12 / 30
12.町に着いて
しおりを挟む
ロモレイツの町には、ペリュトン共和国に入ってから程なくして着くことができた。
ロモレイツは大都市という訳ではないが、それなりの町である。豊かなこの町でなら、何かしらの仕事も見つかりそうだ。
そんな町の片隅にある教会に、私は来ていた。ここが、レネシアさんが現在お世話になっている教会であるらしい。
「おや、レネシアさん帰られたんですか?」
「ルバートさん? いらしていたんですか?」
「ええ、少しだけ様子を見に来ていました。最近は、色々と物騒ですからね……おや、そちらの方は?」
そんな教会の前には、二人組の男性達がいた。
その内の一人である爽やかな男性は、レネシアさんと親しそうに話している。
もう一人の少し目つきが悪い男性は、そんな二人からは離れた場所で私を見ていた。その二人は、身なりからして恐らく騎士に類する人達なのだろう。
「旅先で私を助けてくれたイルフェリアさんという方です。なんでもペリュトン共和国に移り住みたかったらしくて、縁もあってこのロモレイツの町まで来ていただいたんです」
「おや、そうでしたか」
ルバートさんと呼ばれた男性は、私の方に笑顔で近寄ってきた。
彼は、私に対してゆっくりと手を差し出してくる。なんというか、とても友好的だ。
「僕は、騎士のルバートと申します。こっちは弟のレオールです」
「え? 兄弟なんですか?」
「ええ、兄弟で騎士をやっているんです」
ルバートさんの説明に、私は少し驚いてしまった。
まさかその二人が兄弟であるとは、まったく思っていなかったのだ。ただ、言われてみれば二人はよく似た顔つきをしているような気はする。
「……あんた、何者だ?」
「え?」
そんな私に対して、レオールという人物は突如鋭い視線を向けてきた。
その視線に、私は少し怯んでしまう。どうして、こんなにも警戒されているのだろうか。
「あんたは、見るからに普通じゃない。ただの旅人って訳じゃないんじゃないか?」
「おい、レオール、やめないか」
「兄貴、俺達は治安を守る騎士だぞ? 素性を確かめる必要があるはずだ」
どうやらレオールさんは、私の身なりを見て何かを感じ取ったようだ。
確かによく考えてみれば、私の格好は普通ではない。高価な服などは、私が少なくともお金持ちの家の者だということを表している。
そんな私が、国を移り住んだと言っている。それは確かに、結構怪しく思えるかもしれない。
そこで私は、考えることになった。事情をどうやって話すべきなのかを。
ロモレイツは大都市という訳ではないが、それなりの町である。豊かなこの町でなら、何かしらの仕事も見つかりそうだ。
そんな町の片隅にある教会に、私は来ていた。ここが、レネシアさんが現在お世話になっている教会であるらしい。
「おや、レネシアさん帰られたんですか?」
「ルバートさん? いらしていたんですか?」
「ええ、少しだけ様子を見に来ていました。最近は、色々と物騒ですからね……おや、そちらの方は?」
そんな教会の前には、二人組の男性達がいた。
その内の一人である爽やかな男性は、レネシアさんと親しそうに話している。
もう一人の少し目つきが悪い男性は、そんな二人からは離れた場所で私を見ていた。その二人は、身なりからして恐らく騎士に類する人達なのだろう。
「旅先で私を助けてくれたイルフェリアさんという方です。なんでもペリュトン共和国に移り住みたかったらしくて、縁もあってこのロモレイツの町まで来ていただいたんです」
「おや、そうでしたか」
ルバートさんと呼ばれた男性は、私の方に笑顔で近寄ってきた。
彼は、私に対してゆっくりと手を差し出してくる。なんというか、とても友好的だ。
「僕は、騎士のルバートと申します。こっちは弟のレオールです」
「え? 兄弟なんですか?」
「ええ、兄弟で騎士をやっているんです」
ルバートさんの説明に、私は少し驚いてしまった。
まさかその二人が兄弟であるとは、まったく思っていなかったのだ。ただ、言われてみれば二人はよく似た顔つきをしているような気はする。
「……あんた、何者だ?」
「え?」
そんな私に対して、レオールという人物は突如鋭い視線を向けてきた。
その視線に、私は少し怯んでしまう。どうして、こんなにも警戒されているのだろうか。
「あんたは、見るからに普通じゃない。ただの旅人って訳じゃないんじゃないか?」
「おい、レオール、やめないか」
「兄貴、俺達は治安を守る騎士だぞ? 素性を確かめる必要があるはずだ」
どうやらレオールさんは、私の身なりを見て何かを感じ取ったようだ。
確かによく考えてみれば、私の格好は普通ではない。高価な服などは、私が少なくともお金持ちの家の者だということを表している。
そんな私が、国を移り住んだと言っている。それは確かに、結構怪しく思えるかもしれない。
そこで私は、考えることになった。事情をどうやって話すべきなのかを。
4
お気に入りに追加
1,207
あなたにおすすめの小説

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。
まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。
この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。
ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。
え?口うるさい?婚約破棄!?
そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。
☆
あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。
☆★
全21話です。
出来上がってますので随時更新していきます。
途中、区切れず長い話もあってすみません。
読んで下さるとうれしいです。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。

公爵令嬢の一度きりの魔法
夜桜
恋愛
領地を譲渡してくれるという条件で、皇帝アストラと婚約を交わした公爵令嬢・フィセル。しかし、実際に領地へ赴き現場を見て見ればそこはただの荒地だった。
騙されたフィセルは追及するけれど婚約破棄される。
一度だけ魔法が使えるフィセルは、魔法を使って人生最大の選択をする。

今更「結婚しよう」と言われましても…10年以上会っていない人の顔は覚えていません。
ゆずこしょう
恋愛
「5年で帰ってくるから待っていて欲しい。」
書き置きだけを残していなくなった婚約者のニコラウス・イグナ。
今までも何度かいなくなることがあり、今回もその延長だと思っていたが、
5年経っても帰ってくることはなかった。
そして、10年後…
「結婚しよう!」と帰ってきたニコラウスに…
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

化け物公爵と転生令嬢の事情 〜不遇からの逆転〜
長船凪
恋愛
人の心の声が聞こえる化け物公爵と、その公爵に嫁がされる貴族令嬢のお話。
家では貴族としての素養と言える魔法が使えないせいで不遇な少女ウィステリア。
家門の恥とされる上に支度金欲しさにあっさりとクズ家族により公爵家に売られる。
ウィステリアは異世界から事故死し、憑依転生した元女子高生。
普通の貴族女性とは違う感覚と知識を持っていた。
そんな彼女の心の声を聞いた化け物公爵は初めての感覚に戸惑い、いつしか愛する事になる。
本作はダブル主人公となっておりますのでわりと
視点が切り替わります。
カクヨム先行。なろうでも公開予定です。
婚約破棄でかまいません!だから私に自由を下さい!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
第一皇太子のセヴラン殿下の誕生パーティーの真っ最中に、突然ノエリア令嬢に対する嫌がらせの濡れ衣を着せられたシリル。
シリルの話をろくに聞かないまま、婚約者だった第二皇太子ガイラスは婚約破棄を言い渡す。
その横にはたったいまシリルを陥れようとしているノエリア令嬢が並んでいた。
そんな2人の姿が思わず溢れた涙でどんどんぼやけていく……。
ざまぁ展開のハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる