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45.様々な疑問

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「……そういえば、ズグヴェルさんは私の体を使いたかったりしないんですか?」
『む……?』

 そこで、私はふとそんなことが気になった。
 シェリウェントさんは、セリティナの体を貸してもらっていた。それと同じように、ズグヴェルさんも私の体を使いたかったりしないのだろうか。
 彼女は、セリティナの体を通してレリクス様を探っていた。ズグヴェルさんもそういうことがしたくはないのだろうか。

『確かに、我も直接奴を探りたいという気持ちはある。だが、それは無理だ』
「無理? でも、昨日私の体を使っていましたよね?」
『体を乗っ取れないという訳ではないのだ。単純な話、我はお前の演技ができない』
「私の演技ができない……」

 ズグヴェルさんの言葉を、私はゆっくりと考える。
 私の演技ができない。それは、どういうことなのだろうか。

「……ふっ」
『おい……』

 数秒間が空いてから、私は思わず吹き出していた。
 要するに、彼はいつも通りの私のような口調などを再現できないため、別人だとすぐにばれてしまうと言っているのだ。
 それは、なんというかおかしな話である。

「ごめんなさい……でも、なんだかおかしくて」
『仕方ないことだろう……我は、お前とは性別が異なる。いや、性別だけの問題という訳ではないのかもしれないが……』
「まあ、そうですよね……」

 ズグヴェルさんは、性別が私とは違う。それは、演技するにあたって結構な難点だろう。
 そもそも、彼の口調は独特だ。それを変えるのが難しいのかもしれない。

「……男性」
『む? どうかしたのか?』

 そこで、私はとあることに気がついた。
 よく考えてみれば、ズグヴェルさんは男性なのである。そんな龍が、心の中にいる。それは少し、恥ずかしいことかもしれない。

 ただ、なんというか、それはあまり気にしないでいいような気がする。
 彼は、人智を越えた存在だ。意思の疎通はできるが、別の生物ではあるし、些細なことなのかもしれない。

 そんなことを考えつつ、私の頭にある考えが過った。
 それは、ズグヴェルさんとシェリウェントさんの関係性である。

「ズグヴェルさんとシェリウェントさんって、どういう関係なんですか? もしかして、恋人だったり、夫婦だったりするんですか?」
『むぅ……』
「おっと……」

 私の質問に、ズグヴェルさんは素っ頓狂な声をあげた。
 それは最早、答えのようなものだろう。二人は、特別な関係なのだ。
 いや、それは正確ではない。少なくとも、ズグヴェルさんにとってシェリウェントさんが特別な存在である。この反応で正しいのは、それだろう。
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