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第24話 動くべきこと

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「恐らく、近々事件に関する決着をつけることができると思います。そこで、ミルトナ様にも動いてもらいたいのです」
「私が動く?」

 そこで、アドナス様はそのようなことを言ってきた。
 どうやら、事件の解決のために、私が動く必要があるらしい。
 事件の解決のためなら、私もなんでもするつもりだ。しかし、私に何ができるのだろうか。

「事件の裁判をもう一度行えるように取り計らいました。そのために、ミルトナ様にキャベイド王国に戻ってもらいたいのです」
「キャベイド王国に?」
「ええ、裁判のために一時的帰国ということになります。もちろん、一時的にさせるつもりはありませんが」

 私が動くとは、キャベイド王国に戻るという意味であるようだ。
 裁判がもう一度行われる。それは、とても嬉しいことだ。アドナス様が色々と取り計らってくれたのだろう。
 この裁判によって、私の判決が覆る可能性がある。アドナス様の話を聞いていると、それは低い可能性ではないと思えた。きっと、私は無罪を勝ち取れるはずだろう。

「とりあえず、ミルトナ様は実家に滞在してもらうことになっています。しばらくはここを離れて、そちらで暮らしてもらうことになります」
「そうですか、実家に……」

 どうやら、私は実家に戻って暮らすことになるらしい。
 それは、嬉しい知らせではあった。久し振りに、家族や見知った人達と再会できるのだ。それを喜ばずにはいられない。
 しかし、同時にこの屋敷から離れることへの寂しさもあった。数日過ごしただけとはいえ、そのように感じてしまうのだ。

「それでは、アドナス様ともお別れとも、しばらく会えないのですね……」
「……ええ、そういうことになります」

 何より、アドナス様とも会えなくなることが寂しかった。
 そう思える程に、私はアドナス様を慕っていたのだ。

「しかし、すぐに会うことになるでしょう。僕も、準備ができたらキャベイド王国に向かいます。それまでの別れです」
「そうですよね、すぐにまた会えますよね」

 だが、これが今生の別れという訳ではない。事件が続く限り、アドナス様と会う機会はなくならないのだ。
 恐らく、寂しがる必要などないだろう。きっとすぐに会うことになるはずである。

「ミルトナ様、これからはケットラと直接戦うことになります。きっと、厳しい戦いになるでしょう」
「ええ……」
「ですが、僕は必ずあなたの無実を証明してみせます。だから、諦めずに戦い抜きましょう」
「はい、もちろんです」

 アドナス様の言葉に、私はしっかりと頷く。
 こうして、私はキャベイド王国に帰ることになるのだった。
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