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51.解かずとも
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『わしを消す方法……そんなものがあるはずはない』
「そう思いたいなら、そう思っているがいい……だが、お前は消える。それだけは紛れもない事実だ」
『な、何っ……』
ズグヴェルさんのあまりの自信に、ドグマードも流石に焦っているようだ。
それ程の自信があるのだから、本当に何か方法はあるのだろう。
しかし、私にもそれはまったくわからなかった。
レリクス様から教えてもらったと言っていたが、彼がそんなことを言っていた覚えはまったくない。一体、彼は何を伝えていたのだろうか。
「シェリウェント、頼むぞ?」
「ええ、任せてください」
『な、何を……』
レリクス様と私の元に、セリティナが近づいて来た。
そのいつも通りの三人は、見た目通りではない。それぞれ、違う存在が体に宿っているのだ。
「さて、それでは……」
「ああ……」
次の瞬間、シェリウェントさんの体が光り輝いた。
それは恐らく、何かしらの魔法を行使しているのだろう。
それと同時に、ズグヴェルさんはレリクス様の体に左手を伸ばした。
そして、その手の平を彼の腹部につける。それは、何をしているのかよくわからない。
私がそんなことを思っていると、感覚に変化が起こった。
先程まで、私は意識の深層に押し込まれていた。だが、体に感覚が戻ってきたのだ。
それはつまり、ズグヴェルさんが私に体を返してくれたのだろう。しかし、このタイミングで体を返す意味はないと思うのだが。
「そのままじっとしていてください……」
「これは……」
私は、自らの左腕にとあるものが浮かんでいることに気づいた。
それは、痣である。背中の左肩の辺りにあったはずの痣が、左腕に移動していたのだ。
しかも、それだけではない。
その痣は、ゆっくりと腕を移動している。どうやら、その行き先は、レリクス様の体であるようだ。
「うっ……」
「ああっ……」
私とレリクス様は、ほぼ同時に声をあげた。
それが何故起こったのかは、なんとなく理解できる。なぜなら、目の前で私の体にあった痣が、レリクス様の体に移ったからだ。
「これは、一体……」
「封印を解く方法を私達は知りません。ですが、封印を移動させる方法は知っています」
「封印を移動させる? そんなことができるんですか?」
「ええ、宿主を変えるだけなので、それ程難しいことではありません」
私を長年悩ませていたはずの痣は、一瞬でレリクス様の元に移動していた。
封印を解く方法はわからない。だが、封印を移動させることはできる。それは、理解できた。
だが、それで何が起こるのだろうか。そう思いながら、私はレリクス様の方を見るのだった。
「そう思いたいなら、そう思っているがいい……だが、お前は消える。それだけは紛れもない事実だ」
『な、何っ……』
ズグヴェルさんのあまりの自信に、ドグマードも流石に焦っているようだ。
それ程の自信があるのだから、本当に何か方法はあるのだろう。
しかし、私にもそれはまったくわからなかった。
レリクス様から教えてもらったと言っていたが、彼がそんなことを言っていた覚えはまったくない。一体、彼は何を伝えていたのだろうか。
「シェリウェント、頼むぞ?」
「ええ、任せてください」
『な、何を……』
レリクス様と私の元に、セリティナが近づいて来た。
そのいつも通りの三人は、見た目通りではない。それぞれ、違う存在が体に宿っているのだ。
「さて、それでは……」
「ああ……」
次の瞬間、シェリウェントさんの体が光り輝いた。
それは恐らく、何かしらの魔法を行使しているのだろう。
それと同時に、ズグヴェルさんはレリクス様の体に左手を伸ばした。
そして、その手の平を彼の腹部につける。それは、何をしているのかよくわからない。
私がそんなことを思っていると、感覚に変化が起こった。
先程まで、私は意識の深層に押し込まれていた。だが、体に感覚が戻ってきたのだ。
それはつまり、ズグヴェルさんが私に体を返してくれたのだろう。しかし、このタイミングで体を返す意味はないと思うのだが。
「そのままじっとしていてください……」
「これは……」
私は、自らの左腕にとあるものが浮かんでいることに気づいた。
それは、痣である。背中の左肩の辺りにあったはずの痣が、左腕に移動していたのだ。
しかも、それだけではない。
その痣は、ゆっくりと腕を移動している。どうやら、その行き先は、レリクス様の体であるようだ。
「うっ……」
「ああっ……」
私とレリクス様は、ほぼ同時に声をあげた。
それが何故起こったのかは、なんとなく理解できる。なぜなら、目の前で私の体にあった痣が、レリクス様の体に移ったからだ。
「これは、一体……」
「封印を解く方法を私達は知りません。ですが、封印を移動させる方法は知っています」
「封印を移動させる? そんなことができるんですか?」
「ええ、宿主を変えるだけなので、それ程難しいことではありません」
私を長年悩ませていたはずの痣は、一瞬でレリクス様の元に移動していた。
封印を解く方法はわからない。だが、封印を移動させることはできる。それは、理解できた。
だが、それで何が起こるのだろうか。そう思いながら、私はレリクス様の方を見るのだった。
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