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第30話 私達の結末

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「……さて、ミルトナ様、一ついいでしょうか?」
「はい、なんでしょう?」

 そこでアドナス様は、そのように聞いてきた。
 その顔は、とても真剣である。一体、どうしたのだろうか。

「ここで、改めてあなたに言っておきたいことがあるのです」
「改めて……」
「僕は、あなたのことを愛しています。その答えを、聞かせてもらいたいのです」
「あっ……」

 アドナス様が聞いてきたのは、そのようなことだった。
 私に対する愛の告白、それは以前もされたことである。
 だが、あの時アドナス様は答えを求めなかった。それは、事件が解決していなかったからである。
 そのため、再び答えを聞いてくるのは必然のことだった。私も、予想しておくべきだっただろう。

「急なことで申し訳ありません。ですが、今聞いておかなければならなかったのです。ミルトナ様は、現在婚約者もいない状態です。ですが、罪がなくなった以上、誰かと婚約する可能性もあったので……」
「そういうことだったのですね……」

 アドナス様が告白してきたのは、そのような事情もあるようだった。
 確かに、私はいつ再び婚約してもおかしくない状態だ。アドナス様の心配も、無理はないだろう。
 だが、そのような心配はないのである。なぜなら、そもそも私は他の人と婚約を結ぶつもりはなかったからだ。

「アドナス様、私の気持ちは決まっています。私も、あなたのことを愛しています」
「え?」

 なぜなら、私の気持ちは決まっていたからである。
 この事件を通して、私はアドナス様に好意を寄せていた。そのため、アドナス様と婚約を結べればと思っていたのだ。

「ほ、本当ですか……?」
「ええ、本当です。この事件で色々と助けてもらって、優しくしてもらって、私はだんだんとアドナス様のことが好きになっていきました」
「そ、そうだったのですね……」

 私の言葉に、アドナス様はとても驚いていた。
 しかし、同時に嬉しそうにしている。私の言葉に、喜んでくれているようだ。

「それなら、僕と婚約してもらえますか?」
「ええ、もちろんです」
「ありがとうございます、ミルトナ様」

 アドナス様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 今は口約束でしかないが、その辺りは後で色々と話し合うことになるだろう。
 だが、今はそのことを気にしない。ただ、幸福を噛みしめることにしよう。

「アドナス様、これからよろしくお願いします」
「ええ、よろしくお願いします」

 私とアドナス様は、ゆっくりとその唇を重ねた。
 こうして、私はアドナス様と結ばれることになった。
 これから、私達は幸せな生活を送れるだろう。私は、それを確信するのだった。
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みんなの感想(1件)

ななし
2020.10.30 ななし

犯人は最後まで認めず、都合よく自白する愛人…
もしかしてこれアドナスの陰謀では…?
最初からハニートラップで嵌めたようにも見えてしまう
まあ考えすぎか…

木山楽斗
2020.10.30 木山楽斗

感想ありがとうございます。
確かに、そのように考えることもできますね。

解除

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