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第5話 本心では
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「……まさか、見抜かれているとは思いませんでした。やはり、ミルトナ様は鋭いですね」
「鋭い訳ではありません。アドナス様を見ていると、簡単にわかりましたよ」
私の言葉に、アドナス様はかなり驚いていた。
だが、アドナス様の本心を見抜けたのは、私が鋭いからではない。
アドナス様の表情を見れば、大抵の人は理解できるだろう。明らかに、不本意にしているのだ。これでわからないなら、逆に鈍いだろう。
「そもそも、アドナス様がわざわざ言う必要もないでしょう? それをわざわざ言うのは、後ろめたさがあるからではないですか?」
「なるほど……考えてみれば、そうかもしれませんね」
そもそも、アドナス様がわざわざ口に出した時点で、後ろめたさがあったことは明白だ。
本当に何も思っていないなら、それを口に出さなかったはずである。
「あなたの言う通り、僕は父上達を説得するために、国同士の関係で優位に立てるということを言っておきました。それで、父上もやっと首を縦に振ってくれました」
「やはり、そういうことだったのですね」
「ええ、この件を明るみに出せば、キャベイド王国はとても厳しい立場に立たされます。そのために、僕は行動することを許されました。最も、調査をするのは密かにです。フォルベイン王国にばれたら、色々とまずいですから」
どうやら、密かに調査して、キャベイド王国の弱みを見つけるのが、フォルベイン王国のやり方らしい。
確かに、それならフォルベイン王国は特に不利益もない。精々、調べる労力がかかるくらいだ。
「でも、私がここに来たことは大丈夫なのですか? それはキャベイド王国に知られているでしょうし、色々と面倒なのでは?」
「その件については、問題ありません。既に、色々と工作は終わっています」
「工作……」
そこで、私はそもそもここにいることはいいのかを聞いた。
罪人の私が、他国の王城にいるというのは、中々問題あることだと思ったからだ。
だが、それは問題ないらしい。既に工作しているようだ。
どうやら、アドナス様は既に色々と行動しているようである。私を受け入れる時点で、準備はできているのだろう。
「さて、ミルトナ様、あなたには屋敷を一つ用意しています。しばらくは、そちらで過ごしてもらいます。少々不自由かもしれませんが、どうかご理解ください」
「い、いえ、何から何までありがとうごいます」
アドナス様は、私に屋敷まで用意してくれていた。
本当に、何から何までお世話になっている。本当に、アドナス様には感謝の気持ちでいっぱいだ。
こうして、私はその屋敷に移動することになるのだった。
「鋭い訳ではありません。アドナス様を見ていると、簡単にわかりましたよ」
私の言葉に、アドナス様はかなり驚いていた。
だが、アドナス様の本心を見抜けたのは、私が鋭いからではない。
アドナス様の表情を見れば、大抵の人は理解できるだろう。明らかに、不本意にしているのだ。これでわからないなら、逆に鈍いだろう。
「そもそも、アドナス様がわざわざ言う必要もないでしょう? それをわざわざ言うのは、後ろめたさがあるからではないですか?」
「なるほど……考えてみれば、そうかもしれませんね」
そもそも、アドナス様がわざわざ口に出した時点で、後ろめたさがあったことは明白だ。
本当に何も思っていないなら、それを口に出さなかったはずである。
「あなたの言う通り、僕は父上達を説得するために、国同士の関係で優位に立てるということを言っておきました。それで、父上もやっと首を縦に振ってくれました」
「やはり、そういうことだったのですね」
「ええ、この件を明るみに出せば、キャベイド王国はとても厳しい立場に立たされます。そのために、僕は行動することを許されました。最も、調査をするのは密かにです。フォルベイン王国にばれたら、色々とまずいですから」
どうやら、密かに調査して、キャベイド王国の弱みを見つけるのが、フォルベイン王国のやり方らしい。
確かに、それならフォルベイン王国は特に不利益もない。精々、調べる労力がかかるくらいだ。
「でも、私がここに来たことは大丈夫なのですか? それはキャベイド王国に知られているでしょうし、色々と面倒なのでは?」
「その件については、問題ありません。既に、色々と工作は終わっています」
「工作……」
そこで、私はそもそもここにいることはいいのかを聞いた。
罪人の私が、他国の王城にいるというのは、中々問題あることだと思ったからだ。
だが、それは問題ないらしい。既に工作しているようだ。
どうやら、アドナス様は既に色々と行動しているようである。私を受け入れる時点で、準備はできているのだろう。
「さて、ミルトナ様、あなたには屋敷を一つ用意しています。しばらくは、そちらで過ごしてもらいます。少々不自由かもしれませんが、どうかご理解ください」
「い、いえ、何から何までありがとうごいます」
アドナス様は、私に屋敷まで用意してくれていた。
本当に、何から何までお世話になっている。本当に、アドナス様には感謝の気持ちでいっぱいだ。
こうして、私はその屋敷に移動することになるのだった。
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