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第11話 突然の告白
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「それだけではありません。あなたのこともあります」
「え? 私のことですか?」
そこで、アドナス様はそのようなことを言ってきた。
どうやら、今回の事件にこだわる理由に、私のこともあるようだ。
「ええ、前々から、僕はミルトナ様を素敵な女性だと思っていました」
「え?」
「そんなあなたの危機に力を貸したいと思っているという訳です」
アドナス様は、とてもすごいことを言ってきた。
私が素敵な女性で、だから力を貸したい。それは一体、どういう意味なのだろうか。
いや、ただ尊敬しているという意味なのかもしれない。それなら、別に問題はない。
流石に、アドナス様が私に好意を抱いているなどというのは考え過ぎだろう。きっとこれは、他意はなく褒めてくれているだけのはずだ。
「あ、ありがとうございます。アドナス様に、素敵な女性と言われるなど、光栄なことです。そのように尊敬の念を向けて頂けていたなら、私も一人の貴族として、正しい立ち振る舞いができていたということでしょうか」
「いえ、一人の貴族としてという意味だけではありません。僕は、純粋に一人の女性として、あなたを慕っていました」
私の感謝の言葉に、アドナス様はそう返してきた。
どうやら、これはそういう意味の言葉らしい。それを理解した瞬間、私は赤くなってしまった。
まさか、アドナス様がそのように思っているとは考えてもいなかった。そのため、色々と混乱してしまっている。
ただ、嬉しいという気持ちがあることは確かだ。アドナス様は、理想的な王子で魅力的な男性である。そのような人から好意を向けられるのは、嫌な気分ではない。
「え、えっと……」
しかし、どう返していいのか、私はわからなくなっていた。
これは、愛の告白と捉えるべきなのだろうか。こんなに急に告白されたので、まだ答えは全く出せそうにない。だが、何も言わない訳にはいかないだろう。
「ミルトナ様、何も言わないでください。先程の言葉の答えを、僕は今求めていません。その答えを私が求めるとすれば、事件が解決した時です」
「あ、はい……」
そんな私に、アドナス様はそのような言葉をかけてきた。
答えを求めるのは、事件が解決した時。それは、私にとって助かる言葉だった。
今の私は、色々と大変だ。そんな時に、その答えまで出すのは無理そうである。
それに、アドナス様としても、その後の方がいいのだろう。今の私は罪人である。そのような私とアドナス様が、そういう関係になるのは色々とまずいだろう。
「え? 私のことですか?」
そこで、アドナス様はそのようなことを言ってきた。
どうやら、今回の事件にこだわる理由に、私のこともあるようだ。
「ええ、前々から、僕はミルトナ様を素敵な女性だと思っていました」
「え?」
「そんなあなたの危機に力を貸したいと思っているという訳です」
アドナス様は、とてもすごいことを言ってきた。
私が素敵な女性で、だから力を貸したい。それは一体、どういう意味なのだろうか。
いや、ただ尊敬しているという意味なのかもしれない。それなら、別に問題はない。
流石に、アドナス様が私に好意を抱いているなどというのは考え過ぎだろう。きっとこれは、他意はなく褒めてくれているだけのはずだ。
「あ、ありがとうございます。アドナス様に、素敵な女性と言われるなど、光栄なことです。そのように尊敬の念を向けて頂けていたなら、私も一人の貴族として、正しい立ち振る舞いができていたということでしょうか」
「いえ、一人の貴族としてという意味だけではありません。僕は、純粋に一人の女性として、あなたを慕っていました」
私の感謝の言葉に、アドナス様はそう返してきた。
どうやら、これはそういう意味の言葉らしい。それを理解した瞬間、私は赤くなってしまった。
まさか、アドナス様がそのように思っているとは考えてもいなかった。そのため、色々と混乱してしまっている。
ただ、嬉しいという気持ちがあることは確かだ。アドナス様は、理想的な王子で魅力的な男性である。そのような人から好意を向けられるのは、嫌な気分ではない。
「え、えっと……」
しかし、どう返していいのか、私はわからなくなっていた。
これは、愛の告白と捉えるべきなのだろうか。こんなに急に告白されたので、まだ答えは全く出せそうにない。だが、何も言わない訳にはいかないだろう。
「ミルトナ様、何も言わないでください。先程の言葉の答えを、僕は今求めていません。その答えを私が求めるとすれば、事件が解決した時です」
「あ、はい……」
そんな私に、アドナス様はそのような言葉をかけてきた。
答えを求めるのは、事件が解決した時。それは、私にとって助かる言葉だった。
今の私は、色々と大変だ。そんな時に、その答えまで出すのは無理そうである。
それに、アドナス様としても、その後の方がいいのだろう。今の私は罪人である。そのような私とアドナス様が、そういう関係になるのは色々とまずいだろう。
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