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40.異なる雰囲気
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「おはようございます、エルファリナ様、レリクス様」
「ああ、おはようございます」
「おはようございます、セリティナさん」
私とレリクス様の間に気まずい空気が流れている中、セリティナがやって来た。
彼女は、いつもと変わらないように見える。昨日あんなことがあったのに、そんな態度なのは驚きである。
どうやら、彼女は結構強かであるようだ。
少なくとも、私よりも強い精神力を持っているのは確かだろう。
「昨日は結局、何もわからなかったようですね?」
「ええ、そうなんです。でも、不思議なことに、昨日見てもらってから、痛みはなくなったんですよ」
「そうなんですか? それは、良かったですね」
セリティナは、レリクス様の質問に堂々と答えた。
その内容は、偽りである。もちろん、痛みがなくなったというのは事実なのだが。
「セリティナさん、今日はなんだか雰囲気が違いますね?」
「え? そうですか?」
「ええ、なんというのでしょうか……」
レリクス様は、笑顔でそのように語った。
その笑顔は、いつもの涼しい笑みだ。つまり、何かを悟っているということなのだろう。
私は、改めてセリティナの態度について考える。
先程の彼女は、やけに強かだった。それはもしかしたら、彼女が彼女ではなかったからなのだろうか。
彼女が彼女でなくなる。それに、私は覚えがあった。
昨日、ズグヴェルさんやシェリウェントさんは私達の体を乗っ取った。それが今も起こっているのではないだろうか。
「いつもは柔らかい雰囲気ですが、今日は少し違うんですよね……おっと、別に悪く言っている訳ではありませんよ」
「そうなんですか? あまり、そうは思えませんけど……」
「それは、申し訳ありません」
確かに、言われてみれば、今の彼女はいつもと雰囲気が違う。
どこか冷ややかで鋭い雰囲気が、感じられるのだ。
シェリウェントさんのことはよく知らないが、昨日の会話だけで考えると、そのような龍であったように思える。
やはり、セリティナは乗っ取られているのだろうか。
「エルファリナさんは、どう思いますか?」
「え? えっと……いつもと変わらないんじゃないですか?」
「そうですか……僕の勘違いなのでしょうか?」
レリクス様からの質問を、私はとりあえず誤魔化しておいた。
セリティナの体を勝手に使うというのは、あまり気持ちがいいことではない。
しかし、現状、私は龍達側の人間である。ここは、協力した方がいいだろう。
「おっと、そんなことを言っている内に、先生が来ましたね……」
「あっ……」
色々と話している内に、先生が教室に入って来た。
こうして、私達は今日も学生としての一日を始めるのだった。
「ああ、おはようございます」
「おはようございます、セリティナさん」
私とレリクス様の間に気まずい空気が流れている中、セリティナがやって来た。
彼女は、いつもと変わらないように見える。昨日あんなことがあったのに、そんな態度なのは驚きである。
どうやら、彼女は結構強かであるようだ。
少なくとも、私よりも強い精神力を持っているのは確かだろう。
「昨日は結局、何もわからなかったようですね?」
「ええ、そうなんです。でも、不思議なことに、昨日見てもらってから、痛みはなくなったんですよ」
「そうなんですか? それは、良かったですね」
セリティナは、レリクス様の質問に堂々と答えた。
その内容は、偽りである。もちろん、痛みがなくなったというのは事実なのだが。
「セリティナさん、今日はなんだか雰囲気が違いますね?」
「え? そうですか?」
「ええ、なんというのでしょうか……」
レリクス様は、笑顔でそのように語った。
その笑顔は、いつもの涼しい笑みだ。つまり、何かを悟っているということなのだろう。
私は、改めてセリティナの態度について考える。
先程の彼女は、やけに強かだった。それはもしかしたら、彼女が彼女ではなかったからなのだろうか。
彼女が彼女でなくなる。それに、私は覚えがあった。
昨日、ズグヴェルさんやシェリウェントさんは私達の体を乗っ取った。それが今も起こっているのではないだろうか。
「いつもは柔らかい雰囲気ですが、今日は少し違うんですよね……おっと、別に悪く言っている訳ではありませんよ」
「そうなんですか? あまり、そうは思えませんけど……」
「それは、申し訳ありません」
確かに、言われてみれば、今の彼女はいつもと雰囲気が違う。
どこか冷ややかで鋭い雰囲気が、感じられるのだ。
シェリウェントさんのことはよく知らないが、昨日の会話だけで考えると、そのような龍であったように思える。
やはり、セリティナは乗っ取られているのだろうか。
「エルファリナさんは、どう思いますか?」
「え? えっと……いつもと変わらないんじゃないですか?」
「そうですか……僕の勘違いなのでしょうか?」
レリクス様からの質問を、私はとりあえず誤魔化しておいた。
セリティナの体を勝手に使うというのは、あまり気持ちがいいことではない。
しかし、現状、私は龍達側の人間である。ここは、協力した方がいいだろう。
「おっと、そんなことを言っている内に、先生が来ましたね……」
「あっ……」
色々と話している内に、先生が教室に入って来た。
こうして、私達は今日も学生としての一日を始めるのだった。
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