勝手に期待しておいて「裏切られた」なんて言わないでください。

木山楽斗

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11.これからのこと

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 私とレネシアさんの旅路は、順調に進んでいった。
 彼女と会ってからは、本当に特に問題も起こらず、無事に隣国であるペリュトン共和国まで辿り着いたのだ。

「イルフェリアさんは、目的地を特に決めていないのですか?」
「ええ、とりあえず国を出て行きたかっただけなので……」
「……なるほど、色々と事情があるという訳なのですね」

 国を出ることに必死だった私は、隣国で何をするかなんてまったく考えていなかった。
 これからどうするかは、非常にぼんやりとしている。とりあえず住む場所と仕事を見つけなければならないのだが、そのあては特にない。

「もしもよかったら、このまま私と一緒に行きませんか?」
「レネシアさんと一緒に、ですか?」
「ええ、私が住んでいるのはロモレイツという町なのですが、とても良い所なんですよ?」
「そ、そうなんですか……」

 色々と迷っていた私に、レネシアさんはそのような提案をしてくれた。
 彼女は、嬉々としてその町のことを話している。それだけ、町を愛しているということだろうか。

「まあ、あてもありませんし、せっかくならこうして知り合えたレネシアさんと同じ町で暮らしてみましょうかね……」
「ええ、是非そうしてください」

 レネシアさんは、とてもいい笑顔でそのようなことを言ってきた。
 それに対して、私は少し面食らってしまう。なんというか、彼女がすごく積極的なのだ。
 いくら好きな町だからといって、そんなに勧めてくるだろうか。なんだか、少し違和感がある。

「嬉しいです。なんというか、イルフェリアさんは他人のような気がしませんから」
「……」

 その違和感の答えは、すぐにレネシアさんが出してくれた。
 どうやら彼女は、私に親近感を覚えているから町を勧めていたようである。やはり、普通の勧め方という訳ではなかったらしい。
 しかしそうなると、別の疑問が湧いてきた。彼女が私に親近感を覚えている。それは一体、どういう意味を含んでいるのだろうか。

「こういう言い方は失礼なのかもしれませんが、私達って少し似ていませんか?」
「似ている?」
「ええ、顔立ちというか、そういった所が似ていると思うんです。もしかしたら、どこかで血が繋がったりしているのでしょうか?」
「え? ええ、まあ、その可能性はあるのかもしれませんが……」
「ふふ、まあ、世の中には顔が似た人が三人はいると言いますもんね」
「ええ……」

 レネシアさんの言葉に、私の中に湧いてきた疑問はさらに膨らんでいった。
 目の前にいるこの人は、本当に赤の他人なのだろうか。私は頭の片隅で、ずっとそのことについて考えるのだった。
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