてここで過ごした日々は幸福だったといえるだろう。
「本当に長い時間が経ったものね……」
「……どうしたんだ? 藪から棒に?」
「ああいえ、その……何故かしらね。ここに来たばかりのことを思い出していて」
「お前が来た時のことか……なんというか、少し恥ずかしいな。当時の俺は、子供だった」
夫であるレオールは、私の顔を見ながら苦笑いを浮かべていた。
それは初めて会った時、私のことを警戒していたことを思い出しているのだろうか。
「いや、今でもあの頃からどれだけ成長できたのか、不安ではあるがな……」
「あなたは大人になったわ。それは私が保証してあげる。今は私の良き夫であり、あの子達の良き父親であるでしょう?」
「そう言ってもらえるのはありがたいがな……」
そこで私とレオールは、とある方向に目を向けた。
そこには、私達にとって愛おしい存在がいる。その存在が視界に入っただけで、思わず笑顔になってしまうくらいだ。
「……それにしても、あの方はいつまで経っても変わらないな?」
「お祖母様のこと?」
「ああ、なんというか年々若返っているような気がするくらいなんだが……」
「それについては、私も驚いているわ。背筋も真っ直ぐだし、十年前くらいに抱いていた心配なんてまったくの杞憂だったと思えてくるもの」
私達の視線の先には、お祖母様もいる。
こちらの国に私達がいるとわかってから、お祖母様は何回も遊びに来ている。あの頃よりもずっと年老いたというのに、彼女はまだまだ健在だ。生命力に満ち溢れている。
それは私にとってもお姉様にとっても、嬉しいことであった。お祖母様には、できればこれからも元気でいてもらいたいものである。
「そういえば、兄貴達はまだ来ないのか?」
「時間的にはそろそろね……ああ、来たみたいね」
「そうか……これでやっと全員集合だな」
お姉様は、ルバートさんと結ばれた。
色々とあったが、二人も今は夫婦として生活を送っているのだ。
当然のことながら、私達の交流は今も続いている。兄弟と姉妹として、私達はずっと仲良しなのだ。
これからも私達は、この町で穏やかで幸せな生活を続けていくだろう。
私はエルベルト侯爵家の呪縛から解放されて、幸せになることができたのである。
改めてその事実を振り返った私は、なんだか妙な感慨深さに耽っていた。
こちらに来てから色々なことがあった。苦しいことももちろんあったけれど、それらも含めてここで過ごした日々は幸福だったといえるだろう。
「本当に長い時間が経ったものね……」
「……どうしたんだ? 藪から棒に?」
「ああいえ、その……何故かしらね。ここに来たばかりのことを思い出していて」
「お前が来た時のことか……なんというか、少し恥ずかしいな。当時の俺は、子供だった」
夫であるレオールは、私の顔を見ながら苦笑いを浮かべていた。
それは初めて会った時、私のことを警戒していたことを思い出しているのだろうか。
「いや、今でもあの頃からどれだけ成長できたのか、不安ではあるがな……」
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そこで私とレオールは、とある方向に目を向けた。
そこには、私達にとって愛おしい存在がいる。その存在が視界に入っただけで、思わず笑顔になってしまうくらいだ。
「……それにしても、あの方はいつまで経っても変わらないな?」
「お祖母様のこと?」
「ああ、なんというか年々若返っているような気がするくらいなんだが……」
「それについては、私も驚いているわ。背筋も真っ直ぐだし、十年前くらいに抱いていた心配なんてまったくの杞憂だったと思えてくるもの」
私達の視線の先には、お祖母様もいる。
こちらの国に私達がいるとわかってから、お祖母様は何回も遊びに来ている。あの頃よりもずっと年老いたというのに、彼女はまだまだ健在だ。生命力に満ち溢れている。
それは私にとってもお姉様にとっても、嬉しいことであった。お祖母様には、できればこれからも元気でいてもらいたいものである。
「そういえば、兄貴達はまだ来ないのか?」
「時間的にはそろそろね……ああ、来たみたいね」
「そうか……これでやっと全員集合だな」
お姉様は、ルバートさんと結ばれた。
色々とあったが、二人も今は夫婦として生活を送っているのだ。
当然のことながら、私達の交流は今も続いている。兄弟と姉妹として、私達はずっと仲良しなのだ。
これからも私達は、この町で穏やかで幸せな生活を続けていくだろう。
私はエルベルト侯爵家の呪縛から解放されて、幸せになることができたのである。
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