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37.境遇の差
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私は、セリティナに知っている情報を全て話した。
私の話を聞いて、彼女はとても驚いていた。
それは、当たり前のことである。私の語ったことは、色々と信じられないような情報が多い。驚かない方が無理だとさえいえる。
「エルファリナ様……大変だったのですね」
「え、それはその……」
話が終わった直後、セリティナはそのようなことを言ってきた。
その発言の意図は、なんとなくわかる。恐らく、彼女は私の人生に対して、そう言っているのだろう。
確かに、私の人生は悲惨だった。
聞いて気持ちいいものではないことは確かだろう。
ただ、他に驚くべき情報はもっとあったはずである。
最初にこの感想が出てきたのは、彼女の人の良さが起因しているといえるだろう。
そこで、私はあることに気づいた。
彼女は、とても申し訳なさそうにしている。今の話を聞いて、そんな態度になる。それは、どうしてだろうか。
「……別に、あなたがそんな態度をする必要はないのですよ」
「え?」
「あなたが申し訳なさそうな態度をする必要はありません。私の境遇は、オルフェント公爵家の認識のせいなのですから……」
少し考えて、私は彼女がどうしてそんな態度をしているのかを理解した。
恐らく、彼女は自身と私の境遇を比較して、そんな態度をしているのだ。
彼女は、聖痕を宿す選ばれし者といわれてきた。
一方、私は呪われていると疎まれてきた。
その差は、かなりのものだ。それに、彼女は罪悪感を覚えているのだろう。
しかし、それは彼女がそのような感情を覚える必要はない。
私の境遇は、オルフェント公爵家の人々が、その歪められた認識によって、もたらされたものである。そこに、彼女が関係する余地はない。
もちろん、その境遇の差で、彼女に恨みを覚える人はいるだろう。
例えば、ゲームのエルファリナだったら、そうなっていたかもしれない。
だが、私はそんな逆恨みはしない。そんなことをしても、何の意味もないからだ。
「そんなことより、これからのことを話しましょう。ズグヴェルさんとシェリウェントさんは、悪しき王と戦おうとしているようです。その悪しき王は、二人と同じように誰かに宿っている」
「えっと……そうみたいですね。一体、誰に宿っているのでしょうか?」
「ズグヴェルさん、答えていただけませんか? ここに、紙とペンがありますから」
「え? あ、これが……」
私の呼びかけに答えてくれたのか、私の背中から黒い腕が現れた。
その光景に、セリティナは驚いた。ただ、既に話していたため、すぐに理解してくれたようだ。
私の話を聞いて、彼女はとても驚いていた。
それは、当たり前のことである。私の語ったことは、色々と信じられないような情報が多い。驚かない方が無理だとさえいえる。
「エルファリナ様……大変だったのですね」
「え、それはその……」
話が終わった直後、セリティナはそのようなことを言ってきた。
その発言の意図は、なんとなくわかる。恐らく、彼女は私の人生に対して、そう言っているのだろう。
確かに、私の人生は悲惨だった。
聞いて気持ちいいものではないことは確かだろう。
ただ、他に驚くべき情報はもっとあったはずである。
最初にこの感想が出てきたのは、彼女の人の良さが起因しているといえるだろう。
そこで、私はあることに気づいた。
彼女は、とても申し訳なさそうにしている。今の話を聞いて、そんな態度になる。それは、どうしてだろうか。
「……別に、あなたがそんな態度をする必要はないのですよ」
「え?」
「あなたが申し訳なさそうな態度をする必要はありません。私の境遇は、オルフェント公爵家の認識のせいなのですから……」
少し考えて、私は彼女がどうしてそんな態度をしているのかを理解した。
恐らく、彼女は自身と私の境遇を比較して、そんな態度をしているのだ。
彼女は、聖痕を宿す選ばれし者といわれてきた。
一方、私は呪われていると疎まれてきた。
その差は、かなりのものだ。それに、彼女は罪悪感を覚えているのだろう。
しかし、それは彼女がそのような感情を覚える必要はない。
私の境遇は、オルフェント公爵家の人々が、その歪められた認識によって、もたらされたものである。そこに、彼女が関係する余地はない。
もちろん、その境遇の差で、彼女に恨みを覚える人はいるだろう。
例えば、ゲームのエルファリナだったら、そうなっていたかもしれない。
だが、私はそんな逆恨みはしない。そんなことをしても、何の意味もないからだ。
「そんなことより、これからのことを話しましょう。ズグヴェルさんとシェリウェントさんは、悪しき王と戦おうとしているようです。その悪しき王は、二人と同じように誰かに宿っている」
「えっと……そうみたいですね。一体、誰に宿っているのでしょうか?」
「ズグヴェルさん、答えていただけませんか? ここに、紙とペンがありますから」
「え? あ、これが……」
私の呼びかけに答えてくれたのか、私の背中から黒い腕が現れた。
その光景に、セリティナは驚いた。ただ、既に話していたため、すぐに理解してくれたようだ。
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