誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗

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47.呑気な考え

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 私は、今日も学校に来ていた。

「おはようございます、エルファリナさん」
「おはようございます、レリクス様」

 いつも通りに席に着くと、いつも通りにレリクス様が迎えてくれる。
 そういえば、彼はいつも私より早く学校に来ている。早起きなのだろうか。

 そんな風に呑気なことを考えられる程に、私は今の状況に慣れていた。
 レリクス様がどのような状態なのか。それはわからない。
 だが、何も起こらないと人間順応してくるものだ。今はこうやって、割と穏やかな気持ちでいられるのだ。

「ああ、そうだ。レリクス様、実家から手紙が届きました」
「実家から?」
「ええ、聖痕に関することが記されていたのです」
「なるほど、そういうことですか……」

 私は、昨日届いた手紙のことをレリクス様に話してみることにした。
 これは、彼の狙っていたことである。それが本当だったかどうかはわからないが、とりあえず報告してみてどういう反応かを確かめてみてもいいだろう。

「それで、どういう反応だったんですか?」
「……手の平を返すような反応といえば、いいでしょうか?」
「そうですか……それは、ひどい反応ですね」

 私の言葉に対して、レリクス様は悲しそうな顔をしていた。
 その顔のように本当に思っているかどうかはわからない。今は彼のことを信じることができないため、その反応を素直に喜べない。

「エルファリナさんは、どうされるつもりなんですか?」
「そうですね……今はまだわかりません」
「……見返してやりたいとは思いませんか?」
「……え?」

 レリクス様は、私に対していつもの笑顔を浮かべていた。
 その笑顔は、とても爽やかだ。しかし、その裏に何かがあるということは、もうわかっている。
 それは、彼に悪しき王が宿る前から知っていたことだ。

「あなたが望むのながら、僕は力を貸しますよ?」
「……それは、どういうことですか?」
「さあ、どういうことでしょうか?」

 私は、レリクス様といつも通りの会話を交わした。
 毎度のことではあるが、私と彼はこうやって腹を探り合うような会話をする。それは、結構疲れるものだ。

「……わかりました。少し考える時間をもらってもいいですか?」
「ええ、構いませんよ。ああ、今度詳しいことを聞かせていただけませんか?」
「……ええ、いいですよ」

 レリクス様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 彼が何を考えているかは、さっぱりわからない。だが、別に私の実家の話をするのは、特に問題はないだろう。
 もしも、レリクス様にいい案があるなら、それも教えてもらうとしよう。本当にいい案なのかもしれないし、聞いてみて損はないはずだ。
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