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6.目指すべき場所

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 屋敷から出てきた私は、最寄りの町をゆっくりと歩いていた。
 これからどうするべきか、私はそれを考える必要がある。
 お父様とお母様が、私を追いかけて来るかはわからない。私なんて本当に必要がないと思うのか、唯一の娘を探しに来るのか。それは、二人の考え次第である。

「まあ、念のために身を隠した方がいいのでしょうけれどね……」

 とりあえず私は、しばらく身を隠して生活するつもりだった。
 連れ戻される可能性がある故に、そうする必要はあるだろう。ただ問題は、どこに隠れるかということだ。

「とにかく領地は出なければならない……いや、それ所かこの国からも出る必要があるかも」

 エルベルト侯爵家の領地にいるということは、お父様とお母様の監視下にいるのと同じことである。故に私は、すぐにここから出なければならないだろう。
 国内であっても、安心することはできないかもしれない。侯爵家の権力は強大である。その気になれば、色々な所に捜索網を張れるはずだ。

「国を出るまではかなり時間がかかる……決断は早くしないといけない」

 ここから国を出るのは、早くても一週間はかかるだろう。そのため、悩んでいる時間はそれ程ない。
 両親が追ってこない可能性にかけることもできるが、それは博打が過ぎる。失敗した時のリスクが大きいし、それは考えから外すべきであるはずだ。
 故に私は、決断することにした。ここは思い切って、国を出て行くことにしよう。この国に未練があるという訳でもないし、最も安心できる方法を選ぶべきだ。

「お金は……まあ、なんとかなるわよね」

 資金に関しては、家を出る時にある程度くすねてきた。
 恐らく、手元にあるだけでも充分であるはずだ。
 最悪の場合、この移動で使い切ってしまう可能性もあるが、とにかく今は逃げるべきだろう。後のことは、逃げた先で考えればいい。

「わかっていたことではあるけれど、中々大変なことになってしまったわね……」

 そこで私は、ため息をついた。
 侯爵家を出たら大変であるということはわかっていたつもりだ。しかし自分一人で全てを成し遂げなければならないというのは、想像以上に骨が折れることであるようだ。まだ何も始まっていない段階から、私はそれを実感していた。

「……お姉様、どうか私に力をお貸しください」

 しかし私は、清々しい気分であった。
 これから何が起こっても、私はこの行動を後悔しないだろう。
 あの侯爵家から抜け出せたことは、きっと私にとって何よりの利益であるはずだ。
 そんなことを思いながら、私は行動を開始するのだった。
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