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34.二つの痣
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私は、セリティナを寮の自室に招いていた。
彼女の痣に何が起こっているかを確認するためだ。
「それじゃあ、見せてもらえますか?」
「はい、お願いします……」
彼女は、私に背を向けてその服を脱いだ。
その背中が露わになり、右肩の聖痕も見えてくる。
とりあえず、私は図書室で借りてきた本に目を通す。
それは、聖痕に関する記述がある本だ。そこには、聖痕がどのようなものなのかという絵が書いてある。
私は、本に記されている聖痕とセリティナの聖痕を見比べてみる。
その二つはそっくりだ。特に違いはない。
「どうですか?」
「えっと……特に違いは見当たりませんね」
「聖痕自体に、変化があるという訳ではないということですか?」
「ええ……」
正直な話、何か変化があってくれた方がありがたかった。
これでは何もわからない。謎が深まるばかりである。
「うっ……」
「エルファリナ様? どうかされましたか?」
「い、いえ……」
その瞬間、私は左肩に熱を覚えた。
それは、セリティナと初めて出会った時に感じたのと同じものだ。
「うぐっ……」
「セ、セリティナさん……」
「肩が熱い……」
「え?」
私が熱に苦しんでいると、セリティナがそんなことを言ってきた。
どうやら、彼女の肩も同じように熱を帯びているようだ。
これは、私の考えが甘かったかもしれない。
同じ龍を宿す巫女である私達が、簡単に交わっていいはずがなかったのである。
しかし、同時に思っていた。
ズグヴェルさんは、悪意があるような龍ではなかった。そのため、大丈夫なのではないかと。
「……ここは」
「え?」
次の瞬間、セリティナがゆっくりと声をあげた。
だが、その声はいつもと少し違う気がする。同じ人物から発せられるというのに、何故か私はその声を別人のように感じたのだ。
「……この気配は、ズグヴェルですか?」
「え? あなたは……うっ」
セリティナが問いかけてきたと思った瞬間、私の意識は宙に浮くような感覚を覚えた。
そして、私は気付いた。自分の意識が、体の奥の方に吸い込まれたということに。
「シェリウェント……」
「……やはり、あなたがそこにいたのですね。安心しました」
「ああ、我もだ」
私の体は、私の意思と反して言葉を発した。
非常に不思議な感覚だ。これは一体、どういうことなのだろうか。
「エルファリナよ、安心しろ。少しの間だけ、お前の体を借りるだけだ」
「えっと……セリティナ、あなたにも言っておかなければなりませんね。申し訳ありませんが、この体を少しの間だけ借りさせていただきます」
私とセリティナの体は、そんなことを言ってきた。
どうやら、二人は私達の体を乗っ取ったようだ。恐らく、直接会話がしたかったから、このような措置を取ったのだろう。
返してくれるとは言っているが、少々不安である。本当に、大丈夫なのだろうか。
彼女の痣に何が起こっているかを確認するためだ。
「それじゃあ、見せてもらえますか?」
「はい、お願いします……」
彼女は、私に背を向けてその服を脱いだ。
その背中が露わになり、右肩の聖痕も見えてくる。
とりあえず、私は図書室で借りてきた本に目を通す。
それは、聖痕に関する記述がある本だ。そこには、聖痕がどのようなものなのかという絵が書いてある。
私は、本に記されている聖痕とセリティナの聖痕を見比べてみる。
その二つはそっくりだ。特に違いはない。
「どうですか?」
「えっと……特に違いは見当たりませんね」
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「ええ……」
正直な話、何か変化があってくれた方がありがたかった。
これでは何もわからない。謎が深まるばかりである。
「うっ……」
「エルファリナ様? どうかされましたか?」
「い、いえ……」
その瞬間、私は左肩に熱を覚えた。
それは、セリティナと初めて出会った時に感じたのと同じものだ。
「うぐっ……」
「セ、セリティナさん……」
「肩が熱い……」
「え?」
私が熱に苦しんでいると、セリティナがそんなことを言ってきた。
どうやら、彼女の肩も同じように熱を帯びているようだ。
これは、私の考えが甘かったかもしれない。
同じ龍を宿す巫女である私達が、簡単に交わっていいはずがなかったのである。
しかし、同時に思っていた。
ズグヴェルさんは、悪意があるような龍ではなかった。そのため、大丈夫なのではないかと。
「……ここは」
「え?」
次の瞬間、セリティナがゆっくりと声をあげた。
だが、その声はいつもと少し違う気がする。同じ人物から発せられるというのに、何故か私はその声を別人のように感じたのだ。
「……この気配は、ズグヴェルですか?」
「え? あなたは……うっ」
セリティナが問いかけてきたと思った瞬間、私の意識は宙に浮くような感覚を覚えた。
そして、私は気付いた。自分の意識が、体の奥の方に吸い込まれたということに。
「シェリウェント……」
「……やはり、あなたがそこにいたのですね。安心しました」
「ああ、我もだ」
私の体は、私の意思と反して言葉を発した。
非常に不思議な感覚だ。これは一体、どういうことなのだろうか。
「エルファリナよ、安心しろ。少しの間だけ、お前の体を借りるだけだ」
「えっと……セリティナ、あなたにも言っておかなければなりませんね。申し訳ありませんが、この体を少しの間だけ借りさせていただきます」
私とセリティナの体は、そんなことを言ってきた。
どうやら、二人は私達の体を乗っ取ったようだ。恐らく、直接会話がしたかったから、このような措置を取ったのだろう。
返してくれるとは言っているが、少々不安である。本当に、大丈夫なのだろうか。
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