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 私は、エルクル様に頼んで、ある会合を開いてもらった。
 それは、ザゼンド様と関係を持った女性を集めた場である。

「い、一体、どういう呼び出しなのでしょう? エルクル様?」
「ええ、それを今から説明しましょう」

 ザゼンド様は、かなり焦っていた。
 それも、当然だろう。周りには、自分が関係を持っている女性ばかりである。これで、焦らない訳はない。
 恐らく、彼も私の新たな婚約者になったエルクル様からの呼び出しに、何かあることはわかっていたはずだ。だが、王子の要請ということで、ザゼンド様もこの会合は断れなかったのだろう。

「一体、何があったのでしょう?」
「様々な令嬢が集められていますが、私達に、共通点などあるのでしょうか?」
「なんとなく……私は、わかってしまいましたわ」
「あら? そうなのですか?」

 集められた女性達は、不思議そうな顔をしている者もいれば、何か気づいているような人もいた。
 各々、ザゼンド様と関係を持っていることは知っている。鋭い人は、ここにザゼンド様がいるということで、理解したのだろう。
 そんな女性達の様子に、ザゼンド様は冷や汗をかいている。これから起こることは、彼にとってとても恐ろしいことだろう。
 だが、同情の気持ちはない。たくさんの女性を弄んだ罰を、彼は受けるべきだろう。

「実は、あなた達に来てもらったのは、皆さんが、こちらのザゼンド・ヴァルーチ殿と関係を持っているという調査結果が出たからなのです」
「え?」
「それは……」
「やっぱり……」

 エルクル様は、特に隠すこともなく、事実をはっきりと告げた。
 それに対する反応は、それぞれだ。驚く者もいれば、納得している者もいる。状況を理解しているかしていないかで、その反応は大きく異なっていた。
 そんな中で、とても絶望的な顔をしている者がいる。今回の件で、最も窮地に立たされるザゼンド様だ。
 ここから、この事実を誤魔化すことなどできない。当事者同士がいるのだから、隣の人に問いかければ、とりあえず浮気は確定する。もうザゼンド様に、逃げ場はないのである。

「ザゼンド様……これは、一体どういうことですか?」
「あなたは、私を愛していると言ってくれたではありませんか?」
「い、いや、それは……」

 早速、ザゼンド様は周りの令嬢から責められ始めていた。
 こうなれば、私やエルクル様にやることはない。後は、ここにいる皆さんが彼を裁いてくれるだろう。
 こうして、ザゼンド様はその悪事を裁かれるのだった。
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